横浜ゴム「GEOLANDAR A/T4」  オフロードらしさとオンロード性を両立

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カテゴリー: レポート, 試乗
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 横浜ゴムは、SUV・ピックアップ用オールテレーンタイヤの新商品「GEOLANDAR A/T4(ジオランダー・エイティー・フォー)」を5月から全世界で順次発売する。4月に行われた試乗会では、新開発のアグレッシブなトレッドパターンにより実現したハイレベルな性能が披露された。

 

 アグレッシブな外観ルックス

 

(1)「GEOLANDAR A/T4」のオフロード走行シーン
(1)「GEOLANDAR A/T4」のオフロード走行シーン

 「開発初期の段階から、好評な現行品『GEOLANDAR A/T G015』(以下、G015)の性能をできるだけ損なわずに、アグレッシブな見た目を実現することをコンセプトに掲げて開発を推進してきた」

 群馬県のアサマレースウェイ(旧浅間サーキット)で、同社タイヤ消費財製品企画本部タイヤ消費財製品企画部製品企画3グループグループリーダーの小島弘行氏は「GEOLANDAR A/T4」の開発背景と商品コンセプトをこのように説明した。

 同社では、「悪路走破性が良いという実用性よりも、デザインやスタイルが好きという志向性が強い。タイヤの選定基準は見た目重視。パッと見たときのオフロード性能が良さそうだと購入するケースが非常に多い」と、オールテレーンタイヤのユーザーニーズを分析する。

(2)アグレッシブな外観の「GEOLANDAR A/T4」
(2)アグレッシブな外観の「GEOLANDAR A/T4」

 そこで「A/T4」の開発コンセプトとしてはアグレッシブなルックス、よりオフロードタイヤらしいトレッドパターンとサイドブロック。次にオールシーズンタイヤとして使える点。さらに耐摩耗性・耐久性にも配慮という3点を強調した。

 性能面ではオフロード性能と対カット・チッピング性能を強化し、オンロード性能は「G015」レベルを維持した。

 性能向上のために新開発のトレッドパターンと、2イン1で配置された大型サイドブロックを搭載。それらによりアグレッシブな外観を実現しながら、耐サイドカット性やオフロード性能を両立。また、プロファイルはショルダー部を「G015」の丸みを帯びた形状から角ばった形状へと、よりスクエアな接地形状を採用した。接地領域が拡大し、オフロード性能と耐偏摩耗性を向上させた。

 タイヤ製品開発本部タイヤ第一設計部設計3グループの坂本洋佑氏は「新開発パターンの効果もあり、大幅に性能が向上している。見た目がアグレッシブになったのはもちろん、オールテレーンタイヤとしての性能を一層引き上げ、より魅力的な商品となった」と述べる。

 

 

 応答性向上し優れたハンドリング性実現

 

(3)トライトン装着のアップ
(3)トライトン装着のアップ

 試乗会の郊外路ではトヨタRAV4で走行。特設ステージではトヨタのハイラックスと、三菱自動車のトライトンでオフロード走行を体感した。

 郊外路は、前日の雨によりわだちやひび割れのある路面を片道10分ほどかけて走行。「G015」と比較し、車内での静粛性には差はないようだ。

 評価ドライブでハンドルを握る担当者は、「『A/T4』はトラクション性能が良いので、タイヤが浮いて着地するような小刻みな場所も含めて安定性が優れています。とくにショルダーのカットの形が角ばっているので縦方向の揺れには強いですね」という。確かに縦方向の安定感はしっかりと感じられる。

 コンパウンド自体が「G015」より柔らかめ。「その分、トラクションのかかり方、ハンドルを切る際には動きやすいところがあります。マイナス面ではなく、タイヤの動きがドライバーに伝わりやすい。自分の操作に対してクルマがどういう反応をしているのかが分かりやすいほど、安心感につながります」(担当者)。

 雨でぬかるんだ道の走行ではアクセルを踏み込んだ際のトラクション具合、右から左にハンドルを切った応答の良さ、でこぼこした道を速度をあげて走行した時の振動の少なさ、わだちに踏み込んだ場合の揺れ具合を体験した。「『G015』よりも濡れた路面のトラクションのかかり具合が良くなっています」と、担当者は指摘。でこぼこした道でゆっくりと走ると差は少ない。速度を上げると振動が大きくなるが、「A/T4」で走ると、受ける突き上げは少ない。横には揺れても縦の振動が低く抑えられており、安定感のある乗り心地の良さを感じた。

 悪路でも突然ドンとくるような衝撃はない。泥の中でアクセルを踏むと、タイヤがまさに泥を掻きながら前進する心地よい振動を体感した。スタックすることがなく、空転時間も以前より大幅に短くなったという。アクセルを踏み込むと、柔らかい土でもしっかりと前に進むことを実感した。また高いグリップ力もある。担当者は「突然滑らない安心感がある」と付け加える。路面の状況をタイヤが正確にドライバーに伝えわりやすくなっている。

 

 

 オールラウンドで安心感が違う

 

(4)ラリードライバーの塙郁夫さん
(4)ラリードライバーの塙郁夫さん

 悪路のオフロード試乗では、海外ラリーの経験が豊富なレーシングドライバーの塙郁夫さんらがハンドルを握る。

 マッドな路面でハイラックスはタイヤが泥を掻きだし優れたトラクションを発揮した。

 トライトンはよりパワーもある車種で、どこでも走ることができる行動範囲の広さが特徴。

 塙さんは「クルマとのコンセプトが合うと思う。この新しい『A/T4』をつければ、クルマが行ける可能性のあるところならこのタイヤで行ける。本当にオールラウンド。安心感が違う」と、その性能を高く評価する。

 街なかでも快適、いざとなったら山道も雪道規制でも行ける。心強いオールテレーンタイヤが誕生した。

 

 

 新トレッドパターンでAT性能を強化

 

(5)タイヤ第一設計部設計3グループの坂本洋佑氏
(5)タイヤ第一設計部設計3グループの坂本洋佑氏

 タイヤ第一設計部設計3グループの坂本洋佑氏は搭載技術について、次のように語る。

 「トレッドパターンに採用した2イン1センターブロックは、剛性を上げるためにあえて補助溝や装飾溝をいれないインスプリットなデザインとした。4種類のブロックとラグ溝による複雑な形状になっている。路面でエッジを効かせることができるので、トラクションをはじめオフロード性能が向上した。

 内側、外側が異なるジグザグ4本主溝は、トラクション性能があがり排水性が向上する。ウエット性能との両立が可能。ジグザグ化することによりパターンの内部で発生する音を抑制し、パターンノイズの低減も実現した。

 ショルダー溝はディープでワイルドな設計とした。溝はタイヤ幅方向外側へ向け開口エリアが広がり、排水・排雪・排土性を向上させた。3Dディープサイプはタイヤ表面3段階に傾斜しており、ブロックの倒れこみを抑制し、スノー性能、ウェット性能が向上する。

 性能向上のためにこだわった点は切り欠き溝の配置。各ブロックに二つ、または三つ、形状は三角形、四角形、五角形など、深さもさまざまな切り欠き溝は場所によって面取りを加えた。開発の最終段階まで工夫した。最適な形状と配置で設計しており、オフロード、スノー、ウエット性能の向上に大きく役立つ」


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