機動力と技術力でサービスを展開する「ミスタータイヤマン東大阪店」

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 今春レポートした株式会社東大阪タイヤサービス(石賀良一社長)本店に引き続き、今回はミスタータイヤマン東大阪店(東大阪市菱江3丁目)を訪問した。この日は天皇の即位礼正殿の儀が行われるため祝日だったが、同店は年末年始を除き年中無休で、取材を快く迎えてくれた。

機動力と技術力でサービスを展開

 東大阪タイヤサービスは1973年10月、先代が個人商店として創業し、1992年に法人化した。「ミスタータイヤマン東大阪店は平成の時代、この地に開店し、以来20数年となる」(石賀良一社長)そうだ。

 本店と同様、大阪と奈良を結ぶ阪神高速13号・東大阪線~第二阪奈有料道路と並行する国道308号線沿いという立地。周囲にロードサイド店をはじめ、戸建て住宅や集合住宅が建ち並ぶ。中・小規模の事業所も密集しているエリアだ。

ミスタータイヤマン東大阪店
ミスタータイヤマン東大阪店

 開店当初は消費財が中心で、生産財は4トン車クラスくらいまでだったという。その後、徐々に生産財の扱いが増えていき、作業スペースを拡大する。それでも作業場が足りなくなり、ロードサービスカーによる出張サービスでそれをカバーするようになる。そうしているうちに取り扱いタイヤは生産財が圧倒的に多くを占めるようになった。

 現在はロードサービスカー型の工作車が5台、コンプレッサーを積載した2トントラックが4台、コンプレッサーを積んだ軽トラックが3台。それらを用途に合わせ駆使し、ユーザーのサービスにあたっている。

 石賀社長の目下の最重要テーマは人材の育成であり、ES(従業員満足度)の向上である。人材をいかに定着させるか。『働き方改革』をどう推進するか。

 自動車整備士不足への対応として、国交省では『労働環境を改善し、働きやすい職場環境づくりを推進する』『生産性向上を通じて、賃金向上の環境整備を図る』などの施策を掲げる。

 東大阪タイヤサービスもグループ全体で意欲的に取り組んでいるところだ。現在、グループ全体で22人の陣容だが、業務の効率化を図るべく仕組みづくりや設備・機器などへの投資を行う。それでも人材は足りないという。

 一方で、市販タイヤの現場では繁忙期と閑散期が存在していることが、事業者にとって従業員の労務管理を非常にむずかしくさせている。メリハリとひとことで片付けるには困難なくらい、仕事量の落差が激しい。

 当然だが、人ができる作業の量には限りがある。1年365日、1日24時間であることは誰もが同じなのは言うまでもない。12月は冬タイヤのはめ替えが集中する極めて多忙な時期。開店前から多くの車両がズラッと並んでいるのが風物詩となる。その時期、スタッフは昼の食事もとることもかなわず、目の前に山積された仕事をただ一心不乱にこなしていくだけとなる。

石賀社長(左から2番目)とスタッフの皆さん
石賀社長(左から2番目)とスタッフの皆さん

 このような光景をなんとか変えることはできないか。そこで石賀社長が考えたのは店内の態勢変更だという。具体的には、今期から現場作業よりも倉庫作業が得意だというスタッフを倉庫管理専任に起用。併せてフォークリフトを1台、新しいものに入れ替えた。それにより、店内で生じる預かりタイヤの出し入れをはじめ、倉庫からの搬入・搬出など、作業の効率化を図った。

 石賀社長によると、スタッフ全員が同じ作業スキルを持ち、すべての業務に精通しオールマイティで対応できれば、それに越したことはない。だが、それはあくまでも理想の姿。人員を適材適所に配置することで、スタッフ自身も得意分野でスキルを100%発揮することが可能となる。それが仕事に対するモチベーションアップに繋がってくる。そのように言う。

 メーカーが主催する作業技能グランプリに、同社が積極的にエントリーし続けているのも、理由は同じだ。かつて同店のスタッフがタイヤショップからの参加者として初めてマイスターの栄冠を勝ち獲った。

 スタッフが仕事を行う上で目標を持つことがいかに重要か。そのコンテストで獲得したトロフィーを家族なり恋人、友人に見せることで得られる賞賛。現場を通じて拡がるファン。それが明日の仕事に対する気持ちの支えとなる。

 人をどう評価するか。一元的ではなく、いかに多元的な角度で評価するか。スタッフをきちんと評価することが、その会社を伸ばす要だと、石賀社長は話す。

 閑散期についてもそれは通底する。「たとえば、お客様の来店がないから、スマホを眺めているとする。その時間を、こちらから『タイヤを点検しに参りました』と、お客様のところへ出向き、それがきっかけで仕事になることもある。お客様のタイヤを点検させていただいて、ローテーションをさせていただいて、あるいはタイヤを交換させていただいて、それでお金をいただいた上に、お客様からは『点検してくれてありがとう』と感謝の言葉をいただく。こんな商売、なかなかありませんよ」

 トラックユーザーとは日頃の付き合いが非常に大事だという。日々、フェイス・トゥ・フェイスで良くコミュニケーションをとり、こちらから先回りできるくらい、タイヤのコンディションを把握することが肝要だ。「価格が第一ではない。価格よりもサービス。当店が持っている技術力をどれだけ売ることができるか、そこが商売の基本だと思っています」
 居心地の良い職場づくり。そして顔の見えるビジネス――石賀社長が目指す姿はそれだ。


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