大阪府高槻市に店舗を構えるミスタータイヤマン高槻店(藤本タイヤー商会)はトラック・バス用タイヤの販売・サービスを中心に事業を展開し、地域の運送会社の足元を支えてきた。高い技術力で長年この地で営業を続け、培ってきた実績と顧客からの信頼は厚い。代表の藤本龍二氏は「お客様に恵まれており、我々を運行に協力してくれる“パートナー”と認識して頂いているユーザーも少なくない。そういった関係が構築できていることが我々の強みであり、誇りに思えること」と話す。
大阪府の北東部に位置し、大阪市と京都市のほぼ中間にある高槻市。国道10号線と東海道新幹線が交差する場所にミスタータイヤマン高槻店はある。現在代表を務める藤本龍二氏の父・利男氏の兄弟が50年以上前に創業した。間もなく利男氏が代表に就いたため龍二氏は「実質2代目」だという。社員は田中健一店長を含めて5名。
創業当時からダンプトラックのユーザーが多く、顧客が増え店舗を拡張した今も大型トラック向けの仕事が8割を占める。「ミスタータイヤマン」の看板を掲げたのは24、25年ほど前と、府内でも比較的早いほうだったという。
ユーザーの信頼獲得へ
藤本代表は「以前と比べたら近隣の交通量は3分の1程度になり、渋滞も減った」と話すが、店舗の前を走る国道はひっきりなしにトラックが通り、物流の動脈として機能している印象だ。近くには量販店なども多く、10km圏内にトラック・バス用タイヤを手掛ける専業店が5店舗以上ある競争が激しい地域でもある。
こうした中で同社の強みは高い技術力だ。例えば、近隣のSSでタイヤ交換を勧められたドライバーが来店した際、スタッフが改めてタイヤを確認したところ、「まだ使用して問題ない」と顧客目線で的確に回答。「プロの目で見て判断できればお客様の信頼を得ることができる。本当にタイヤ交換が必要になった時に来店して頂け、さらに口コミでも店の評判が広がっている」(藤本代表)という。
メインの生産財タイヤでも「昔からのお客様ときっちりお付き合いができており、要望があればサービスカーで奈良県や滋賀県まで行くことで信頼を得ている」(田中店長)。
長年、同じ場所で事業を継続してきたこともあり、地域での知名度は抜群だ。藤本代表は「新規で訪問してもすぐに『新幹線の高架下にある店だね』と分かってくれる。人手不足が課題だが、この知名度を活かして事業を拡大したい」と展望を話す。田中店長も「人員を拡大できれば、サービスカーを増やしたり、新規を開拓したりできる」と意欲を示す。
顧客の足元を支える
ここ数年の事業環境を振り返り、藤本代表は「お客様には恵まれている」と実感するシーンが少なくないようだ。「運送会社の中には当社を“パートナー”と捉えて頂いている方も多くなってきた。言い換えれば、確実な運行に協力するのがタイヤ販売店ということになる。当社はドライバーさんも含めてそういった信頼関係が構築できている」と力を込める。
ある運送会社からは「もしタイヤ販売店がいなかったら、誰がこれだけのタイヤをメンテナンスしてくれるのか」と頼りにされており、「我々をそういうスタンスで見て頂いていることは本当に励みになっている」と笑顔を見せる。これが専業店としてのプライドにもつながっている。
地域に根ざして確かな技術力と地道なサービスで顧客のニーズに応えてきたからこそ培われてきた信頼。人手不足という業界全体が直面する課題を乗り越えた先にはさらなる成長が待っていそうだ。
エイワのプレミアムチェンジャー導入
ミスタータイヤマン高槻店は5月末にタイヤチェンジャーを新たに1台導入した。今回選んだのはエイワ(兵庫県西宮市)が販売する「WING TORNADO」(ウィング・トルネード)で、プレミアムモデルのレバーレスチェンジャーとなる。店舗で20年以上愛用してきた伊コルギー製チェンジャーの補修部品が入手困難になってきたことが導入の主な理由だという。
同社はこれまで整備関連機器をほぼ全てエイワから納入しており、今回の新規導入もエイワからの提案を受けて決定した。「ウィング・トルネード」はタイヤ外し作業の自動化を可能にした点が大きな特徴。近年増えてきた偏平タイヤや小型トラック用タイヤにも対応できる点を評価し、「効率化により、人手不足への対応にもなる」(藤本代表)と期待する。
導入して約2カ月。田中店長は「これまでと若干操作が異なり、タッチパネルの表示も英語なのでまだ使いこなせていない」と笑うが、冬の繁忙期の頃には扱いにも慣れ、大活躍しているに違いない。