インジケーターの着脱を容易に 東洋精器工業から作業ツール発売

シェア:
カテゴリー: レポート, 整備機器

 東洋精器工業はこのほど、ホイールナットマーカー(インジケーター)の着脱ツール「PU-SH&LL(プッシュル)33」を開発した。大型車の車輪脱落事故防止に向けた取り組みの一つとしてインジケーターを装着する車両が増える中、新商品は作業者から届いた困りごとに応えてデザインしたという。その開発背景や商品特徴を販売企画部の本部長である太田正彦専務取締役と、同部技術部長兼横浜支店長の青木茂雄氏に聞いた

容易にインジケーターを引き抜くことが可能
容易にインジケーターを引き抜くことが可能

 近年、大型車の車輪脱落事故件数が増加する中、国土交通省は「自動車の点検及び整備に関する手引き」の一部を改正し、4月1日から施行した。ナットの緩みの点検方法については、点検ハンマーを利用した従来の手順に加え、ホイールナットマーカーなどを活用した新たな点検方法を導入している。

 このホイールナットマーカーは、ホイールナットに装着しておくことでナットの緩みが目視できるインジケーターのこと。2つのナットに装着する連結式の「チェックリンク」や、1つひとつのナットに取り付ける「チェックポイント」などが流通している。

 昨年から今年にかけて国交省が主導した「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」では、連結式インジケーターの配布も実施された。このキャンペーンを経て、車輪脱落事故の発生が集中する左後輪にインジケーターを装着した車両を目にする機会も増えてきた。

左側ではインジケーターを取り外すことができ、右側は装着時に使用する
左側ではインジケーターを取り外すことができ、右側は装着時に使用する

 こうした市場環境を背景に、東洋精器工業はこのほど、「チェックリンク」や「チェックポイント」の着脱作業を効率化する「PU-SH&LL(プッシュル)33」を開発した。ナットサイズ33mmのISOホイール(22.5及び19.5インチ)に装着される「チェックリンク」と「チェックポイント」専用の着脱ツールだ。

 販売企画部本部長の太田正彦専務取締役は、「様々なお客様から『インジケーターは外すのも装着するのも大変』と聞いていた」と開発の背景を語る。

 市場にはインジケーターの取り外し用プライヤーなどもあるが、「プッシュル」ではプライヤーと全く異なる形状を採用し、より容易な作業の実現を目指したという。

 開発時には、1つのツール単体で「チェックリンク」と「チェックポイント」それぞれに対応することを目標にした。両インジケーターのリング部分が異なった形をしているため、従来、1種類のプライヤーだけでは対応しづらいケースなどもあったためだ。

 「チェックリンク」と「チェックポイント」ともに利用できるよう開発し、完成した「プッシュル」は、両端を使い分けることでインジケーターの装着作業と取り外し作業のどちらも行うことが可能になった。

「プッシュル」を手にする青木氏
「プッシュル」を手にする青木氏

 装着時には「プッシュル」でナットにインジケーターを押し込むことができ、取り外しの際は装着時と反対側でインジケーターを引っ掛けて抜き取ることができる。

 最近では、「インジケーターの着脱に時間が掛かって困った」というタイヤ販売店の声も聞くが、販売企画部技術部長兼横浜支店長の青木茂雄氏は、作業を実演しながら、「『プッシュル』を使用するのとしないのとでは作業のスピードが違う」と、そのメリットを紹介していた。

 また、「プッシュル」中央にはグリップ部を設け、作業性にも配慮した。さらに、弾力性があり強靭な樹脂を採用したため割れにくく、金属製のツールとは異なりホイールを傷つける心配もいらないという。

 青木氏は「車輪脱落事故防止の取り組みとして、インジケーターの活用は今後も増えていくのではないか」と指摘する。事故抑止に向けて積極的な変化が求められる中、作業の効率性や品質といったニーズに応え、業界全体の取り組みをサポートする新たな商品が誕生した。

 なお、同製品は6月上旬に上市する計画。価格などの詳細は営業担当者まで。


[PR]

[PR]

【関連記事】