島貫タイヤ商会 次世代でも地域への貢献を

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 宮城県白石市にある有限会社島貫タイヤ商会は創業約65年の老舗タイヤ販売店。乗用車用タイヤからトラック・バス用タイヤ、さらに建設機械用の大型タイヤまで手掛ける地域有数の店舗だ。同社は6月末に社長交代を行い前社長の島貫昭氏が会長となり、3代目の社長には島貫精一氏が就任した。二人に店舗の歴史と今後の方針を聞いた。

 国道4号線沿いにある島貫タイヤ商会は、島貫会長の父が創業した当時からこの場所に店舗を構える。今から60年以上前、近隣にバス会社の営業所が稼働したのに伴い、タイヤ販売店も開所。当時は今のように自動車が普及しておらず、新幹線も開通していなかったため、バスは地域の重要な足だった。その販売店から独立して設立したのがスタートとなる。

島貫タイヤ商会
島貫タイヤ商会

 その後、1980年代に入り、島貫昭氏が社長に就任。それまでは生産財タイヤを取り扱う専業店として運営していたが、マイカーブームの流れに乗り、同じ敷地内に乗用車ユーザーをメインターゲットにした店舗「コクピット」を併設していた時期もあった。

 1980年代から90年代は愛車にお金をかけてカスタマイズするドライバーも少なくなかった。「コクピット」と専業店とでは客層が異なることから営業時間もスタッフも2店舗で完全に分けた運営を行っていた。ただ、徐々にカスタマイズ人気にも陰りが出てきたことから「2010年頃に合理化して、全て一緒にした」という。

 この決断は規模の縮小のようにも見られたが、想定外の波及効果が出てきた。「コクピット」ではタイヤ以外に様々なカー用品やカーオーディオの取り付け作業も行ってきた。一方で、トラック用タイヤには高い作業レベルやメンテナンスサービスが求められる。これらを一本化することでそれぞれのノウハウが融合され、顧客のあらゆるニーズに対応できる店舗として独自性を高めていった。

島貫タイヤ商会の倉庫
店舗にある倉庫

 島貫会長は「当初1+1が2にはならないと思っていたら、2.5に伸びた。思わぬ誤算でお客様の層が確実に増えていった」と振り返る。さらに、以前は閑散期や繁忙期であっても各店舗で人員のやり繰りは行ってなかったが、1店舗に集約することで、作業量の平準化、業務の効率化につながるなどのメリットも生まれた。

 現在、店舗の敷地面積は約1400坪で、ピットはトラック・バス用、乗用車用、預かりタイヤ用の3つに分かれており、倉庫には3000~4000本の預かりタイヤを保管している。カーディーラー向けの卸販売も多く、売上構成は消費財、生産財、卸販売でそれぞれ3分の1となっている。

 「当社のこだわりはお客様の都合が良い時に来店してもらうこと」――効率化が求められる時代だが、島貫氏は「何が何でも予約でなければと決めつけるのは違うのではないか。地域ごとにニーズも違う。お客様の都合に合わせられるのが当社の自慢だ」と強調する。

 また、日々の業務で大事にしてきたのは顧客とのコミュニケーションだ。トラックの運転手から一般ドライバーまで、顧客が来店した際には必ず顔を出して声を掛け続けてきた。
さらに、「従業員とは常に同じ目線でやってきた。定年まで働いてくれる人がほとんどで、冬の繁忙期にはアルバイトで手伝いに来てくれる」――顧客と従業員が感じ得る信頼感と気さくさが、長年の店舗運営で培ってきた自身の誇りなのかもしれない。

島貫精一社長(左)と島貫昭会長
島貫精一社長(左)と島貫昭会長

 そんな島貫氏だが、6月末で代表を降り、これまで常務を務めてきた島貫精一氏にバトンタッチした。

 島貫精一新社長は「お客様に気軽に利用して頂ける店づくり、人づくりをしていきたい。店に入って13、14年となるが、まだ地域に馴染めていない面もある」と話す。その上で「スタッフも含めて、お客様を最優先に業務に取り組み、地域のために貢献できるお店にしていきたい」と展望を示す。

 島貫会長は「会長になっても毎日お店には来ると思う。ただ、次の世代に任せたからには『こうしなさい』『ああしろ』とは言わない」と話し、新社長への期待を込める。

 長く親しまれた店舗をどう維持して発展させていくか――新社長は「お客様第一主義」を引き継ぎながら、従業員と一体となって事業に邁進していく。


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