小野谷機工、主力チェンジャー「PROSEED PSD-455/1700」発売

 小野谷機工は創立50周年という節目を迎え、戦略的な新製品を相次いで市場投入している。宇田公郎専務取締役は「近年はクルマが変わり、それに合わせてタイヤも変化している。新機能を搭載した開発を行い、お客様のニーズに応えたい」と意欲を示す。多くの新製品の中で、トラック・バス用タイヤチェンジャー「PROSEED」(プロシード)シリーズから発売した「PROSEED PSD-455」と「PROSEED PSD-1700」の2機種は、昨今の市場動向に合わせた様々な機能により作業性を大きく進化させた期待のニューモデルだ。

「PROSEED PSD-455」
「PROSEED PSD-455」

 超偏平シングルタイヤの交換作業を可能にする「プロシードPSD-455」、23.5~25クラスの建設機械(OR)用タイヤまで幅広く対応する「プロシードPSD-1700」は兄弟モデルとして、それぞれ約15年ぶりに大幅なリニューアルを遂げた。

 2つの機種には作業性向上や作業者の安全性確保につながる共通の機能が多く搭載されている。商品開発部・機器商品開発グループの坂井良治氏に、まずはそれらの特徴を解説してもらった。

 一つ目はホイールへの径合わせをチャックで行う「チャックスライド機構」だ。ツールとホイールを合わせる際、従来はツールが伸び縮みするが、今回はチャック側を伸縮させるようにした。これにより、機械後方に飛び出す量が減少し、従来機と比べて約90%の大きさを実現した。

 坂井氏は「従来タイプでは後方がデッドスペースになってしまうが、小径タイヤの作業を行う時にはコンパクトにでき、必要な時に伸ばすことで、より広くピットスペースを活用することができる」とそのメリットを話す。

「PROSEED PSD-1700」
「PROSEED PSD-1700」

 また、“パワフル”という点にも注目したい。ビードブレーク力やアーム持ち上げ力は従来機より20~40%も向上したという。「スピードとパワー」は特にユーザーからの要望が多く、機器の力強さが結果としてスピードアップへつながっていく。

 3番目の特徴は「省電力ユニット」の搭載だ。これは電気代の節約はもちろん、作業場の静音化、油圧作業油の劣化抑制にも寄与する。

 通常のタイヤチェンジャーは電源を入れると起動音が発生し続けるが、新モデルではスイッチをオンにして油圧ユニットから何らかの信号を送った時だけ作動し、信号が無くなれば自動で停止する仕組みになっている。

坂井良治氏
坂井良治氏

 さらに同社の主力機種「プロシード」シリーズならではの特徴として「ダブルアクション」「センター固定&任意作業高」といった機能も継承した。

 「ダブルアクション」はアームとツールが同時に交互移動するもの。従来タイプはそれぞれ別に動くのに対して、1回の動作(アクション)で完了しスピーディーな作業を実現する。

 また、「センター固定」は、サイズに関係なくツールロック時にはチャックのセンターにセットされ、ビードへの負担が少なくなる。センター固定でない機械ではホイールを上げる作業が必要になるが、新機種はタイヤをチャックしてツールを降ろせば芯が出ており、「任意作業高」という名称そのままに、最適な高さにタイヤを浮かせれば作業が行える。タイヤの投入から作業が早く、軽労化や安全作業に貢献できる機能だ。

 「プロシードPSD-455」は、超偏平シングルタイヤに最適な仕様に設計したことが最大の特徴。同社では「シングルタイヤは高速道路などをメインに走行する車両で採用するケースが増えてくると予測しており、それにいち早く対応した」としており、「シングルタイヤの交換作業を自在に操るニューマシンになっている」と自信を示す。

 超偏平シングルタイヤは近年、国内市場でも新商品が相次いで発表されており、幅広の455/55R22.5サイズが主流。「プロシードPSD-455」はその名前の通り、455mmサイズにジャストフィットしたモデルだ。

安全かつ効率的な作業を実現するための付属品も多く揃えた
安全かつ効率的な作業を実現するための付属品も多く揃えた

 坂井氏は、「タイヤが幅広なので今までよりも作業は大変になるが、新たな治具を開発して安全に脱着できるようにしている」と話し、「超偏平シングルタイヤ用サポートバー」「楽なバー」を活用した作業を提案する。これらの付属品は、ビードを外す際のウエル部誘導補助、またタイヤの飛び出し防止としても有効だ。

 同モデルにはスライドプレート構造を採用した点もポイントだ。従来機種よりも剛性が高いため、どの位置でもたわみ量が少なく、隙間が無くなるという利点がある。

 もう一方のニューモデル、「プロシードPSD-1700」はトラック・バス用、小型トラック用はもちろんのこと、直径1700mmまでのORタイヤや農機用タイヤまで幅広く対応する“ハイスペック型プロシード”と位置付けられる。

 「プロシードPSD-455」ではオプションとなっている「アーム高速スライド」は標準で装備。この機能は油圧2段スピード機構で、作業の難易度に応じてアームの移動スピードを切り替えでき、作業中の待ち時間短縮が可能となる。

 坂井氏は「ベースは同じなので、余裕が欲しいお客様は『455』、大型のOR用タイヤはさほど作業しないという方には『1700』をお勧めしたい」としている。ここでは紹介しきれないほど多くの機能で、ユーザーニーズに応えた2つの新型チェンジャー。同社の主力機種としてプロショップから自社整備を行うユーザーまで幅広く提案していく考えだ。


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