「ジャパントラックショー2022」タイヤ整備の最新モデルも多数

 5月12~14日の3日間、横浜市で「ジャパントラックショー」が開かれ、様々な企業がタイヤ関連の整備機器・用品を出展。作業の効率化や安全向上に貢献する機材、脱輪事故防止へ向けたツールなどにも関心が集まった。

イヤサカ
イヤサカ

 イヤサカは「大型整備の効率化」を軸にブースを展開し、足回り関連では、米ハンター社のホイールバランサーを展示した。タイヤのハイスポットを検出するローラーを備え、走行時に振動が少ない最適なマッチングを導くことができる。担当者は「タイヤの振動はナットの緩みや貨物に影響することもある」と述べていた。同製品ではウエイト使用量を最小化する機能やホイールリフトなども採用した。

 また、小野谷機工のタイヤチェンジャーも出品。ホイールを傷つけにくいマウントヘルパーやツール自動反転機能、リモコンを装備し、作業性向上に貢献する。

 さらにブースでは、東空販売のボルトクリーナーセットを並べた。締め付け力の確保に重要な汚れ・サビ落とし作業を標準化・効率化できるのが特徴。ハンター社のアライメントシステムも出品し、「偏摩耗や燃費、ドライバーの疲労軽減に向けてアライメントは重要だ」と紹介した。同システムでは車両を簡単に動かせるツールなども用意し、短時間でタイヤ装着状態を確認できる。

バンザイ
バンザイ

 バンザイは、空気充てんやホイール脱落の事故ゼロに向け、3つのポイントごとに適切な工具の活用を呼び掛けた。

 まず空気充てんに関しては、旭産業のTBインフレーターや東洋精器工業のブラインド式安全ケージを出品。ケージは爆風誘導板が斜め上向きの角度で取り付けられており、爆風から作業者を保護するほか、オプションの自動充てん機も安全性向上に寄与する。

 2点目のナット締め付けトルク管理には、空研の電子制御コントローラー内蔵パワートルクセッターを紹介。最後のナット緩み確認の項目では、ナットの緩みを明示するインジケーターの脱着作業で活躍する東洋精器工業の「プッシュル」を出品した。

 また、スウェーデン・ヨサム社の大型車用アライメントテスターも展示。担当者は「車軸の角度がずれていると燃費悪化や偏摩耗につながる」とし、アライメントが経済性や安全性に貢献すると指摘。さらに、大型車へも制御技術の搭載が進む中で「アライメントの必要性が見直されるのではないか」と話していた。

安全自動車
安全自動車

 安全自動車は、脱輪事故防止に向けた足回り点検整備ツールをまとめて訴求した。このうち「日常点検」の項目では、ナットの緩みが一目で分かるインジケーターや、エアゲージ、旭産業のTBインフレーターを紹介。5本同時充てんが可能な同インフレーターは、タイヤバルブに接続すると手を離すことができ、ロングホースも採用したことから、作業負荷軽減や安全作業にも貢献する。

 「ナット締め付けトルク管理」に関しては、東日製作所の大型車ホイールナット締め付け管理システム「TWMS」を出品。同システムを活用すると締め付けトルクをタブレット上で確認でき、作業記録も残せるという。また、エアゲージ、トルクレンチの校正機もブースに並べ、定期校正の必要性を呼び掛けた。 ブースでは、新商品でエアホースリール用のあばれ防止カバーを公開。ホースに巻き付けたカバーがパンク時のホースのあばれを抑え、車両の破損事故などを防ぐほか、ホースの長寿命化も期待できるという。

アルティア
アルティア

 アルティアのブースでは、小野谷機工のトラック・バス用自動タイヤチェンジャーが参考出品されていた。同商品はワイドシングルタイヤにも対応したのが特徴。また、従来モデルではTPMSセンサーがタイヤに干渉しないよう作業することが求められていたが、参考出品モデルではその必要もないという。

 大型車対応のアライメントテスター「ジャンボ3Dスーパー」も展示した。担当者は「アライメントによって燃費が改善し、タイヤの長寿命化も実現する。大型車にも運転支援技術が採用されてきており、アライメントの必要性は高まっていくだろう」と話していた。

 また、空研の電子制御コントローラー搭載パワートルクセッターを出品。年初の脱輪事故の報道後、問い合わせが増加しており、納入数も増えているという。

オレンジジャパン
オレンジジャパン

 オレンジ・ジャパンは、トラック・バス用のTPMS(タイヤ空気圧監視システム)「HT430BLE」を出品した。同製品では、タイヤのトラブルを知らせるモニターを大きさなどが異なる4モデルから選べる。このうち2・7インチのミニモニターは、近年の運転席周りのレイアウトや視認性などを考慮して昨年投入した。担当者は「ドライバーから見えやすい位置にどこでも設置できる」と紹介していた。

 また、三菱ふそうの純正TPMSシステム対応の補修用OJセンサーを参考出品した。純正センサーはエアバルブ式で、タイヤ脱着時に壊れるケースもあったため、オレンジ・ジャパンの補修用ではベルト巻き方式を採用した。同製品は今夏に発売する予定。

トピー実業
トピー実業

 トピー実業は、2021年に発売したトラック・バス向けの「ブリリアント・ホイール」を展示した。

 同製品は、ゴールド、パープル、ブルー、ダークブルー、グリーンの全5色で展開するドレスアップホイール。下塗り塗装とカラー塗装、クリア塗装の3層塗膜構造で、カラーバリエーションや光沢感といった意匠性と優れた耐久性の両立を目指した。

 担当者は「建設現場などでは泥を落としてから外に出るが、ホイールが温まっている状態で水に入るのでダメージを受けやすい。塗装でこういったダメージを抑えることができる点も特徴」と説明した。また、寒冷地で使用する融雪剤によるホイールの傷みを抑制する効果も期待できる。

Climate
Climate

 Climateは、トラック・バス専用ホイール「ブラック・ウルフ」を展示した。同製品は、「人と違うデザインのホイールを使いたい」と考えるユーザーをターゲットに、従来とは異なるデザイン性を追求している。

 アルミニウム合金を使用した鍛造ホイールで、フローフォーミング製法により十分な強度を保ちつつ軽量化を図っている。ディスク面は切削加工と塗装もしくはポリッシュ加工によりスタイリッシュな仕上がりを目指した。カラーは黒色とポリッシュ仕上げの銀色の2色を用意した。

 同社では「強度を保つのは当たり前で、その上で“格好いい”のがコンセプト」とした上で「カスタムトラックの流行に向けて先駆者になれれば」と展望を示している。

ミカタ
ミカタのバランス安定材

 ミカタは、バランス安定材「チェッカーフラッグ」を展示した。この製品は多孔質セラミックでできた直径2mmのビーズで、タイヤ取り付け時に内部へ適量を投入することで走行中のタイヤバランスを調整するもの。高速走行時に内部で分散したビーズが、振動を受けてタイヤの軽い部分に散らばることでバランスを維持することができる。

 同社の足立好德社長は「100kg超える大型車両のタイヤをバランサーにセットするのは大変な作業。『チェッカーフラッグ』はタイヤに入れるだけのため、軽労化に寄与する」とそのメリットを説明した。

 欧米ではタイヤの寿命が25~30%延びることが実証されているほか、燃費改善、摩耗抑制や長寿命化による経済効果、快適な乗り心地などの効果がある。あわせて、摩耗を減らすことでタイヤから発生する摩耗粉を減少できるため、海洋プラスチックの減少にもつながる可能性があるという。


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