株式会社イヤサカ  乗用車用レバーレスタイヤチェンジャー 「マーヴェリック」

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 緻密なレバーレス作業をより簡単に

 コントローラー操作のセミオート機

(1)本機を囲む本間さん(左)と長野さん
(1)本機を囲む本間さん(左)と長野さん

 独創的なアイデアと高い技術力で足まわりをはじめとする自動車整備機器を開発する米国のハンター・エンジニアリング社。日本市場では株式会社イヤサカが高い品質と優れた作業性を両立したタイヤ整備機器を供給している。最近では、通過式アライメント検査システム/通過式タイヤトレッド検査システム「クイック・チェック・ドライブ/クイック・トレッド・エッジ」を上市し、これからの整備作業場の〈ありたい姿〉をえがいてみせた。

 

 イヤサカが足まわり整備機器の24年ニューモデルとして上市したのがハンター社製の乗用車用レバーレスタイヤチェンジャー「Maverick(マーヴェリック)」だ。

 総合商社のイヤサカは、タイヤチェンジャーではハンター社、イタリア・SICE(シーチェ)、国産メーカーの各種製品を取り揃え、豊富なラインアップで市場展開を行っている。新製品「マーヴェリック」は、ミドルクラスのレバーレスチェンジャーとして位置付けられる。営業技術部技術一課主任の本間友大さんと同課の長野航平さんが製品の詳しい解説と実演デモを担当してくれた。

 

 「マーヴェリック」はリム径14インチから34インチまで対応。最大タイヤ外径1270ミリ×最大タイヤ幅483ミリ。乗用車用タイヤをはじめ、サイドウォールの堅いランフラットタイヤやSUV用タイヤのレバーレス作業を実現する。

 この「マーヴェリック」には専用のコンパクトホイールリフトが標準搭載された。作業の省力化を実現するとともに、ホイールへの傷つけ防止を図り位置決めを正確に行うことができる。

 本間さんによると、「アームに『関節式レバーシステム』を採用した。ツールヘッドをはじめすべてのツールはホイールのサイズに自動的に同調するので、スピーディにセッティングすることができる」と話す。

(2)ローラーロック・クランプ
(2)ローラーロック・クランプ

 センターロック式タイヤチェンジャーは、作業レイアウトのコンパクト化を可能とし作業性に優れることから注目度が増している。「マーヴェリック」はそのセンターロック式で、「ローラーロック・クランプ」という独自の機構(特許取得)を採用した。ホイールのハブ穴への当たりを軽減しスムーズにシャフトを差し込むことが可能。ボールベアリングによるワンプッシュクランピング。レバーハンドルをスピンさせることでクランプをさらに確実に行う。

 作業はコントールユニットの操作が基本。強力な油圧パワーによる駆動でスイッチと動作にタイムラグが生じない。操作性に優れ、緻密なオペレーションを可能にした。

(3)スマートセット・レバーレスヘッド
(3)スマートセット・レバーレスヘッド

 ビードブレイク作業では、回転ローラーのヘッドがホイールに当たらない位置へと自動で設定される。コントローラーのスイッチ操作で、回転ローラーは規定のポジションからビードの内側へと入り込む。このときにアームが伸びたままの状態ではホイールに触れてしまう事態があるのだが、先述の「関節式レバーシステム」によりアームがローラーの動きに同調して〈縮む〉アクションをし、それを回避する。特許取得の機構だ。

 また、新製品には「スマートセット・レバーレスヘッド」を搭載した。マウントヘッドと一体化したインジケーターには切れ込みがあり、それがヘッドのホイール当たり面に対するガイドの役割を果たす。

 長野さんがスイッチ操作をすると、回転ローラーとビードプレスによってつくられた空間に「スマートセット・レバーレスヘッド」のマウントがインジケーターのガイドに沿って差し込まれる。ヘッドが弧をえがくアクションでビードを掴み持ち上げる。タイヤの回転に合わせながらビードを外す。

(4)ビードブレーク作業
(4)ビードブレーク作業

 各ツールの動きがすべてシンクロするので、ビードの特定の部分に負荷が集中することはない。長野さんはタイヤ上部側のビードブレイクを終えた。熟練のスタッフが長年の経験で会得したレバー作業のコツを、「マーヴェリック」はコントローラーのスイッチ操作ひとつで再現すると表現しても過言ではないだろう。

 

 反対面(タイヤ下側部)も基本の作業は同様だが、下側からビードプレスで持ち上げ、ビードのテンションを低減しながらリフトアップすることもできる。本間さんは「センターロック式ならではの方法。サイドウォールの堅いロープロファイルタイヤやランフラットタイヤでもビードを傷めず作業することができ、作業時間の短縮にもつながる」と説明する。目視用のミラーを任意の位置に据えることができるので、反対面の作業の際に位置確認を楽な姿勢で行える。これも軽労化につながるアイデアだ。

(5)コントロールユニット
(5)コントロールユニット

 タイヤの組み付け——長野さんはコントローラースイッチでマウントヘッドとビードプレスを操作する。作業の一連の動きは「流れるように」という修飾語がぴたりとはまる。「マーヴェリック」の回転ローラーには「ビードマッサージ」という機能がある。タイヤのビード部とホイールのビードシート部のエアー溜まりに回転ローラーを軽く押し込むことにより解消させ、ビードシーティングを一層しっかりと行うことができるものだ。

 エアー充てんもコントロールユニットの操作で可能。チャッキングし、コントローラーのボタンで空気圧を設定しエアー充てんを開始。指定した空気圧に達すると自動で停止する。長野さんは「フットペダル式よりも作業性に富む」と指摘する。また、「ブラストインフレーション」というエアー噴射装置も搭載された。堅いビードにローラーを入れ込む作業に際し、広い面積でエアーを吹き付けることを可能にし、作業効率を高めるものだ。

 ドイツ車の新車装着タイヤにみられるドイツ規格に対応するWDKアクセサリーキットやリバースホイール用アダプターなどを標準で付属。LT用アダプターなどもオプションで用意した。

 

 「フルオートではないが、作業者が力を入れて行わなければならない部分はない。難易度の高い超偏平タイヤでも楽に、スピーディに交換作業を行うことができる」「自由が利くので作業しやすい。しかもだれが作業しても高い品質を保つことできる」

 本間さん、長野さんはこのように口を揃え評価する。SUVやミニバン、高級輸入車のタイヤ交換作業が多いプロショップ、整備工場に「マーヴェリック」はうってつけだ。


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