車を若返らせる――「FALKEN ZIEX ZE914 F」欧州で鍛えたその走り

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カテゴリー: レポート, 試乗
モータージャーナリストの瀬在仁志さん

 住友ゴム工業はFALKENブランドのスポーティ&コンフォートタイヤの新商品「FALKEN ZIEX ZE914F」を開発。14~18インチの59サイズを2月から発売した。新商品はラベリング制度の転がり抵抗等級「A」、ウェットグリップ等級「a」(15サイズ)/「b」(44サイズ)を獲得した低燃費タイヤ。モータージャーナリストの瀬在仁志さんのインプレッションをお届けする。

 今回の試乗は常磐道とつくば学園都市内がステージ。瀬在さんがハンドルを握り実走し、新商品の感応評価を行ってもらった。
 評価に使用した「FALKEN ZIEX ZE914F」のタイヤサイズは195/65R15 91H(転がり抵抗等級「A」、ウェットグリップ等級「b」)。これをトヨタのコンパクト・ステーションワゴン「カローラフィールダー」に装着し走行した。

走りの滑らかさ

 「ZIEX ZE914F」を履いて、まず感じたのは「真円性」が高いタイヤだなということ。最初のけり出しが非常に良い。高速道路で路面が荒れていない所の走りはとくに滑らか。音も静か。

ZIEX ZE914F

 ただ、高速道路の継ぎ目など大きなショックを乗り越えたときに発生する空洞共鳴音は出ています。それから良い舗装路にうねりがあるときも。コンパウンドやパターンのピッチバリエーション、タイヤ全体の剛性でうまくバランスをとっているので気になるレベルではありません。
 これはタイヤの「真円性」が高いために、継ぎ目やうねりを拾ってしまうからではないでしょうか。ただ、それは路面の情報をタイヤが正確に捉えているからと、良いほうに解釈することもできますね。

 乗り心地にも同じことが言えると思います。荒れた路面で上下動を感じますが、収まりは早い。適度に硬さを感じますが、決してカドがあるわけではない。大きな入力があったときにタイヤがたわむことでショックを減衰してくれています。
 高速走行中のコーナーリングですが、このタイヤは良く踏ん張りますね。しっかり感が表れています。
 左右非対称パターンのアウトサイド部が路面と密着していますし、ロールに無駄な動きがありません。コーナーでタイヤがきちんとたわんでリニアな挙動をクルマに伝えてくれます。コンフォートタイヤでありながら、なかなかのスポーティ性を備えていると思いますよ。
 微小蛇角でレーンチェンジしたときの応答性にも“しまり”がありますね。スッキリとした顔立ちのトレッドパターン、周方向のリブの配置、剛性の高い構造が高速走行中の操縦安定性を高めてくれているのでしょう。

クセのない仕上がり

 欧米の大排気量・大大荷重のクルマの場合、このタイヤがどこまでロールを抑えられるのかはわかりませんが、カローラフィールダーのような、一般的な国産車は充分、安心して走らせることができますね。
 この2代目カローラフィールダーはヴィッツ系のプラットホームになる前で、スポーツ走行を楽しむことができますが、その運動性能にこのタイヤは対応できています。
 全体のバランスがとれていますから、日常生活で使用するときにクセがなく、ストレスを溜めにくいと思います。
 運転していて安定していますし、同乗者とはゆったりと会話することができる、後部座席に乗った人には突き上げが少ない。ひとことで表すとしたら、車歴の長いクルマの走りをタイヤが若返らせてくれる――そんな良さがこのタイヤにはありますね。

ウェット性能をさらに向上 構造に真円プロファイルを採用

ZIEX ZE914F

 「FALKEN ZIEX ZE914F」は、欧州市場で操縦安定性と低燃費性能で定評のある「FALKEN ZIEX ZE914」のウェット性能をさらに向上させた。
 従来品と大きく変わった点は、まずトレッドパターン。「アドバンスド・パターン・デザイン」を採用した。新旧ともに、左右非対称のラテラルパターンであるのは同じだが、いくつもチューンナップを施している。
 パターンの剛性分布を最適化し、バランスの良い走りを実現。アウトサイドの接地面積をさらにアップさせることで、コーナリング時の安定性を高めた。また、センター部に高剛性のリブを配置することで、高速直進安定性を高めるとともに、ハンドリングのリニア感とブレーキ性能を高次元でバランスさせている。
 コンパウンドにはハイスチレンタイプのポリマーと新シリカ用変性ポリマーを採用。ウェットグリップ性能を大幅に向上させながら、すぐれた低燃費性能を実現した。
 構造面では、「真円プロファイル」の採用で、低燃費性能を向上。コーナリング時もタイヤ側面全体がしなやかにたわむことで、操縦安定性が向上した。トレッド部には剛性の高いエッジバンド構造を採用し、リニアなハンドリングを実現した。
 これら固有の技術を採用することで、低燃費性能を高めながら、安定感のあるハンドリングと、静かな乗り心地を同時に実現させた。


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