現場のユーザーの声を全て反映 東洋精器工業「PIT G-50V」

 東洋精器工業は4月にトラック・バス向けタイヤチェンジャー「PIT(ピット)G-50V」を新発売した。新製品は、新たな設計機構でボディ剛性や脱着パワーを強化しつつ、省スペース・省電力・省騒音化を実現した点が大きな特徴となる。また、サーマル異常ランプの搭載やスライド部の調整が可能な設計で、メンテナンス性も大きく向上させるなどユーザーの声に徹底的に応えたモデルとなる。同社販売企画部の青木茂雄技術部長兼横浜支店長にデモンストレーションを交えながら特徴を解説してもらった。

現場のユーザーの声を全て反映したタイヤチェンジャー

「PIT G-50V」
「PIT G-50V」

 「PIT G-50V」は前モデル(G-50L―N)より大幅なパワーアップを実現しながら、省スペース化を図ったタイヤチェンジャーとなる。ライトトラック用タイヤやトラック・バス用向けのモデルで、対応するホイールサイズは16~22.5インチ、チャック可能なハブ穴径は110~480mmとなっている。タイヤ直径は最大1200mmまで対応する。

 コンセプトは「省スペース&省電力&省騒音」「パワフル(脱着パワー&強靭構造)」「メンテナンス性の向上」の3点で、特に脱着時のパワー向上やボディの強靭化、製品のサイズや重さのバランスに注力した。

 青木技術部長は「力を強くしようとすると機械自体も大きく重たくなってしまう。この機材はサービスカーへの搭載も想定しており、スペースや積載重量を考慮しつつ、それらを両立するのは構造上非常に大変な部分だった」と開発時のポイントを語る。

青木技術部長
青木技術部長

 今回、油圧ポンプモーターを前モデル比0.7kW増の2.2kW(三相)に変更し、2馬力から3馬力に強化。併せて、油圧ポンプも大型化したほか、前モデルでは油圧シリンダー1本と同調チェーンで移動させていたツールとアームに、それぞれ油圧シリンダーを1本ずつ割り当てる方式に変え、全体的に前モデルより20~60%ほどパワーアップした。適用タイヤ幅は最大445mmで、445/50R22.5の超偏平ワイドシングルタイヤでも力不足を感じないパワフルさを実現している。

 現場で省力化・軽労化が特に強く求められているのがこの脱着作業だろう。特に繁忙期にはそれが顕著になるが、同製品が持つ力強さは作業者にとって安心と安全、さらに負担軽減にもつながっていく。実際のデモンストレーションを見ると、大型のトラック用タイヤであっても無駄な力を入れることなく、スピーディかつ確実に作業を完了できる印象だ。機械から発生する音も想像以上に抑えられていた。今回は同社ショールーム内という静かな環境で作業が行われたが、機械音は気にならないほどだ。

 また、構造の設計も見直した。例えば、最も負荷がかかりやすいツール部では、伸縮する軸径を65mmに拡張し、しなりや曲がり対策を施している。動作中も安定した剛性感を発揮し、「自信を持ってお勧めできる製品」として製作された。

油面計
油面計

 一方で重量は従来品モデルとほぼ同等の695kgに抑えている。最大サイズは幅を50mm、奥行きは250mm縮小して全体をコンパクト化した。省スペースは作業場の広さが限られる店舗やサービスカーへの搭載時を想定して高いニーズがある。青木技術部長は「250mm程度のコンパクト化であっても、サービスカーの中ではタイヤ1本分の大きなスペースを確保できる」とその利点を話す。

 さらに、作業の合間に稼働していないときは機械が自動的に油圧モーターを停止し、レバー操作と同時に回転を再スタートする機能を搭載。使用電力をセーブしつつ騒音の発生を減らすことができるだけでなく、作動油の温度上昇と劣化をなるべく抑え機械のパフォーマンスの安定に寄与する。夜間の出張作業などで周囲への環境に配慮できるほか、電気料金の上昇が続く中、コスト削減も期待できそうだ。

 ただ、そういったモーターの動きに違和感を覚える場合は、制御ユニット内のスイッチで常時稼働モードに切り替えるといった選択肢もある。多様化するユーザーの好みや作業スタイルに合わせた運用が可能となっている点は、顧客の声を重視してきた同社ならではと言えるかもしれない。

 メンテナンス性に寄与する新機能としては、「サーマル異常時のお知らせランプ」の採用が挙げられる。機械の動作中に異常な高負荷が掛かった場合、モーターなどを保護するために強制的に停止するが、これまでは「急に機械が動かなくなった」といった作業者からの問い合わせに同社のサービススタッフが出張対応するケースが少なくなかったという。

お知らせランプ
お知らせランプ

 今回、停止の原因が一目でわかるランプを設置したことでユーザー自身が容易に装置を復帰できるため、サービス対応の待ち時間といったロスの削減にもつながっていく。

 視覚的に状態を把握しやすくするという観点から、油面計はクリア仕様にした。油圧オイルの汚れや量を目視で確認可能で、交換も平易なユニット配置を構成した。少ない時間で簡単にチェックできるため、点検による負担も軽減しそうだ。

 また、使用している間に振動や負荷などによってツメやスライド部に隙間が生じてもボルトで調整することで、新品時に近い状態に戻すことができ、長期間の使用にも耐えうる構造を目指した。

 オプションはこれまでより増やし、グレートツールやツールスタンドなどを用意した。新たに追加したチャッキングスタンドは、ライトトラック用ホイールなどの小径リムのチャッキング着脱工程で手作業を減らし、指を挟んでしまうといった事故の防止を目的としている。

ワイドシングル用サポートバー
ワイドシングル用サポートバー

 ワイドシングル用サポートバーは、手で押さえる代わりにワイドシングルタイヤを押すためのツール。体力の消耗を抑え、働きやすさの向上にも寄与するほか、タイヤに直接触る動作が減り、手や衣服に汚れが付きにくくなることもメリットに挙げられる。

 青木技術部長は「『PIT G-50V』は私が初めて全面的に開発した製品となる。これまでの営業活動の中で、現場で吸い上げた“こういう風に改良してほしい”といった声を全て反映した」と自信を示す。

 コンパクトで省エネルギー、静粛性を持ちながらパワフルで長く使える――様々なユーザーのニーズに応える東洋精器工業の想いが“初心者から玄人まで使える製品”として形になった。


[PR]

[PR]

【関連記事】