販売回復で増収増益。タイヤ事業は売上収益27%増

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カテゴリー: ニュース

住友ゴム工業23年12月期第2四半期

山本悟社長
山本悟社長

 7日発表の住友ゴム工業23年12月期第2四半期連結業績は、上期累計で売上収益が前年同期比9.6%増、事業利益が同20.4%増、営業利益が同33.7%増、当期四半期利益が同52.3%減。

 タイヤ事業は売上収益が同9.3%増、事業利益が同27.4%増で増収増益だった。

 物価上昇やウクライナ情勢が影響し経済環境が緩やかに減速する状況が継続。為替や物価動向などで不確実性が高いとする。一方で海上輸送コストは対前年で大きく低下し、原材料価格の上昇も一服感が見られた。

 国内新車用タイヤは半導体不足などで自動車メーカーの生産制約は続いているが、その影響は緩和してきたとする。足元の販売状況は前年同期を上回った。国内市販用タイヤは冬タイヤの販売が好調、夏タイヤも前年同期並みで推移。値上げ前の仮需もあり、全体では前年同期から増加した。

 海外新車用タイヤは主に中国での日系OEM販売の低迷が影響したが、新型コロナの影響で大きく落ち込んだ前年同期よりも販売が回復した地域が多く、全体では対前年で増販。海外市販用タイヤはアジア・大洋州地域において中国でゼロコロナ政策が撤廃されたこともあり販売が徐々に回復し、前年同期を上回った。欧州はタイヤ需要の鈍化と冬タイヤの需要低調で、販売は前年同期減。米州では低採算品の販売を抑制し前年割れした一方で、主力のファルケン「ワイルドピーク」シリーズは好調に推移した。

 なお、同期に中国のタイヤ販売子会社など2社を連結範囲から除外した。

 

 通期予想を上方修正。中間配当も5円実施

 

 住友ゴム工業は7日、通期連結業績の予想を修正した。第2四半期の累計期間、売上収益で自動車メーカーの減産基調が継続した影響があったが、値上げや円安効果があり前回発表予想を上方修正。利益面でも原材料価格の高騰影響の緩和や高機能タイヤの拡販による構成改善などがあり、事業利益、営業利益、当期利益のいずれも前回発表を上回る見込み。

 今回修正した通期連結業績予想は、売上収益が前回予想の1兆1600億円より100億円増の1兆1700億円。利益面は、事業利益が前回予想440億円より60億円増の500億円、営業利益が前回予想345億円より65億円増の410億円、当期利益が前回予想210億円より20億円増の230億円。

 配当金については第2四半期実績と通期業績予想が第1四半期時の予想を上回ることから、1株あたり中間配当金を当初予想0円から5円へと修正し実施した。期末配当は年初予想の35円を据え置き、年間配当金は1株あたり40円となる予定。

 

 センシングコアで共同実証実験を開始

 住友ゴム工業が米バイアダクト社と提携

 

住友ゴムのセンシングコアとバイアダクト社による車両故障予知ソリューションを組み合わせたイメージ図
住友ゴムのセンシングコアとバイアダクト社による車両故障予知ソリューションを組み合わせたイメージ図

 住友ゴム工業は7日、米国の車両故障予知会社Viaduct Inc.(以下、バイアダクト社)と『センシングコア』の共同実証実験を開始することを明らかにした。この提携を通じて、トータルフリートマネジメントサービスの実現を加速させるのが狙い。

 バイアダクト社はインターフェース『TSIエンジン』を開発し、北米で200万台以上の車両に車両故障予知ソリューションサービスを提供してきた実績を持つベンチャー企業だ。住友ゴムの車輪速解析技術を基にするセンサーレスセンシング技術『センシングコア』と、バイアダクト社のAIを活用した車両故障予知ソリューションサービスを組み合わせ、実証実験を行う。

 この実証実験はタイヤ、ブレーキ、エンジンなどの車両状況をリアルタイムで把握することを目的とし、フリート事業者が抱える課題解決を目指す。車両全体をモニタリングできるようになれば、走行時の安全性向上、車両稼働率向上、メンテナンスコストの削減が可能となる。

 住友ゴムではこれまで、TPMSを活用した「空気圧・温度管理サービス」でタクシー・リース・レンタカー各事業者と実証実験を行ってきた。今回の取り組みでは『TSIエンジン』と、さらに一歩踏み込んだ『センシングコア』の「タイヤの摩耗検知技術」の検証を試みる。このバイアダクト社との連携を通じてさらに質の高いトータル車両故障予知ソリューションサービスの展開を図る。


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