独自製品で作業性と安全性を両立 小野谷機工「APL-3000」「RSC-01MDβ」

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 小野谷機工(福井県越前市)はこのほど、リフト能力を高めつつ安全装備を強化したパワーリフターの新製品「APL-3000シリーズ」と、出張時の作業性向上に配慮した積載用セーフティケージ「RSC-01MDβ」を発売した。同社は以前より整備の軽労化や効率化だけではなく、安全性向上にも寄与する製品開発に注力してきた。2つの新製品はともに“顧客のニーズに応える”姿勢を具現化したオンリーワンの価値を持ったものとなる。 

リフト能力アップし安全装備を追加「APL-3000シリーズ」

パワーリフター「APL-3000」
パワーリフター「APL-3000」

 小野谷機工が1月に発売したパワーリフター「APL-3000シリーズ」は、タイヤ交換作業にジャストフィットする床置式サービスリフト。その特徴は空気バネを4個採用して、リフト能力を3トンにパワーアップした点だ。

 商品開発部機器商品開発グループの武澤圭朗主任は、「荷重能力が従来モデル(AST-2500E)は2500kgだったが、昨今は車両重量が重くなってきていることから新製品は3000kgまで高めている」と話す。
 また、バネを2個から4個へ増やすことで、設定空気圧力を650kPaから400kPaに下げることが可能となり、結果として空気バネの耐久性向上につながるというメリットもある。

 「APL-3000シリーズ」は、タイプAからDまで4つのバリエーションがあり、スロープはA・Cがショート、B・Dがロングとなる。またCとDにはエクステンションアームが搭載される。

 ロングスロープは2段ステップ式で、低床車でも車両バンパーが干渉することなく乗り入れができる。また、有効なホイールベースの長さを最大3420mm取ることでロングホイールベース車両にも対応した。一方で、乗り入れ側のスロープを分割して外すことによってピット手前側への設置が可能になっており、奥行きの狭いピットでも有効にスペースを活用できるように配慮している。

トラブル時に対応できる「緊急下降用操作バルブユニット」
トラブル時に対応できる「緊急下降用操作バルブユニット」

 さらに、エクステンションは先端を低床化して、よりジャッキアップしやすいような形を採用している。ジャッキポイントまでの高さが車両に干渉する場合はスクリューネジを伸ばして干渉を防ぎ、ジャッキポイントが高い車両の場合には延長アタッチメントを併用できる。これらのリニューアルによって、リフトアップ時の車両安定性を格段に向上させている。

 「APL-3000シリーズ」には安全に下降を行うバルブユニットを装備した点も注目だ。
 バネは定期的なメンテナンスを怠ると経年劣化で破損する可能性がある。ジャッキアップして車両が乗った状態でそういったトラブルに遭遇すると、安全ストッパーが効いて降ろせない状態になってしまうことも考えられる。

 それに対応したのが「緊急下降用操作バルブユニット」だ。武澤氏は「万が一の場合にお客様が手動でバルブを操作してリフトを安全に下降させることができる」とその利点を話す。

 同社では、能力を高めて安定したリフトアップを実現するのはもちろんのこと、安全性にも配慮した新モデル「APL-3000シリーズ」を多くのユーザーへ提案していく。

出張作業の安全性を高める「RSC-01MDβ」

「RSC-01MDβ」と商品開発部の牧野部長
「RSC-01MDβ」と商品開発部の牧野部長

 ロードサービスカーの開発に注力する小野谷機工は積載用セーフティケージ「RSC-01MDβ」を発売した。サービスカーへの積載を考慮し、組み立ておよび折り畳み式安全ケージに充填機を内蔵した新たなモデルとなる。出張でのタイヤ交換作業などのニーズが高まる中、注目の機材となりそうだ。

 商品開発部の牧野智將部長は、「通常、ロードサービスカーで壁に設置しているエア充填機は軽量化しても15kgほどの重さがある。お客様からはこれを持ち運ぶのは手間で、また重量もあるため危険を伴うという声もあった」と話す。

 こうした顧客に要望に応えるべく同社は新たな製品の開発に着手した。「作業性を良く、安全性を高めるために、当初はいかに軽くできないかを考えていた」という。その一方で、「考え方を変えて、持ち運びの作業そのものを無くすことはできないか――総合的に検討して折り畳み式ケージに充填機を内蔵してしまう」という新たな発想に至った。これこそ同社が長年大切にしてきた“独創性”であり、“オンリーワンの価値”が誕生した瞬間とも言えそうだ。

新たな発想でケージに充填機を内蔵した
新たな発想でケージに充填機を内蔵した

 ケージと充填機を一体化することで生み出されたメリットは少なくない。まず、サービスカー内部にあった器具を引っ掛けるためのスペースが不要になり、それに伴って取り付け金具も無くなる。壁面が有効活用でき、サービスカー全体でも軽量化が図れる。

 さらに、持ち運ぶという作業が不要になることは安全性の向上、効率化にも寄与する。なお、新モデルでは将来的に需要が増えると見込まれるトラック・バス用超偏平シングルタイヤにも対応できるように、間口寸法は従来の「RSC-01M」と同等を確保した。

 「RSC-01MDβ」は言い換えれば、メリットのみで構成された機材に仕上がっている印象だ。牧野部長は「お客様のご要望を受けて開発を行ったが、今回のように“一体化”するという発想は初めての試みとなった」と振り返る。

 その上で、「持ち運びが無くなるという煩わしさの解消、そして安全性と良いことづくしの製品になっている」と手応えを語った。


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