先進PITの現場から  エイワ横浜支店  作業の安全と効率化を「見て・触れて・体験する」場

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カテゴリー: レポート, 整備機器

災害時BCPの運用にも。困りごと解決への提案を

右からエイワ杉村幸二取締役、横浜支店の上原健司支店長、横浜支店営業部の持田零二氏、髙橋史弥氏、南雄馬氏、吉澤駿平氏、杉村雅哉営業部課長代理
右からエイワ杉村幸二取締役、横浜支店の上原健司支店長、横浜支店営業部の持田零二氏、髙橋史弥氏、南雄馬氏、吉澤駿平氏、杉村雅哉営業部課長代理

 エイワ横浜支店はこのほど、倉庫スペースを拡大した。21年5月に移転オープンした際、災害時のBCPを目的に製品供給拠点としての機能を備えたが、今回の拡張で在庫能力を大幅に増強した。また、ここは同社の支店として初めて展示・研修スペースを併設したが、常設展示する機器を逐次更新し、最新情報の発信拠点としての機能を果たしている。

 

各種のタイヤ整備機器を常設展示する展示・研修スペース
各種のタイヤ整備機器を常設展示する展示・研修スペース

 「サーキット」シリーズのホイールバランサーをはじめ、各種のタイヤ整備機器を販売展開する株式会社エイワ(前中勝彦社長)。兵庫県西宮市の本社を核に、北海道から九州の全国11カ所に支店・事務所を設けている。

 本社と支店は顧客サービスと製品供給のエリア拠点として業務活動を行っているが、もう一つ、重要な役割を担う。それは展示・研修施設としての機能だ。展示・研修スペースは、最新のタイヤ整備機器について視察を希望するユーザーへの対応と、スタッフがタイヤ整備に関わる作業の知識を習得し技能スキルを養い、その身体的感覚の向上を図るためにある。

 

 タイヤが大型化・重量化し、高性能化がますます進む現在、その脱着やバランス調整の作業はむずかしくなるばかりだ。タイヤの進化にともない作業の精度や作業品質の向上を強く求められる。一方で、自動車関連の整備士はなり手が減り、高齢化の一途を辿る。整備の現場では安全性と作業効率の向上の両立が求められ、軽労化・省力化への取り組みが重要となる。

 このような傾向に対応するため、タイヤ整備機器は現場のニーズに沿う新製品が上市される。最新の機器は複雑化・高度化する作業に対応しながら、機器を直感的に操作できるように工夫されているが、従来機の中には操作に慣れるまでにコツが必要な機器も一部存在する。操作ミスに加えて、正しい作業手順を理解していないためにトラブルや事故が発生することもあるので、機器のことを十分に理解することが肝心だ。

 また、機器への設備投資は高額となることから、どのモデルが自分たちのサービスに適しているのかを慎重に選択の上で購入をしたい。どのような特徴があるのか、どんな作業に適しているのかの説明を受け、実際の作業の様子を確認すること、他機と比較し納得することが機器を選定するための重要な要素となる。ユーザーの実物を〝見る〟〝触る〟ことへのハードルを低くするのが、機器を取り揃えた展示・研修スペースの存在だ。

 

実演デモを行う杉村雅哉氏
実演デモを行う杉村雅哉氏

 エイワが全国に網羅する11カ所の支店・事務所のうち、本社にはトレーニングセンターを併設し、エイワの展示・研修機能の中核を担う。横浜支店、名古屋支店にはトレーニングセンターに準じた展示・研修スペースを併設する。

 横浜支店(横浜市都筑区佐江戸町862―1)は21年5月、移転に際して同スペースを併設した。事務所棟にはグループでの座学やミーティングなどマルチに使用できる会議室を、倉庫棟には実機を使用した実技講習や製品の実演デモが可能なスペースを、それぞれ設けた。

 上原健司支店長は「新型コロナによる感染症拡大期でのオープンだったため、感染対策を徹底しながら、展示・研修スペースの機能を活かす方法を模索しつつ顧客の皆様へいかにアプローチを図るかがテーマだった」と、これまでを振り返る。

 感染症の分類が5類に移行してからは所期の目的のひとつとして、主に関東エリアのユーザーを対象に同施設を活用しており、見学者も増えた。また自社の社員教育の場としても利用している。

 その一方で、杉村幸二本部長は「本社が関西にあることを踏まえると、供給拠点の一極集中を避けリスクを分散すること、とくに一大消費地である関東に自前のストックヤードを持つことはとても重要だ」と話す。過去に阪神淡路大地震、東日本大震災で被災した経験があることから、同社は災害時のBCP(企業の事業継続計画)を策定し運用している。

在庫能力を増強した倉庫の『中2階』
在庫能力を増強した倉庫の『中2階』

 製品の供給責任を果たすことはBCPの最重要テーマの一つ。横浜支店は150坪超の倉庫敷地内に『中2階』をしつらえ、製品の在庫管理に活用しているが、このほどそのスペースを拡大。在庫能力を1.5倍ほど高めた。もとよりその立地は、交通道路網が整い港湾に近いという点から、BCPの要件を満たす上で選定したものだ。

 なお、23年に開設した名古屋支店(展示・研修スペース併設)もBCPのアクションプランに沿い、横浜支店でのノウハウをフィードバックしたもの。

 上原支店長をはじめ、同支店スタッフは「機器を実際にご覧いただき触れることで、製品の性能や特徴に対するご理解がより一層深まるものと考える。展示・研修機能を活用して、安全作業や作業品質の向上、軽労化への取り組みを訴求し、皆様の課題解決へのご提案を行っていきたい」と、強い意気込みを示す。


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