国内市販用タイヤTOPインタビュー

 トーヨータイヤジャパン㈱代表取締役社長 山邊憲一氏

“存在感”更に高め一層の収益向上目指す

 ――2022年の事業を振り返って。

トーヨータイヤジャパン㈱ 代表取締役社長 山邊憲一氏
トーヨータイヤジャパン㈱ 代表取締役社長 山邊憲一氏

 コロナ禍が収束には至りませんでしたが、行動制限などが徐々に解除される中、タイヤ需要に回復の動きが現れてきました。ただ、エネルギー費や物流費、原材料価格などの高騰の影響を受け、業界全体でタイヤ価格の値上げが行われました。夏用と冬用とで値上げが行われたことに伴い、市場では2度、駆け込み需要とその反動が起こるという需要曲線を辿っています。その結果、トータルでは21年度実績を上回り、コロナ禍前の19年の水準まで需要が回復しています。

 生産財は値上げの影響が強いことから、トラック・バス用タイヤの需要は旺盛でした。消費財についても新商品の投入やサイズ拡充を行い積極的な販売拡大施策を進め堅調に推移しました。

 TOYO TIREグループ全体で力を入れているのがOPEN COUNTRY(オープンカントリー)とPROXES(プロクセス)、この2つのグローバルブランドです。特にSUV用タイヤのOPEN COUNTRYでは商品ラインアップとサイズの拡大を行い、販売数量の増加に繋がりました。

 タイヤ販売の現場、それにメーカーと我々タイヤ販売会社が連携し一体となってブランドのプロモーション活動を展開してきています。その活動の中でタイヤ販売会社単体では難しいものもあります。メーカーだからこそ出来る、ブランド向上の取り組みなどサポート活動により、市場への浸透が進んでいます。

 ――営業網や物流拠点の統廃合をはじめSCMの再編、DX化の推進など、メーカーとトーヨータイヤジャパンがグループ全体で大きな業務改革に取り組まれています。その進捗の度合いは。

 営業拠点の統廃合などは22年において一段落しました。それに伴う物流改革――定時配送や工場からの直送などの比率が高まりました。一方、営業改革についてもセールスマンの直行直帰や、働き方改革を見据えた担当の持ち方、ロードサービスカーやデジタルデバイスの活用など各種支援のための施策も行っています。

 また並行して受発注の効率化にも取り組み、コンタクトセンターの活用を進めています。定時配送や直送に対応がむずかしい地域でこれらの施策でサポートすることにより業務改革を進めます。営業の仕方の改革と物流の改革、そして業務の改革を着実に進め計画通り完遂していきます。

 

~変化する市場に柔軟に対応~

 ――この23年4月に国内市販用タイヤの価格が再度引き上げられました。その状況を踏まえ上期の立ち上がりはどうだったのか。併せて23年度の事業展望を。

 23年1月に値上げを行った関係で、22年末に需要が前倒しでありました。23年の初めにその反動が数字となって現れています。厳しい状況からのスタートとなりました。ただ、2月の厳しい寒さから一転して3月は急に暖かくなり、そのような天候の影響を受け全国的に春需要が例年よりも1〜2週間ほど早まりました。

 今年は夏タイヤの値上げを4月から実施すると表明していましたので、本来であれば3月に駆け込み需要が起こり4月の実需と連動するものと考えられました。ですが、春需要が一気に進んだことで3月中に実需へと現れたようです。業界全体の第1四半期の需要推移にもそれが反映されており、3月は前年実績を上回ることができましたが、その反動で4月以降の動きが鈍化することが懸念されます。

 4月からの第2四半期における夏タイヤの商戦、さらには7月には冬タイヤの値上げが予定されていますので、いかに対応するか。それらへの取り組みが重要となってきます。

 TOYO TIREグループでは中期経営計画「中計’21」でも表したように付加価値の高い重点商品の販売促進を推進しています。トーヨータイヤジャパンとしては強みであるOPEN COUNTRYについて商品ラインアップの拡充を図るとともに、供給体制をより一層強化していきます。

 またフラッグシップタイヤブランドのPROXESシリーズも、新商品としてプレミアムコンフォートタイヤ「PROXES Sport 2(スポーツツー)」を23年2月から、「PROXES Comfort Ⅱs(コンフォートツーエス)」を同3月から順次発売しました。

 TOYO TIREの〝こだわり〟や独自性というものが市場に徐々に浸透してきています。他社との差別化を図った商品を市場で展開し、これまで我々が行ってきた販売活動を通じ、タイヤ販売店の皆様をはじめタイヤ以外の業種の人たちにも認めていただけるようになってきたと考えます。

 オールシーズンタイヤの分野では「CELSIUS」(セルシアス)を販売展開しています。ただ国内ではオールシーズンタイヤの市場がまだ成長途上の段階にあるようです。1年を通して使うことができるタイヤですから商品性能が特徴的であり、我々もその訴求に努めユーザーからご理解が得られていると思います。販売にあたってはさらにその良さをお伝えする必要があると思います。店頭でコーナーとして陳列されるなど市場としては着実に拡大しています。


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