作業負担軽減に貢献 小野谷機工からチェンジャーとリフト発売

 小野谷機工はこのほど、大型車用タイヤチェンジャー「プロスーパーPSP-235」とバランサー用タイヤリフト「L-1200spec(スペック)2」を新発売した。「プロスーパーPSP-235」はパワーを高めて脱着時の負担を軽減するとともに、省電力・低騒音・省スペース設計によりサービスカーへの搭載にも適したモデルとなる。「L-1200スペック2」はバランサー主軸部への自動芯出し機構リフトとしてリニューアルした。作業現場で人手不足や高齢化が顕在化する中、ともにオペレーターの負担軽減に貢献する新製品だ。

ミドルクラスのTBチェンジャーがパワーアップ「プロスーパーPSP-235」

「プロスーパーPSP-235」
「プロスーパーPSP-235」

 超偏平ワイドシングルタイヤや23.5-25クラスのOR(建設機械)用タイヤにも対応したタイヤチェンジャー「プロスーパーPSP-235」。パワフルな作業性とタフさを兼ね備えつつ、コンパクト・軽量化を実現する設計を行い、10月から販売を開始した。

 開発を担当した商品開発本部サービス機器開発部の坂井良治課長は、「プロスーパーシリーズの長所は残しつつ、6年前に発売した前モデル『TC-235スペック2』をご使用頂いているお客様から寄せられた意見を取り込んだ」と話す。

 「プロスーパーPSP-235」の適用ホイールは16~26インチと従来から変更はないが、これまでは1段だったチャック爪を2段にすることで、OR用や農業機械用タイヤなどで採用されている肉厚のホイールをはじめ、より多くの種類のタイヤを掴むことができるように改良した。

商品開発本部サービス機器開発部の坂井課長
商品開発本部サービス機器開発部の坂井課長

 また、ユーザーから寄せられた「タイヤ交換の際にタイヤを押し付けたり、剥がしたりする時のパワーが欲しい」という要求に対し、ツールとアームの移動推力を従来比約40~60%高めて、力強いビードブレーク、タイヤ脱着作業が行えるようにしたという。より直感的な作業ができるようにアームとツールは連動して動くダブルアクション方式を採用している。

 推力を向上するとともに、ツール移動部にはスライドベースを採用し、たわみ強度も格段に高めている。坂井課長は、「以前は2本の丸いシャフトで移動をガイドしていたが、パワーアップすると真ん中がたわみやすくなってしまう」と指摘する。ただ、シャフトを太くすると重量が増してしまうため、新モデルに採用したプレートはたわみが常に一定になるように工夫している。その結果、「シャフトを太くするより軽量にできている」とメリットをあげる。

 さらに、今回は省電力・低騒音な油圧ユニットを採用。これはスイッチ操作で油圧ポンプが起動し、未使用時には自動で停止するもの。使用電力をセーブしつつ、騒音の発生を減らして油の温度上昇や劣化抑制にも効果を発揮する。

 様々なタイヤに対応する能力を持ちながら、コンパクトさや省電力、低騒音というニーズにも対応した新モデルは出張サービスカーへの搭載にも最適なモデルとなる。元々「プロスーパー」はアームが肘のように畳まれており、機械の奥行きがコンパクトで済むのが特徴だ。これはサービスカーに搭載する際、ゲートに乗せやすいだけでなく、収納時に庫内スペースが空くのでその分多くのタイヤを積めるなど、多くの効果が期待できる。坂井課長は「スタイル的には従来とほぼ同じだが、お客様から頂いたご要望を反映するための改良を行い、更に扱いやすい機械になっている」と自信を示している。

 なお、オプションとしてビードローラーやワイドシングルタイヤ用のサポートバーなども用意している。

自動芯出しリフトをリニューアル「L-1200スペック2」

作業性を大きく高める自動芯出し機構
作業性を大きく高める自動芯出し機構

 近年は乗用車やSUVなどで標準タイヤの大口径化が進み、タイヤの重量増に伴って作業時の身体的な負担も増してきている。こうした中、小野谷機工では「お客様からタイヤの上げ下ろし、バランサーの軸に合わせるのが大変という声も聞くようになってきている」としており、以前から注力してきた作業負担を軽減する“サポート機器”の開発を推進している。

 その一例がバランサー用タイヤリフトだ。9月に市場投入したタイヤリフト「L-1200スペック2」は自動芯出し機構を備えた機器となる。従来モデル(1200)の発売は今から実に19年近く前。ユーザーから作業負担軽減へのニーズが高まっている中、今回のリニューアルを決めた。

 最大の特徴である自動芯出し機構はリフト台でタイヤを上昇させてタイヤを挟み込んだ際に、ホイールハブ穴とバランサー主軸芯が正確に合う仕組みになっている。通常、軸の芯の高さは作業者が腰をかがめながら目視で合わせる必要があったが、この機械であれば誰でも正確な作業が行える。

商品開発本部サービス機器開発部の竹内氏
商品開発本部サービス機器開発部の竹内氏

 この機能のほか、新モデルではより作業性を向上させるために様々な工夫が施されている。例えば、リターン式のハンドバルブを採用して操作性を高めたり、コーン掛けをL字型に改善して落下を防止したりするなど、「できるだけスムーズな作業ができるようにデザインした」(商品開発本部サービス機器開発部の竹内優作氏)という。さらに、低偏平タイヤなどで起こりやすいホイール干渉を防止して作業時の不安も低減している。

 竹内氏は入社4年目の若手社員。開発責任者として新製品を仕上げたのは今回が初めてで、「使いやすく完成できたので、是非多くのお客様に使って頂きたい」と期待を込める。
 同社ではホイールバランサーを新規で導入する際にセットで提案するのはもちろんのこと、「L-1200スペック2」単体でも“サポート機器”としてユーザーへ訴求していく。

 新製品のリフト能力は約75kgで、適用タイヤ径は580~900mmとなっている。


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