日本ミシュランタイヤの須藤社長「日本から世界へ貢献」

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カテゴリー: ニュース

 事業の全ての領域でサステナビリティ(持続可能性)を推進する仏ミシュラン。2050年までにタイヤを100%持続可能にする取り組みを進めるほか、タイヤ以外の事業にも注力していく方針を掲げている。これらの改革により国内でのビジネスはどう進化していくのか――。4月に日本ミシュランタイヤの新社長に就任した須藤元氏は、「日本の特徴を活かして発信していくことがグループや世界に対する貢献になる」とその重要性を話す。

国内でもサステナブルモビリティを

日本ミシュランタイヤの須藤社長
日本ミシュランタイヤの須藤社長

 日本ミシュランタイヤの須藤社長が本紙の取材に対して今後の方針を話した。ミシュランは2050年までにタイヤを100%持続可能にする取り組みを進めると発表し、使用する原材料を全て天然素材やリサイクル材料に置き換えると表明した。まずは2030年までに使用比率を現在の3割から4割へ高める。

 須藤社長は「そのハードルは低くない」としつつも、「単独で進めても枠は小さくなる。今後、ビジネスモデルや回収などエコサイクル全体の中での提携は間違いなく増えていく」と述べ、国内でも様々な形で提携やパートナーとの関係を構築していく考えを示した。

 使用済みタイヤのリサイクル化では、既にミシュランがスウェーデンのエンバイロ社との提携を開始。合弁事業として2023年にチリでリサイクル工場を稼働させる計画を発表しており、そこでの評価や課題を抽出しながら将来はグローバルで循環型ビジネスを展開していくという。

 その一環として群馬県にある研究開発拠点、太田サイトでは「ハイテクマテリアル」と呼ぶ再生ゴムの活用方法に関する研究をスタートした。「日本でもエンバイロのような工場は選択肢の一つにはなるが、将来に向けて様々なリサーチやアイデアを進める」(須藤社長)としており、市場に最適な形でリサイクル化に取り組む。さらに、グループとしてタイヤ以外の事業でも売上高を拡大させる方針を打ち出す中、日本でも医療用機器向けの素材や材料など、タイヤ事業で培った技術を幅広く応用することを検討していく。

 一方で軸となるタイヤ事業では、乗用車カテゴリーも含めて成長が見込まれるソリューションサービスでビジネスを拡大する。須藤社長は「サステナブルへの取り組み、ソリューションなど色々な分野でイノベーションのフロンティアになりたい。本数ではなくバリューで伸ばしていく」と意欲を示す。

 サステナブルな商品はその顧客価値を高めるための一つの武器と言えそうだ。昨年からのコロナ禍で「何かを犠牲にするのであれば、消費者に受け入れられない。不利益なものは支持されない社会になっていく」と変化を感じているという。その上で、「サービスや品質に対する消費者からのニーズが高い日本市場で、時代を先取りしたものを提案していきたい。社会にミートしたものであれば必然的に伸びていくはず」と話す須藤社長。

 今後、様々な戦略を加速する中で、どのようにグループ全体の成長、サステナビリティに貢献していくのか、その手腕が試されていきそうだ。


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