ブリヂストン、抜本改革へ 経営層のスリム化、ジョブ型雇用の導入も

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カテゴリー: ニュース

 ブリヂストンは11月12日に開いた会見で2023年までの中期ビジネスシナリオに基づく事業戦略の進捗を発表し、石橋秀一CEOは構造改革を進めながら、戦略の実行を支える体制の整備に取り組む方針を示した。「これまでの強みを活かしながら体質変化と新たな成長戦略を実現し、2023年に筋肉質で環境変化に対応できる“強い”ブリヂストンに進化する」と意気込む。

 経費・コストの構造改革は主にタイヤ・ゴム事業で実施する。今年はコロナ禍の危機管理に加え、中長期的な取り組みにも着手。営業費は前年比で1040億円削減する見通しだ。今後、固定費に関しては国内外で報酬制度など人事、組織関連の見直しを進め、20~21年に約130億円の削減効果を見込む。

石橋CEO
石橋CEO

 製造原価の項目では、直材費低減を担うプロジェクトを立ち上げたほか、商品の原価低減にも取り組む。また、2拠点で工場閉鎖へのプロセスを開始し、生産拠点の再編は継続的に取り組む方針を示した。

 さらに、21~22年に集中して事業再編を実施し、抜本的な構造改革を図るという。これらの事業戦略を実行するため、財務戦略基盤の再構築とHRX(ヒューマン・リソース・トランスフォーメーション)による体制の整備にも取り組む。

 財務面では、事業ポートフォリオごとの財務的評価や撤退マネジメントを含む戦略的意思決定の支援のため、ROIC(投下資本利益率)を新たな経営指標に据えるほか、グローバルで投資を管理する機能も強化していく。石橋CEOは「戦略実行のPDCAを着実にフォローし、ポートフォリオ経営を推進していく」と展望を語った。

 タイヤ・ゴム事業のHRXに関しては、「責任やバランスがあいまいになっていた」(石橋CEO)というグローバル、ローカルの各戦略を明確にし、最上位の経営チームG―EXCOが主導権を握ることで“グローカル”経営を進化させる。一方、国内では年功序列制度や組織の肥大化などが課題だった。打開策として来年1月から経営執行体制を変更するとともに新たな人事制度に移行する。

 まず、組織階層を現行の5階層から3階層に変更。執行役員制度も廃止し、経営層は現行の60名程度から常務役員以上の20名程度へ削減する。

 人事制度改革では、現行の“人に仕事がつく”メンバーシップ型に、“仕事に人をあてる”ジョブ型雇用を一部導入する。当面は法務部門やIT関連などで高い専門性を持つ管理職などを対象にし、効果を検証した後、主にソリューション事業で拡大していく計画だ。

 また、日本固有の一律的な評価制度も見直して、スタッフ職群でも定期昇給制度を廃止し、新評価制度を導入する。石橋CEOは「組合とは1年近く話をして納得してもらった。改善をしていきながら皆の納得を得たい」と述べた。

 HRXはソリューション事業でも推進する。グローバルで体制を整備して中長期事業戦略との整合性を担保する。また、日本ではブリヂストンタイヤソリューションジャパンが中心となり事業を加速するなど、各地域・事業に応じた体制を整える。そのほか、ソリューションやDX(デジタル・トランスフォーメーション)、サステナビリティの分野で新たな事業機会を探索するプロジェクトも立ち上げる。

 23年までのビジネスシナリオの先には、2030年に向けてサーキュラーエコノミーに対応した取り組み――原材料のリデュースやタイヤのリユース、リトレッド、リサイクルなどを加速する将来像を描き、2050年にはサステナブルなソリューションカンパニーとして価値を提供するビジョンを掲げる。タイヤ・ゴム事業の体質変革など、将来に向けた大きな改革がスタートする。


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