廃タイヤの発生量、前年から100万本減  有効利用率1ポイント上昇

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カテゴリー: ニュース
過去に不法投棄された廃タイヤ。原状回復支援制度の運用ですでに撤去されている
過去に不法投棄された廃タイヤ。原状回復支援制度の運用ですでに撤去されている

製紙工場での熱利用が拡大

 日本自動車タイヤ協会(JATMA)はこのほど、国内における2023年(1月—12月)の廃タイヤ(使用済みタイヤ)の発生量と有効利用量をまとめた。タイヤ取替時、廃車時の発生量は合計9千万本で前年と比べて100万本減となった。また有効利用量は77万6千トンとなり、前年に比べて1万6千トン増加した。

廃タイヤ発生量 廃タイヤのルート別発生量
廃タイヤ発生量 廃タイヤのルート別発生量

 

 〈別表・上〉のように、23年の廃タイヤの発生量について、ルート別に分析すると「タイヤ取替時」の発生量が7800万本で前年比100万本の減少となった。物価高による消費者・企業マインド低下の影響などで、市販用タイヤの販売は前年より減少しており、これにともなって廃タイヤの発生量も減少した。

 「廃車時」は1200万本で前年と同規模だった。廃車台数が前年に引き続き300万台を下回り、廃タイヤの発生量も前年と同等となった。

廃タイヤ発生量 有効利用量の推移
廃タイヤ発生量 有効利用量の推移

 一方、有効利用量は〈別表・下〉の通りで、有効利用量は前年に比べて増加となり、有効利用率も1ポイント上昇した。

 主な要因としては、製紙工場における廃タイヤの燃料利用が拡大した。前年に比べて約1割増加し、有効利用量全体の約6割を占めた。廃タイヤの熱分解については、新規参入が続いているものの、有効利用量の全体からみると限定的だった。

 なお今回の調査から、〈別表・下〉より更生タイヤ(リトレッドタイヤ)は除外された。JATMAでは更生タイヤは使用されている限り廃タイヤにならず、発生量・有効利用量に影響がないことをその理由としてあげた。諸外国でも同様の考え方で整理されているという。

 また、従来は廃タイヤ発生量、リサイクル利用量を別のデータソースから求め、その推計値をもとにリサイクル率を算出していたが、より実態に即した数字を示すため、今回から廃タイヤ処理量に占める有効利用量を有効利用率として算出した。なお、有効利用率は、「有効利用量」/「有効利用量+非有効利用最終処分量」×100で算出する。

 さらに、国内の有効利用率を算出する観点から、中古タイヤ輸出および切断品・破砕品輸出、輸入され有効利用された切断品・破砕品は除外した。

 国内の熱利用先が海外から廃タイヤの切断品・破砕品を有価購入する状況が続いていて、23年の年間輸入量は集計開始以来過去最高の約13万9200トン(前年比約6万トン増)だった。

 

 不法投棄残存量も減少

 

 廃タイヤの不法投棄残存量は24年3月の調査時で2万3765トン。前年の調査時と比較し、件数で1件減少、重量で1398トン減少した。JATMAは、全量撤去に至っていないものの集積量が減少した案件が複数あり、総量として減少したとしている。


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