住友ゴム工業 池田育嗣社長「住友ゴムWAYを基本に」

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カテゴリー: トップインタビュー, 特集

 この南アフリカですが、高性能タイヤのニーズがかなり強いのです。道路事情は欧米レベルに近づいてきていますし、高級車も多い。ですから、当社の高性能タイヤの技術を活用したタイヤビジネスを展開するという期待があります。ただ残念ながら、南アフリカ工場は高性能タイヤを生産できる設備が少ない。従って、今から高性能タイヤやSUVタイヤなど付加価値の高いタイヤを生産する設備を拡充していく計画です。

 アフリカ市場での20年の需要を当社では5400万本と予測していますが、南アフリカから中央アフリカの各市場については、工場の生産能力を拡大し、それを活用して供給していきたい。

 そして来年、工場が完成予定のトルコは、欧州をはじめロシア、中近東、それにモロッコやエジプトといった北アフリカなどの市場に向けての生産拠点となります。このトルコ工場の生産能力を早く上げていくことも重要なテーマです」

新興市場に積極展開を

 ――高性能タイヤを生産するのに最適な工法が、池田社長が開発に携わってこられた「太陽」だと思いますが。

 「「太陽」は1000本単位で生産能力を上げることが可能です。設備がコンパクトで投資効率も良い。また、通常のラインを導入した場合、従業員教育を行いスキルを習得しラインが立ち上がるまで半年かかってしまいます。ですが、「太陽」は自動化を取り入れているので、それが半分の3カ月で可能になります。

 「太陽」自体も完成度が上がっています。それを導入しているタイ工場は当社のグローバルトレーニングセンターの役割を果たしています。タイでトレーニングを受けた従業員を世界各地の工場に派遣しているという状況です」

 ――グローバルでの生産能力増強に取り組んでいるところですが、世界のタイヤ需要がどう進展し、住友ゴムの生産体制がそれとどうリンクしていくのかという視点ではいかがお考えでしょうか。

 「2020年時点で全世界のタイヤ需要は20億本と見ています。そのうち、中国を含む新興国が半分以上を占めるだろうと。そこで当社ではタイヤ販売の方向性として新興国市場に積極的に展開することを考えています。15年で中南米、中近東、ロシア、インド、アフリカでの販売比率を14%というのを目標としていますが、それを20年には20%に引き上げる。また中国は17%を目標としています。中南米とアフリカの伸びが想定を上回っていますので、14年の段階で15年の計画数値はほぼ見えてきています。従って、20年時点では当初の目標を上回るのではないかという期待感があります」

 ――販売量を増加させるときに、ダンロップの商標はテーマの一つとなるのではありませんか。

 「インド、マレーシア、シンガポール、ブルネイではダンロップブランドは使えません。しかし、今のところ、ファルケンブランドで積極的に販売を展開し、シェアを拡大できています。いずれなんとかしたいとは思いますが、ダンロップの商標獲得が喫緊の課題とは認識していません」

「4Dナノデザイン」活用

 ――視点をタイヤ技術関連に関して、100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」。このタイヤの開発には、だいぶ苦労されたのではありませんか。

 「「エナセーブ100」は当社の〝100年目の解答〟ということで、1913年に日本で初めて自動車タイヤの生産を開始し、それから100年目に100%の石油外天然資源タイヤをつくることができました。

 ここに至るまでは長い道のりがありました。97%までは計画に沿って開発が進んできましたが、残りの3%が非常に厳しかった。加硫促進剤と老化防止剤という薬品をどうするか、カーボンブラックをどうするか、これをいかに天然資源に置き換え、商業生産することができるか。これがとてもむずかしく、5年間を費やしました。

 商品開発もそうですし、設計技術、研究開発部門、生産部門と、全員が一丸となって取り組むことで、この〝100年目の解答〟ができたものと思います」

 ――その「エナセーブ100」に続いて、これもまた非常にハードルの高い技術テーマを掲げました。それが「50%転がり抵抗低減タイヤ」で、当初計画から前倒しして発売予定だと聞いていますが。

 「「エナセーブNEXT」という商品名で、9月8日から発売を開始しました。これは2008年から開発をスタートしたものです。当時、環境問題に対する意識が高まりをみせており、タイヤも低燃費化していかなければならないと考えていました。タイヤの転がり抵抗は自動車全体の走行抵抗の約20%を占めています。つまり転がり抵抗を半減すれば燃費は約10%も良くなるということになるのです。

 例えば、転がり抵抗を5%良くしたとしますと、自動車の燃費に換算すると約1%の向上ですので一般のお客様にはそれをなかなかメリットと取っていただけません。そうであるなら、転がり抵抗を半減させたというのであれば、おわかりいただけるだろうと考え、取り組み始めたものです。

 これも「エナセーブ100」と同様、目標が非常に高かった。技術陣が開発に取り組み、そこで活用したのが独自の新材料開発技術である「4D NANO DESIGN」でした。その中でも、特に天然ゴムが持つ低燃費性能をいかに活用するか。天然ゴムはもともと転がり抵抗にすぐれる素材ですから、それをうまく使いたい。 

 天然ゴムをナノレベルで見てみますと、分子のまわりはタンパク質などの不純物でカバーされています。その不純物が摩耗性能や転がり抵抗などに悪い働きをしていることがわかったのです。それを取り除きピュアな天然ゴムにすると転がり抵抗や摩耗性能がさらに向上するのです。

 「4D NANO DESIGN」を使うことで、天然ゴム自体を改質することができると。これが高純度天然ゴム「UPNR」です。余談ですが、天然ゴムは通常、飴色をしているのですが、「UPNR」は真っ白なのです。「UPNR」は天然ゴムが持っている本当の力を発揮できるものであり、それをはじめとする先進技術を採用することで、「エナセーブNEXT」は転がり抵抗を08年当時と比べ50%低減し、「エナセーブ」史上ナンバー1の低燃費性能を実現できました」


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