ハンドスピンとキャスターを採用
機動性高め場所を選ばず測定
コロナ禍以前から、タイヤ整備はロードサービスカー(タイヤサービスカー)を活用した出張サービスのニーズが増加傾向をみせていた。新型コロナウイルスによる感染症が拡大すると、ソーシャルディスタンスをとることが求められるようになった。タイヤの交換や整備サービスの現場では、ユーザーが来店し対面でビジネスをする従来の方法よりも、指定する場所へスタッフが赴き、その場で作業を完結するという、非対面でのスタイルを希望するユーザーが劇的に増加。それによりロードサービスカーの需要は一層増加した。感染症の拡大は収まりつつあるが、ビジネススタイルの多様化はさらに進む。タイヤの整備サービスは場所を選ばないこと、つまり「機動性」がより重視されるようになった。
小野谷機工(株)(福井県越前市)はキャスター式のホイールバランサー「DYNAMAX(ダイナマックス) TBh−160」を上市した。商品開発本部サービス機器開発部上席主任の武藤圭朗さんが解説と実演デモを担当してくれた。
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「ダイナマックス TBh−160」はハンドスピン(手動回転)式のホイールバランサー。家庭用単相100Vの電源でホイールバランスを測定することが可能だ。
適用タイヤは、トラック・バス8穴/10穴(8穴ホイール・JIS/ISO、10穴ホイール・ISOの各コーンは標準)、超偏平シングルタイヤ(COセットはオプション)、小型トラック5穴/6穴(LTコーンはオプション)、乗用車(PCセットはオプション)、適用ホイール径10〜30インチと幅広い。最大タイヤ径1200ミリ。
手動式の「軸上下ハンドル」を左右に回転させることで、バランサー主軸が上下にスライドする。それによりバランサーの主軸をタイヤのセンターの高さに合わせられるので、主軸への装着時にタイヤリフトを使用しなくても作業時にかかる負荷は少ない。
武藤さんは「最大測定重量は160キロまで対応。TB・LTモードからPCモードへと、ワンタッチで切り替えることができる。ワイドな測定レンジが本機の特徴の一つ」と説明する。
リム径の入力は手動。リム幅の入力はTB・LTは手動、PCアルミは付属のスケールを使った簡易入力方式、PCスチールは手動。ディスタンス入力は自動で行われる。
バランス測定に際しては、スピンハンドルでタイヤを回転させ計測する。回転速度はTB・COが95rpm、LT・PCが115rpm。測定が終わると自動的にタイヤ回転が停止するオートブレーキ機能を搭載した。「回転中に万一、スピンハンドルに接触することがあっても、ハンドルのクラッチ機構により巻き込み防止が図られており、安全にバランス測定作業を行うことができる」と、武藤さんは述べる。
機器本体に4輪キャスターを採用した。とくに後輪は自在型キャスターを採用。楽に移動することができ、機動力を大幅に向上した。
「ホイールバランサーとしての基本機能を装備し、高精度のバランス測定を可能とした。コンパクトな設計で省スペース化を実現しながら、機動性をもたせ、作業性を高めた」という。
ロードサービスカーに搭載し出張サービスでのホイールバランス測定に最適。また、ホイールバランサーの入門機種、2台目・3台目のサポートマシンとしての活用も期待できる。