小野谷機工(株)社主 三村義雄氏「ものづくりの基本的な考え方とは…」

シェア:
カテゴリー: 特集

使う人、環境のことを考える

 おかげさまで、当社は日本でただ一社の国産メーカーとして、皆さんに知られるようになりました。メーカー、つまりものづくりというのは、この日本という国こそが、世界をリードすることができるものと思っています。

小野谷機工三村社主
小野谷機工三村社主

 ぼくのものづくりの基本的な考えは、「人がつくったものと同じものはつくらない」ということ。それから「つくったものに関しては知的所有権を取っておく」ということ。これを言い換えると、「人の真似でものをつくらない」「法で保護されているものしかつくらない」ということになります。オノダニではこれまで、特許件数をおよそ400件、取得しています。その中で今も使っている特許の数は200件くらいありますよ。

 知的所有権の侵害で問題となっているのが中国製品。当社もかつて上海に支店をつくり中国市場への展開を試みたけれども、もう引き上げました。2年間、状況を見た上で。

 中国でものづくりをしようと考えたのだが、結局、模倣品が問題となったのです。外見では当社の製品とよく似ており、しかも値段が安い。だから、お客様はそっちに飛びつく。ところが、使い始めるとすぐに壊れてしまう。しかし、「当社のは壊れません、でもその分、高いのです」と言っても、それではなかなかうまく商売にはならない。そういうことがあったので、今は中国で販売展開はしておらず、国内での製造・販売のみとなっています。

 ものづくりでもう一つ、きちんと考えておくべきなのは、それを使う人、その周囲の環境について、いろいろな面から考え配慮するということ。これは非常に大事なことです。たとえば、当社のロードサービスカーですが、これには防音装置が付いていますから、作業しながら電話することだってできますよ。排気も強制の排気装置が付いていますから、排気が中に溜まることはない。作業者は安心して作業することができます。

 ほかに、ユニバーサルハンガーという製品があります。これは重たいインパクトレンチやホイールナットランナを吊り下げて作業できるものですから、作業者の軽労化となる。しかも、これにも消音器を付けてありますから、非常に静かです。町の中でインパクトレンチを使うと、住宅街のようなところではそれが騒音だと言われてしまうことがあります。だから、消音器を付けたい。ところが、それを付けると重くなってしまう。ユニバーサルハンガーはそのような〝重い〟〝やかましい〟という、作業する方がご苦労されている点をなんとかしたいと考え開発したものなのです。

 そういう製品を開発したら、きちんと特許を取っておく。これが大事なことです。

発想のヒントはどこにでも

 ものづくりには発想が必要です。ぼくはいつも考えていますよ。ヒントはいろんなところにありますから。

 ロードサービスカーの話に戻りますと、あれはぼくが米国のタイヤ業界を視察しに行ったときにその原形を見て、日本で展開すべきだと思ったんだ。あの当時、米国にはトラックタイヤセンターというのはなかった。タイヤを売っているディーラーはありましたけれども、整備サービス作業はそこでは行っていません。タイヤを売るだけです、ディーラーは。


[PR]

[PR]

【関連記事】