横浜ゴム「BluEarth-GT AE51」“グランドツーリング”の走り実現

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カテゴリー: レポート, 試乗

BluEarth-GT AE51

 横浜ゴムは、低燃費タイヤブランド「BluEarth」(ブルーアース)の新商品グランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51」を2月1日から順次発売する。発売サイズは14~19インチの全57サイズで、2019年中に4サイズを追加する予定だ。同社が昨年11月下旬に箱根小田原本線終点の大観山に位置するアネスト岩田スカイラウンジ(神奈川県足柄下郡)で開催した試乗会で、新商品の性能を確かめた。

 試乗会のプレゼンテーションに出席した横浜ゴムの野呂政樹取締役常務執行役員は、新商品について「C~Eセグメントのミドルクラスセダンをメインターゲットとして、走行性能や快適性能、環境性能の全てに優れるグランドツーリングをコンセプトに開発した」と力を込めた。

 “グランドツーリング”の語源は“旅”。新商品では、長距離を運転し、快適性や操縦安定性を求めるドライバーがターゲット。野呂常務は「グランドツーリングの名にふさわしい力強いしっかりとした走りを実現した」と自信を示す。
 
“剛”を目指した商品企画

「BluEarth-GT AE51」試乗会

 現在同社ではコンパクトカーやセダン、クーペ用の夏タイヤとして、ハイパフォーマンスタイヤの「ADVAN」(アドバン)をはじめ、低燃費タイヤの「ブルーアース」、スタンダードタイヤの「ECOS」(エコス)をラインアップしている。

 その中で「ブルーアース」シリーズは、「『コンパクト向けの低転がりタイヤ』『比較的リーズナブルなスタンダードタイヤ』という印象が強かった」と、消費財製品企画部製品企画1グループの小畑恒平グループリーダーは分析する。

 さらに、従来品(BluEarth-A)に対しては、「剛性感の向上」や「国内ラベリング制度の高いグレード」を求める声があったほか、「18インチなど欧州車純正サイズを増やしてほしい」といった要望も挙がっていた。

 こうした市場調査をもとに、新商品「BluEarth-GT AE51」では「“剛”という力強いメッセージを掲げ、低燃費でありながらも操縦安定性に優れたプレミアムイメージを作り上げる」(小畑グループリーダー)ことが開発のポイントとなった。

 その結果、国内ラベリング制度では全サイズでウェットグリップ性能の最高グレード“a”を獲得。転がり抵抗性能は31サイズで“AA”、26サイズで“A”を取得した。また、ウェット操縦安定性とウェット円旋回については、ともにラップタイムを従来品比で2%短縮させた。

優れた剛性感と快適な乗り心地を体感

「BluEarth-GT AE51」試乗会

 試乗会では、トヨタ「プリウス」とVW「ゴルフ」による新商品の絶対評価と、レクサス「GS」に新商品.従来品を装着して性能比較を行った。

 実際に試乗して体感したことはカーブでの安定感だ。担当者は「ハンドルを1~2度切ったときに初期から反応してくれる」と話す。従来品よりもブレが少なく、しっかりと路面をグリップする印象だ。

 さらに、滑らかな乗り心地や静粛性の高さも感じられた。少し荒れた路面でも快適性はそれほど損なわれない。「剛性感があって音が静かなところにニーズがあった」(担当者)というが、まさにその期待に応えている。

 ウェット性能と低燃費性能だけでなく、快適な運転に貢献してくれる剛性感や乗り心地をバランスする  従来とは一味異なった新商品のパフォーマンスが、これから「ブルーアース」シリーズの新たなイメージを切り開き、そして定着していくことが予感されるような性能を披露してみせた。

 なお、「BluEarth-GT AE51」は、トヨタの「クラウン」や「シエンタ」への納入を開始しており、今後も新車装着の拡充を進めていく計画だ。

新商品の採用技術は――

野呂政樹取締役常務執行役員
野呂政樹取締役常務執行役員

 「BluEarth-GT AE51」の商品特徴の一つである操縦安定性には、専用開発のパターンデザインやプロファイルが性能向上に寄与する。

 今回、非対称パターンのアウト側では幅広のリブと非貫通のラグ溝を採用したほか、トレッドセンター部には周上で分断されない3本の高剛性リブを搭載。さらに、滑らかな接地形状や接地圧の均一化、トレッド下層に配置したゴムの厚みなどで最適化を図り、優れた高速安定性や直進安定性を実現している。

 また、横浜ゴム独自の設計技術「歪低減プロファイル」の活用や低燃費ゴムを使用することでサイド部の発熱を抑制。これにより燃費性能の向上を図った。

 一方、ウェット性能は稲妻型の主溝や面取りを施したサイプのエッジ効果によって強化した。さらに、シリカの分散性を高める新混合技術「A.R.T. Mixing」(アートミキシング)を利用してトレッドゴムの路面追従性を向上し、ウェット制動距離を短縮させた。

 そのほか、開発の初期段階から、タイヤの回転時やハンドルを切った状態の接地特性についてシミュレーションを実施した。これにより接地面の最適化とすべり量の低減を目指し、高いスタビリティや、高速走行時のレーンチェンジ.カーブでのグリップといった“グランドツーリングの走り”を確保している。

 野呂政樹常務は「新中期経営計画(GD2020)の消費財戦略では、プレミアム市場における様々な存在感の向上をテーマに置いている。これから意欲的に高性能商品を市場に提供していきたい」と今後の展望を話していた。


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