タイヤショップ大塚 育児を切り口とした視点

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 江戸川区船堀――下町の子育てエリアに根ざして経営する有限会社タイヤショップ大塚は、夫婦と従業員1名のアットホームな販売店だ。資本金300万円、年商7000万円のタイヤショップは、下町エリアを走る車を文字通り足元から支えている。今年1月に開業20周年を迎えた同社が“町のタイヤ屋さん”として親しまれる背景には、大塚健社長の柔軟な発想と、異色の経歴があった。

 大塚社長は、元々は大手育児用品メーカーに勤務していた。その後、当時のブリヂストンタイヤ東京販売でタイヤに関するビジネスの経験を積んだ後、妻の実家である株式会社磯タイヤ商会に6年勤務。1996年に同社の江戸川営業所だった場所に新店舗をオープンし、独立に至った。

 店舗周辺は住宅街が広がり、近隣には小学校もある、ファミリー層が多いエリアだ。そんな地域柄か、「顧客はタイヤに対してもお買い得感に非常に敏感だ」という。

社長とスタッフ
従業員と大塚社長(右)

 こうした中、ベビー用品全般を扱うピジョンの商品開発部に勤めていた大塚社長の“タイヤとの距離感”は独特なものだ。エンドユーザーに対して“育児”という切り口から提案を行っている。

 「昨今少子化が進むが、実は子供ひとりに掛ける費用は、減るどころかむしろ増えている。子供に与えるものを選ぶとき、親は安心と安全に糸目をつけない」

 大切な我が子を乗せる車の安全は、タイヤの重要な役割であることを説明し、より安心感が高いプレミアムタイヤを売り込んでいくことを目標にしている。それには、大塚社長自身の育児経験が少なからず影響している。

 「乗り心地が良いタイヤは、大人はもちろん、振動や衝撃の影響を受けやすい小さい子供にとって、よりメリットが大きい。ベビー用品を選ぶようなタイヤ選びがあってもいい」

 さらに大塚社長は「日頃からの細やかな信頼関係に注視している」と話し、顧客との長期的な関係構築を見据えたさまざまな取り組みを進めている。

 例えばオイル交換だ。次回の交換時期のお知らせとともに、空気圧やタイヤ点検を行い、顧客と細かなコミュニケーションを取ることを心がけている。

 効率とはかけ離れているが、その結果として「自分の車をよく知っている信頼できるタイヤショップ」と認知してもらい、その店で買うメリットを感じてもらう――こうした顔が見える距離の付き合いは、ネット販売との差別化にも繋がっている。

大時計
店内でひときわ目を引く振り子の大時計は、学生時代に所属していた早稲田大学自動車倶楽部のOBから贈られたもの

 「もちろん価格に対する努力はしている。だが、単純に価格だけで競えば、実店舗はジリ貧になると考えている。大切なのは、専門店ならではの技術と信頼という価値ではないだろうか」――大塚社長が築き上げた信頼関係は、運転中に顧客とすれ違った際、アイコンタクトで挨拶ができるほど深い。

 一方、タイヤ以外の車の整備に関しては、基本的に周辺の別の店を紹介している。一見すると収益を逃しているように見えるが、実はこれも地域に根ざしたタイヤ専門店としての戦略だ。

 「うちは規模が小さいので、車にまつわるサービスのすべてを自社で抱え込むと、結果的に広く浅くなってしまう。その点、地域の専門店で得意分野を融通しあえば、顧客はより専門に特化したサービスが受けられる。さらに店どうしも互いに新しい顧客の獲得に繋がる。高いサービスを受けた顧客は定着率が高いというのも大きなメリットになっている」

 店舗同士で相互に紹介しあえるのも、日頃の信頼関係あってこそ。

 大塚社長は「経営についてはさほど堅苦しく身構えたことはない」と話す。経歴を活かし、販売に関する冷静な分析や営業努力は行うが、経営理念を固く考えることはないという。

 そしてこれからも「街の風景に溶け込み、気軽に立ち寄ってタイヤの事を相談できる、日常の一つでありたい」と気負わない姿勢だ。

 創業から20年、今後も地域の店舗と協力しながら、より良いサービスを提供していく。


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