COCKPIT カスタマイズ市場で40年 確かな技術力でカーライフ応援

 ブリヂストンが展開するカー用品専門ショップ「COCKPIT」(コクピット)は1982年に1号店がオープンして以来、確かな技術力を活かしてカーライフを手厚くサポートしてきた。その40年の歩みと今後の目指す姿を、コクピットのチェーン事業を手掛けるブリヂストンリテールジャパンの奥村文秀氏に聞いた。

嗜好品楽しむカーマニアを盛り上げる

 ――「コクピット」チャネルの開発背景は。

ブリヂストンリテールジャパン-チェーン企画運営室チェーン運営部の奥村文秀部長
ブリヂストンリテールジャパン-チェーン企画運営室チェーン運営部の奥村文秀部長

 「モータリゼーションの拡大期においてクルマ高関心層が台頭する中、コクピットはPOTENZA(ポテンザ)やREGNO(レグノ)といったプレミアムタイヤの販売を拡大するチャネルとしてオープンしました。当時のショップコンセプトは『走りと音のプロショップ』で、ヤング&マニア層をターゲットにしていました。

 1982年に1号店が誕生してから40年、お客様との絆を大切にしながら、クルマにまつわる様々なサービスを提供しています」

 ――これまでのコクピットの取り組みは。

 「1980年代から1990年代前半は、『カーライフ全般のコーディネーター』として、確かな経験と技術で間口を拡大することができました。

 ただ、2000年代にかけて低関心層の増加や市場ニーズとの乖離が見られるようになったため、スポーツ・スタイル・輸入車それぞれの専門特化型店舗へ移行しながら、時代にあわせた事業展開を進めていきました。

 その後も低関心層の更なる増加、若者のクルマ離れ、需要の緩やかな減少などでコクピットを取り巻く環境は大きく変化しました。これを受け、『広域からの集客』を新たな目標として、今まで積み上げてきた技術力の強みを、ウェブを中心に訴求する取り組みを強化しています」

 「具体的には、ウェブサイト『COCKPIT PRESS』(コクピット・プレス)を立ち上げ、店舗・商品・サービスに関する情報を発信してきました。このウェブサイトには、専門店としてのタイヤ選びのアドバイスやカスタマイズカーに関する情報、店舗とお客様の絆に関する記事も掲載し、タイヤとカー用品のプロショップであるコクピットをPRしています。

 2010年以降は、高関心層が減少する中でも国内カーメーカーがクルマ好きに向けた魅力的な車両を相次いで発売するなど、新たな動きを見せています。こうした動向と連動し、コクピットはクルマの楽しみを提供する拠点として『ワクワク』をキーワードに、技術力・訴求力の強化や新たな顧客ニーズに対応する店づくりを推進しました。

コクピット21世田谷店
コクピット21世田谷店

 例えば2014年以降は、通常のアライメント作業とは別に『スーパーアライメント』を提供し、競合店との差別化を図っています。このメニューでは、走りの要望を問診で確認し、測定・調整・試走を繰り返し行うことで、お客様の要望にお応えしています。

 さらに、ウェブ訴求を強化したことによって高関心層のお客様が広域からも来店するようになり、より専門性に特化した店舗へ成長を遂げました」
 
 「2017年にはコクピット誕生から35周年を迎えたのを機に、お客様と店舗が一緒になって作り上げた自慢のカスタマイズカーを発信する場として、『COCKPIT CUSTOMIZECAR CONTEST』(コクピット・カスタマイズカー・コンテスト)を開催しました。ウェブとSNSで企画を連動させ、カスタマイズの魅力やコクピットの技術力も広く発信したことで、カスタマイズに興味があるお客様の集客策として効果を発揮したと考えています。

 2022年には、コクピットが積み上げてきた技術力、お客様からの信頼が評価され、オリコン顧客満足度調査でタイヤ専門店部門の第1位を獲得しました。
 近年も、反響の大きいウェブコンテンツやコクピットアプリに関する取り組みに力を入れ、ウェブ上ではカスタマイズ事例やサービスメニューの記事を充実させています。カスタマイズの楽しみだけでなく、お得なクーポンやお客様の安心・安全につながる情報も多く配信し、プロショップの強みを活かした訴求を強化することで、より安心してご来店いただける店づくりを推進しています」

 ――向こう5~10年のアフターマーケットでコクピットが果たす役割、チャネル戦略の展望は。

 「市場のEV(電気自動車)化が加速する中でも、カスタマイズを中心とした嗜好品を楽しむカーマニアを盛り上げていくことが我々コクピットの役割だと考えています。

 今まで積み上げてきた経験とノウハウを活かし、情報発信力を一層強化していきます。また、『タイヤの大切さ(価値)の普及・拡大を通じ、より安心・安全なカーライフを実現』を行動指針に、ブリヂストンのタイヤ技術とコクピットの商品・作業技術を拡大していきたいです」

相談に応じる知識が強み スタイルに合わせた提案も

(左から)浅井誠一店長と、ブリヂストンリテールジャパン首都圏支社東京・山梨第1ブロック兼東京・山梨第2ブロックスーパーバイザーの芹沢伸行氏
(左から)浅井誠一店長と、ブリヂストンリテールジャパン首都圏支社東京・山梨第1ブロック兼東京・山梨第2ブロックスーパーバイザーの芹沢伸行氏

 コクピット21世田谷店(東京都世田谷区砧)は今年、2003年のオープンから20周年の節目を迎える。カスタマイズを楽しむ“クルマ好き”のニーズに応えながら、豊かなカーライフを実現する商品提案にも力を入れる同店の歴史とこれからの取り組みについて、浅井誠一店長と、ショップ立ち上げ時に店長を務めていたブリヂストンリテールジャパンの芹沢伸行スーパーバイザーに取材した。

 コクピット21世田谷店は、カーディーラーも数多く立ち並ぶ環八通り沿いに立地し、“クルマ好き”からの相談事に応じてきた。

 同店がオープンしたのは2003年。当時、ブリヂストンの小売チャネルで唯一、輸入車向けにカスタマイズの提案を行っていた大阪のコクピット店における人気を背景に、輸入車の市場規模が大きい東京でも輸入車特化型のコクピットを出店することが決まり、世田谷店が立ち上げられたという。

 ショップのセールスポイントは、来店客からの多様な相談に応える知識力だ。取扱商品について深い知識を身に着けているのはもちろん、スタッフ一人ひとりがカスタマイズカーのオフ会に参加したり専門誌を読み込んだりし、カスタマイズのトレンドを押さえてきた。浅井店長は「何でも対応できる知識がある。お客様のスタイルにあわせた提案や接客もできる」と自信を示す。

 輸入車特化型の店舗としてオープンした世田谷店では、今でも来店客の7~8割を輸入車ユーザーが占める。客層は変わらない一方、近年は都内だけでなく神奈川や埼玉から訪れる顧客も増加してきた。

 浅井店長によると、「居住地域に輸入車対応ショップがない」と話す来店客も多いそうだ。また、専門ショップや輸入車ディーラーに比べて「コクピットは敷居が低く、何でも相談できる」(浅井店長)イメージがあることも、広域からの集客に貢献しているのかもしれない。

 現在、同店で主力になっているのは、タイヤ・ホイールやブレーキパッドのほか、ローダウン、アライメントといった足回り関係の商品・サービスだ。これに加え、スマートフォン連携機器やドライブレコーダーといった電装品の需要も高い。

 電装品に関しては、オープン当時はオーディオやカーナビゲーションが柱となっていた。ただ最近は、これらの電装品を丸ごと交換することが難しい車両も増えてきたため、追加で取り付けられ、利便性を高めるような製品の販売が伸長しているそうだ。

 カスタマイズについても、「以前は外装品を全て交換する方が一定数いらっしゃったが、今のクルマは完成度が高く、『そのままでもかっこいい』と考える方も増えてきた」(芹沢氏)。20年前と現在を比較すると、プラスアルファのような形でカスタマイズを楽しむ層が拡大しているという。

 こうした中、足回り関係の商品・サービスは一貫して高い人気を誇る。ショップがターゲットにする40~60代は愛車をカスタマイズする思考が強く、世田谷店には、クルマを買い替えた後にローダウンの相談で来店する常連客が少なくないそうだ。

 これからのショップ運営では、スマホ連携機器をはじめとする電装品の提案を強化する考えだ。近年の電装品はバージョンが次々に更新されるため、日々、製品知識を学んでいくことが求められるほか、仕入れのタイミングを見極めるのが難しい面もある。だが、コクピットが来店客に最新情報を提供することで、ニーズの掘り起こしも期待できる。

 浅井店長は、「当店の主軸はタイヤ・ホイールなど足回りだが、それだけではお客様お一人に対する提案が頭打ちになってしまう」とした上で、「デジタル分野も勉強し、ご紹介していくことで、電装品の売上を伸ばしていきたい」と意気込みを述べていた。

 さらに、クルマを趣味として楽しむ層に向け、オーディオの提案も再び推進していきたいそうだ。走りの部分だけでなくカーライフ全般を強力にサポートすることで、ショップが創出する価値の向上を目指していく。

 芹沢氏は今後のコクピットに対して期待を込め、次のように語る。

 「スタッフは日々勉強してお客様の相談に応え、良いものをご提案する必要があり、一般的な量販店に比べて難易度が高いチャネルかもしれない。ただ、クルマに対して想いを持った方はいつの時代もいらっしゃる。その想いに応えられるショップでありたい」

 豊富な知識を身に着けたスタッフが、20年にわたって様々なニーズに応えてきたコクピット21世田谷店。BtoB、BtoCを問わず顧客に対するソリューション提供を追求している同店はこれからも、カーライフを楽しむ“クルマ好き”を応援する存在であり続けてくれるだろう。


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