国交省「大型車の車輪脱落事故防止対策検討会」が中間取りまとめ

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カテゴリー: ニュース

 国土交通省は12月27日、「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」の中間取りまとめを公表した。大型車ユーザーに対して劣化部品の適切な交換を促す緊急点検の実施、タイヤ脱着作業者が適切な作業手順・保守管理手順を確認するための動画公開などを事故防止対策として掲げたほか、一定期間に複数回の車輪脱落事故を起こした事業者の整備管理者に対する解任命令の発令、人為的なミスを防ぐための車両対策の必要性も示された。

 近年、大型車の車輪脱落事故が増加傾向にあることを踏まえ、国土交通省では昨年2月に「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」を設置した。これまで4回の会合を開き、各種調査や実証実験の結果を踏まえて検討を行い、車輪脱落事故防止対策のあり方を議論してきた。

 検討会で車輪脱落事故が起きた車両やタイヤ脱着作業の実態などを調査・分析したところ、事故車両では劣化したナットが使用されていたり、ナットの点検・清掃、潤滑剤の塗布が適切に行われていなかったりしたケースが確認された。また規定トルクでナットの締め付けを行っておらず増し締めも行っていなかった車両や、日常点検でナットの緩みを確認していなかったり、整備管理者による指導・管理が不十分だったりした事例も確認された。

 さらに、大型車を用いた実証実験では、適切に潤滑剤の塗布を行わない場合、ボルト・ナットは締め付けを繰り返すたびに軸力が徐々に低下することが分かった。また、最大積載の大型貨物自動車の左右の駆動輪をメーカーの規定よりも低いトルクで締め付けた上で、悪路条件を模擬したテストコースを走行させた結果、走行に伴い急速に軸力が低下してゼロになることが明らかになった。

 こうした状況を受けて、検討会では車輪脱落事故防止対策を提言。速やかに実施すべき対策として、「大型車使用者に劣化部品の適切な交換を促す緊急点検の実施」「タイヤ脱着作業者が適切な作業手順・保守管理手順を確認するための動画公開」「車輪脱落事故防止キャンペーンの継続的実施」などを決めた。

 また、中長期的に実施すべき抜本対策として「車輪脱落事故惹起事業者等の整備管理者に対する特別研修の新設」「一定期間に複数回の車輪脱落事故を惹起した事業者等の整備管理者に対する解任命令の発令」「タイヤ脱着作業者の人為的な作業ミスを防ぐための車両対策」などを公表した。

 国土交通省では、「関係団体と協力して車輪脱落事故防止対策を推進していく」としている。なお、検討会では「左後輪の脱落事故が多い理由など、明らかにできなかった点があるため、引き続き検討を行っていくことが望ましい」と今後の課題を挙げている。


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