立ち上がる、被災地。サポートする人たち

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カテゴリー: 3.11, 特集

 3月11日の東日本大震災、未曾有の災害はタイヤ業界に多大な影響を及ぼした。メーカーの生産拠点や物流拠点、タイヤ販売会社の本社・支店・営業所、そして多くのタイヤ取扱店が被害に遭った。店舗の全壊・半壊をはじめ、在庫品や什器備品、預かり品などを損傷・損失した例は数知れない。震災発生から4カ月――震災から立ち上がろうとしているタイヤ取扱店を、側面から支えているのがタイヤ整備サービス機器の製造・販売を行う企業。自身も被災し痛手を蒙ったケースもある。それにも関わらず再起を図るタイヤ取扱店のサポートに努め、今もそれを続ける。整備機器のメーカー、小野谷機工、空研、整備機器サプライヤーのエイワ、東洋精器工業――この4社に直接話を聞いた。震災発生直後から現在に至るまでの取り組み状況と、これからの方針についてまとめたる。

 小野谷機工 被災した機器には始業点検と適切な処置が必要

 小野谷機工は整備機器ばかりでなく、更生タイヤ製造の関連機器や廃タイヤ処理機器、さらには新品タイヤの販売からリトレッドタイヤの製造販売までと、タイヤに関するありとあらゆる事業に深い関わりがある。それだけに、震災がタイヤ業界に与えた影響の大きさ、ダメージの深さというものを直接的に理解している。

三村健二社長
三村健二社長

 福井県に本社と工場を置き、そこを拠点に全国9カ所に支店・営業所を網羅する同社。北日本エリアには札幌、秋田、新潟、それに仙台営業所を有している。「当社にとって歴史的に東北エリアはとくにお客さまが多く、トラック・バス用タイヤチェンジャーをはじめとするタイヤ整備各機器のシェアが高い地区」(三村健二社長)だという。

 小野谷機工は震災でどの程度、直接的な被害に遭ったのか。三村社長、川崎雅彦販売促進部長によると、仙台営業所の建物などに大きな被害はなく、人的被害もなかった。落下によるパソコンなど備品の損傷は免れなかったが、被災地としては度合いは軽微だった。ただ、従業員やその家族の自宅が被害を蒙り、中には避難所生活を余儀なくされた人もあった。小野谷機工本社としては、状況がある程度落ち着きを取り戻すまで、身の安全を確保することを第一に、当面は様子をみることを指示した。

川崎雅彦販売促進部長
川崎雅彦販売促進部長

 その間、本社と被災地以外の各営業所では被災地支援のための対策に奔走していた。ライフラインがストップした被災地のために、各地で食料や生活用品を集める。ほどなくして、グループ会社の北陸リトレッドの大型トラックにそれらを積み、日本海側のルートを通り送り届けた。

 それと並行して、タイヤ専業店をはじめとする同社製品のユーザーに対する支援活動の展開もスタートさせた。まずは「震災後の機器使用に関してのお願い」とする始業点検の注意事項について、WEB等を通じて呼び掛けを開始した。

 さらに4月初旬、三村社長と川崎部長を陣頭に、本社工場の技術エンジニアや各営業所のスタッフでメンバー構成する「復興支援チーム」を結成。1チーム3人1組を基本に、合計4チームで宮城・岩手・福島・青森4県に現地入りし被災した店舗を訪れた。そこで各チームは情報収集を行うとともに、震災の影響を受けたとみられるタイヤ整備サービス機器について、点検と診断を行った。

 被災地では津波によって機器が水没し激しく損傷した事例が数多くみられたという。1度水没したり汚泥を被るなどした機器は、適切な処置を施さずに使用すると、場合によって機器の損傷や破損といった事故を惹き起こす可能性がある。チームは専門の立場から診断を行ったが、現地で修理を行うには困難な局面に多々遭遇したという。そのようなケースでは現品を本社工場に送り、洗浄から破損箇所の修繕、塗装、再組み立てに至るオーバーホール作業を、工場スタッフが一丸となりできる限り短期間に行うことに努めた。

 また、津波で機器が流失した事例も非常に多い。言ってみれば〝裸同然〟の状態となりながらも、「一刻でも早く店を再開したい」と、復活に前向きなタイヤ取扱店経営者も少なくない。三村社長は、そういう人たちに出会うたびに「どうしたら役に立つことができるのか」――そのことばかりを考えたそうだ。

中古品を利用したサービスカー
中古品を利用したサービスカー

 考え抜いて出した結論は、「国産メーカーだからできること、国産メーカーしかできないこと。その当社の原点に立ち返ろう。長く使えて、新たなタイヤやホイールが出てきても少し改良すればすぐに対応できる」。本社の組織に手を加えた時期と重なったこともあり、会社を挙げてその考えの徹底を図る。

 また、タイヤメーカーやタイヤ販売会社の復興支援施策にも協力する。被災地の需要にタイムリーに供給するとともに、製品の販売価格についても協賛価格で対応している。それとともに「投資にお金をかけにくいとき、価格メリットのある製品や値ごろ感のある製品を提供することは必要」とし、状況にミートした製品のラインアップ拡大を図っているさなか。中古品を利用してのサービスカー製作もその一環だ。復旧にはまだまだ時間がかかるだろうとの判断から、先の見通しが立つまでできる限り協力し続けたいとする。

 このようなときだからこそ、メイド イン ジャパン〉の強みを――小野谷機工の取り組みに、それは鮮明に反映されている。


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