足立区の平野タイヤ商会「環七沿いで一番の存在に」

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 「環七通り」「かんなな」――これらの通称で知られる都道318号環状7号線。正式名称は「東京都市計画道路幹線街路環状第7号線」という。その「環七」沿いで、強烈な個性を放っているタイヤショップがある。有限会社平野タイヤ商会がそれだ。代表取締役の杉村直泰さん、専務取締役の丹羽薫さんに話を聞いた。

原点回帰。店舗販売で業容拡大

 平野タイヤ商会の所在地は東京都足立区椿。環七通りと都道106号線・鳩ヶ谷街道が交差する椿1丁目交差点角地に位置する。

平野タイヤ商会
スタッフ3名を挟み杉村社長(右)と丹羽専務(左)

 同店ではTシャツやレーシングキャップなどさまざまなオリジナルグッズを作成している。それらのデザインに取り入れているのが店のロゴマーク。名刺にも配している。タイヤショップらしく、タイヤをイラスト化し、その中央に大きく「環七」の文字をあしらった。

 杉村社長曰く、「環七通り沿いにあるタイヤ店と言えば平野タイヤ、環七沿いで一番の存在になりたい。それが大きな目標。それならいっそのこと、環七タイヤ、イコール平野タイヤだと、お客様の間で浸透することを狙い、アピールを強めている」という。実際、環七通りを目印に、横須賀や静岡、さらには仙台、このGWには広島と、全国各地、遙か遠方からの来店もかなりあるそうだ。

 同店はその名の通り、平野氏が地域密着型の個人店として創業した。創業者の子息が2代目として後を継ぎ、特に通販に力点を置くことで、一気に業容を拡大した。

 そんな同店の経営を、杉村さんは2年半ほど前に引き継いだ。ただその経緯が少し変わっている。杉村さんはもともと自動車パーツ業の出身で、同店に卸業務で出入りしていた。そのときに2代目社長から経営権の譲渡を打診され、M&Aによって同店の社長となった。

 自動車部品という括りでは同じだが、それまでのパーツ業界とタイヤ業界とでは、商習慣をはじめさまざまな部分で異なり、戸惑うところもあったようだ。だが、丹羽専務をはじめタイヤ業界を知るスタッフをそのまま引き継ぐことで、不慣れなことを解消してきている。

 平野タイヤの営業は午前9時~午後8時で、年中無休。スタッフは15人体制。店舗での顧客対応が2名、工場のメカニックが5名、通販業務と事務が残りというのがその内訳だ。

 通販事業を行っているとは言え、1店舗のみで15人は多いのではないか。その点を訊くと、経営を引き継いだ当初はそこまで多くなかったそうだ。「時代の流れで『働き方改革』を定着させるべく、勤務時間や休暇取得をきっちりと取るようシフトを組むと、それだけの陣容が必要になった」、杉村社長はそう言う。「若いスタッフを雇用し育成していくにはやはり、会社として労務管理をしっかりとし、働きやすい職場環境を整える必要がある」と続ける。

 店舗での顧客対応スタッフにはコンシェルジュという肩書きをつけている。取り扱い商品から車検に至るまで、あらゆる相談に対応可能な知識を有しており、彼らを目当てに来店する顧客も多いそうだ。

 スタッフに関して付け加えるなら、メカニックに1名、外国人が在籍する。東南アジアからの技能労働実習生ではなく、米国オクラホマ州の出身。来日し英語の講師をしていたが、クルマ好き・レース好きが高じてメカニックへと転身したという変わり種だ。

平野タイヤ商会
平野タイヤ商会

 グローバル化するマーケットで英語で顧客対応することができるのは他にはない同店の強み。後述する、レース活動の現場での海外メーカーのコーディネーター役として、また海外からのファンとの交流にも貢献しているという。

 3代目として杉村社長が描く成長戦略、その鍵は店舗販売による業容の拡大だ。ユーザーや取引先にとって通販は、どうしても負のイメージを抱かれてしまうと分析する。無店舗型の通販に対し、同店は店舗を有し、これまでも来店客への販売対応を行ってきていた。しかもその店舗は認証工場の資格を取得済みである。その強みを活かさない手はない(杉村社長)ことから、改めて店舗販売へとシフトチェンジすることを考えた。先述したようにピットにメカニックを揃え、店内にコンシェルジュを常駐させているのもその一環。

 認証工場とそれをベースとしたメカニックの技術力、コンシェルジュの接客スキルとサービス――それを武器に店舗販売に注力しつつ、通販事業も並行して行うというビジネススタイルの確立を図っている。

 平野タイヤではモータースポーツ活動に積極的に取り組んでいる。メインカテゴリーはD1GP。杉村社長がチーム監督を務めている。ドライバーは木口建治選手。またD1ライツシリーズ、フォーミュラDにも参戦し始めた。

 このようなレース活動はSNSを通じて、ファンから情報が発信されることが多いという。それが同店WEBへの入り口となったり、ファン同士の交流のきっかけとなることもあるそうだ。

 また、同店が取り扱うタイヤをレースの現場で実際に装着し走っているので、究極の実車走行テストを行っていることになる。丹羽専務は「そこで得られた情報を、店舗での販売に活用することでスタッフの商品知識が広がり、ひいてはユーザーからの信頼度アップに大きく寄与しています」と話す。

 今後の展望について、杉村社長は「原点に返り、タイヤ店にすること」と語る。「店内でお客様とコミュニケーションをとり、長くお付き合いいただける関係を構築したい」と続ける。また丹羽専務は「平野タイヤで買って良かった、そう言っていただける店にしたい」と言う。

 目下の目標である「環七通りで一番の店」を果たした後には、「大型の敷地スペースを備えた店」「多店舗展開」へと、さらに大きく夢を描いている。


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