「エアフリーコンセプト」ブリヂストンの絶対にパンクしないタイヤ

 ブリヂストンは、昨年12月に開催した「東京モーターショー2011」で数年先の実用化を見据えた“将来技術”として、「非空気入りタイヤ(エアフリーコンセプト)」を発表した。現時点では開発段階ではあるが、タイヤの可能性を広げる事例として注目を集めた。そのコンセプトや今後の展望について同社中央研究所の開発責任者から話をきいた。

「100%リサイクル可能でパンクの心配もない。数年後を目途に実用化を判断」

通常タイヤ同等の剛性、乗り心地を

 ブリヂストンが「エアフリーコンセプト」の開発に着手したのは2008年。その背景について中央研究所の阿部明彦フェローは、「『今後どういったタイヤが必要になってくるのか?』『安全・環境・快適という3つの要素を高い次元で達成するタイヤができないか?』と色々検討した結果、空気を必要としないタイヤに行き着きました」と説明する。

昨年の東京モーターショーで発表、大きな注目を集めた
昨年の東京モーターショーで発表、大きな注目を集めた

 まず安全に関しては「絶対にパンクしないタイヤ」であること。環境面では「100%リサイクル可能な材料」で作ること。そして「省メンテナンス」――空気圧管理が不要になり、ユーザーの快適性向上につながること。この3つのコンセプト全てを高いレベルで実現するように開発を行った。

 東京モーターショーの同社ブースでは「エアフリーコンセプト」を装着した電動カートがステージを駆け回った。タイヤサイズは、外径約350mm、トレッド幅約70mm。重量は約3.3kg(ホイールを含む)と通常の空気入りタイヤと同等だ。トレッドとホイールの間を樹脂でできたスポークで支える構造になっており、片面にそれぞれ60本のスポークが張り巡らされている。

 「合計120本のスポークが荷重を支えます。スポークの1本1本はそれほど硬くありませんが、組み合わせることで剛性を確保できるのです。このスポーク形状が特殊で、当社では“曲がり梁”と呼んでいます」

合計120本のスポークで荷重を支える
合計120本のスポークで荷重を支える

 よく見ると板厚が微妙に異なり、部分的にわずかに細くなっている箇所がある。また非常に複雑な曲線を描いているのも興味深い。色々なシミュレーションを行い、形状や厚さ分布を最適化した結果、この“曲がり梁”に行き着いた。

 なお今回のシミュレーションには、従来からタイヤ開発において採用している「GUTT(ガット)」技術を活用した。この技術はスーパーコンピューターを用いて最適な形状や構造を導き出すものだが、「エアフリーコンセプト」にも応用が可能だった。

 実際に手に取り、目一杯力を加えてみてもびくともしない。タイヤを床に立てた状態で上から乗りかかるように体重をかけると、わずかにスポークがたわむのが分かる程度だ。通常のタイヤと変わらない剛性が確保されているのが理解できる。その反面、走行時の乗り心地は悪くないのだろうか――。

 阿部フェローは「このスポークは、高い強度を保ちながら通常のタイヤのような柔軟性を持っています。乗り心地が硬い、あるいはハンドリングが悪いなどと感じることはありません。一般の方が乗った場合、違いを意識することはないと思います」と、空気入りタイヤと比較して遜色ないレベルにあると話す。


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