エイワの「WING TORNADO」タイヤ交換の“イノベーション”実現へ

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 自動車整備士をはじめとする整備業界の人材不足が深刻な局面を迎えて久しい。国土交通省は今年、「自動車整備士不足への取り組み」を明らかにした。その資料によると、自動車整備学校への入学者数は2003年度で12万3000人。それが2016年度では6万8000人とほぼ半減した。一方で、自動車整備要員の平均年齢は44.3歳。全産業平均の42.3歳を上回っている。つまり自動車整備士を目指す若者が激減し、整備の現場では世代交代が進まず作業者の高齢化が進行するという現況が浮き彫りにされている。

 整備士不足や整備士の高齢化の問題を即座に解決する特効薬などはない。ただ、国交省では「自動車整備業における女性が働きやすい環境づくり」が必要とした上で、そのための「ガイドライン」を策定した。

 同ガイドラインには「設備面の改善」「制度や体制面の改善」とともに「工具・機器の改善、作業分担の工夫」を重要ポイントとして列挙。その具体的施策を「身体的負担の軽減のための工具及び機器の導入」と明記した。

 自動車タイヤの販売・整備の現場でも状況に大差はない。企業規模として中小零細が多くを占める分、むしろその影響度合いはより大きいのではないか。それだけに「身体的負担の軽減のため」の工具・機器が一層強く求められる。

「WING TORNADO」と杉村部長

 そのような状況下、エイワ(兵庫県西宮市、前中勝彦社長)がタイヤ整備機器を通じて提案するのが「イノベーション」。この秋から本格発売する乗用車用タイヤチェンジャーの新製品「WING TORNADO」(ウィング・トルネード)が目指すのは「タイヤ交換のイノベーション」である。

 商品部部長の杉村幸二さんによると、「WING TORNADO」は同社のタイヤチェンジャーにおいて最上級モデルに位置付けられる。適応リム径は13~32インチ。その開発コンセプトはずばり、「It’sAUTOMATIC!」(イッツ・オートマチック)――タイヤ外し作業の自動化だ。

 「WING TORNADO」にはセンターロック方式を採用した。杉村さんは「『TORNADO』にはオートマチック・デマウントプログラムを搭載しました。これによりホイール直径とタイヤ幅を設定するだけで、ビード落としからタイヤを外すデマウント作業はタイヤクリームを塗布するだけでオートシステムで行うことができます」と説明する。

 早速、デモ操作に取り掛かる。ホイール付きのタイヤをプレミアム・タイヤリフトへセッティングし、リフトアップすると樹脂製ローラーにより最適なセッティングポジションまで移送できる。ポジションが決まったら電動クランプでセンターロック方式により簡単で確実にチャッキングする。コーンはホイールへの負担を軽減する素材を採用し、傷つけ防止を図った。

電動クランプによるセンターロック方式を採用

 タッチパネルの操作でビードブレーキングを選択。するとマルチファンクションレボルバーツールが3種のツールを回転させ、作業に最適なツールを選択する仕組み。

 ちなみに製品名の「TORNADO」とは、「3種のレボルバーツールがクルクルと回転する様子が竜巻きのように見える」ことに由来しているそうだ。

 ビードブレーキングではツールがビードを押さえる動きに合わせて、ホイール側のターンテーブルがスライドし自動で最適なポジションを設定する。

マルチファンクションレボルバーツールが“竜巻き”のように回転するのが名の由来

 「高剛性タイヤの作業では、熟練した作業者の経験や勘が必要とされます。『TORNADO』にはその頭脳とテクニックを取り入れたような動作をプログラミングしています。例えば、微妙な動きとタイミングでツールを逃がしてあげるところなどはプロの技術そのもの。それをプログラムで再現しました」と、杉村さんは解説する。

 このようなデマウント作業に対し、タイヤをホイールに組み込むマウント作業もセミオートマチックで可能。マルチファンクションレボルバーツールのマウントツールとプレスツールを使うことで、力要らずで作業を行うことができる。

タイヤを外すデマウント作業はオートマチックが可能。省力化と作業品質のハイレベルでの均質化を実現する

 「超偏平タイヤや大口径タイヤ作業に対応する、まったく新しい高剛性ボディ構造を採用し、電動・油圧・空圧の効果的な組み合わせにより正確で確実な作業を実現しています。直感的に操作できるタッチパネル、操作しやすいレバーを採用することで、誰もが簡単に操作できるチェンジャーです。これまで困難だったオートマチック作業を可視化することで、付加価値の高い作業技術をアピールできると考えます」、杉村さんは新製品の性能と品質に強い自信を示した。オートマチックモードだけではなく、作業者がレバー操作で作業することも可能だ。

 なお、本機にはTPMS用センサーをはじめデプスゲージ、タイヤ温度計を装備。タイヤチェンジャーの機能だけでなく、様々な用途に対応可能なポテンシャルを備えていると言える。


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