スポーツもコンフォートも〈あきらめない〉
ウエット路面でも本領発揮
日本グッドイヤーは6月17日、富士スピードウェイ内トヨタ交通安全センター「モビリタ」で、3月に上市した「EAGLE F1 ASYMMETRIC 6」(イーグル エフワン アシメトリック シックス=ASM6と略)の試乗会を行った。ウルトラハイパフォーマンススポーツタイヤとなるASM6は、アジリティ、コンフォート、そして“READY FOR ANYTHING”(すべてをあきらめない)の三つを兼ね備える。これらを実現するのは同社がこれまでに培った知見を生かした新技術だ。
新樹脂配合しアジリティを向上
グッドイヤーが展開する「イーグルF1」シリーズのなかで、最新モデルとなるASM6。ウルトラハイパフォーマンススポーツタイヤとして高いスポーツ性能を誇るのはもちろん、コンフォート性能にも優れたタイヤだ。グッドイヤーはこの〈スポーツも〉〈コンフォートも〉という想いを“READY FOR ANYTHING”(すべてをあきらめない)という言葉に込める。
日本グッドイヤーのテストドライバーはASM6について、三つのテーマから性能を解説する。
ひとつめがアジリティ(俊敏性)だ。ハンドリングに対して応答性の早さや正確さ、さらにどういった状況でも安定して走れることがセールスポイントのひとつ。「コーナーではスイスイと、高速域やどのような路面状況でも高い安定性をもって走る」と紹介する。
高いハンドリング性能だけでなく、快適性も高い。スポーツタイヤでありながらも、ローリングやピッチングを抑えフラットに走る。このことが長距離を走る場合でもドライバーの疲労感は少なく、安全性を高める。
環境性能の向上にも力をいれる。環境負荷を低減させるという社会的要請は日に日に高まる。ASM6では、軽量化やタイヤの発熱を抑制する新樹脂配合のコンパウンドなどで転がり抵抗を改善。燃費性の改善で環境性能の高さをアピールする。
今回、ASM6の開発に合わせて、新樹脂配合コンパウンドを開発。樹脂の種類は非公表だが、ゴムの性能と樹脂の性能の双方を生かすように配合したのが大きな特徴。
トレッドパターンでは、溝やサイプを工夫した。サイプは従来品ASM5が2〜2.5ミリメートルの幅だったが、ASM6では幅を1ミリメートルにし、数を増やした。
これらにより各性能指標では向上が見られた。ドライブレーキが4%、ウエットブレーキは3%改善、パターンノイズは25%低減した。転がり抵抗では、ラベリングで全19サイズ中、転がり抵抗性能Aが17サイズとなった。これはASM5と比べ3サイズ増加している。
運動性とノイズを高次元で性能両立
ASM6の性能を評価するための試乗会は一般道、ハンドリング、ウエットブレーキ、ウエットハンドリングの4コースで実施。ウエットブレーキとウエットハンドリングの2コースではASM5と比較試乗し、それぞれで大きな〈進化〉を感じる結果となった。
ウエットブレーキでは、測定装置をつけて新旧タイヤを比較した。その結果、ASM5の制動距離は15.22メートルだったのに対して、ASM6は14.29メートルで約1メートルの違い。制動時間でもASM5が1.84秒に対してASM6は1.68秒だった。技術ポイントのひとつであるウエット性能での大幅な改善はこの数字で明らかだ。
モータージャーナリストの瀬在仁志さんはこの違いについて「ASM6はABSが入ってからもグリップが効いているのでG(減速度)が抜けないで制動がかかりますね」と評する。
ウエットハンドリングコースでもその実力を存分に発揮する。瀬在さんは「しっかりと水をはいて、路面をつかんでいますね」と驚く。「手ごたえが強く感じられる。路面の状況が悪条件になるほど、グリップ力が高まっているのではないでしょうか」と指摘した。
一般道では、静粛性やアジリティを感じさせる走りとなった。スポーツタイヤは一般的にゴムを硬めにつくるため、ロードノイズが出やすい。しかし、ASM6はスポーツタイヤではあるが「タイヤの硬さが洗練されているため、ノイズが包み込まれています」(瀬在さん)。ロードノイズもさることながら、走行中のパターンノイズも気にならない。これがトレッドパターンのグルーブを工夫してパターンノイズを25%低減したという静粛性の高さだ。
優れたアジリティも体感できる。瀬在さんは一般道を走りながら「街なかを走るのは快適ですね」と話す。アジリティがこの快適さを生み出す。「軽い力で動いてくれるので、ムダな力もいれることなく、操作量も少なくて済みます。ステアリングを握っている力も少なくて済みます」と話す。こういった快適さが「長距離でも疲れにくく、安全性を高める」という開発テーマにも合致する。