住友ゴム、ASEANへ向け供給拡大図る タイ第3工場が本格稼働

住友ゴム ASEANへ向け供給拡大図る

 住友ゴム工業はタイ工場からASEAN(東南アジア諸国連合)各国へ向けた供給体制を強化する。5月に本格稼働を始めたタイで3カ所目となる新工場からは農業機械用タイヤなど産業用タイヤを供給し、コメの輸出大国である現地需要を取り込む。さらに世界最大級の生産規模を誇る乗用車用タイヤ工場では、早期に生産能力を日産10万本レベルまで引き上げ、これまでの欧米向け輸出から、一層の成長が見込まれる東南アジア市場へと供給先をシフトしていく。タイの一大生産拠点は世界の輸出基地からASEAN市場の司令塔へと照準を合わせつつある。

AG用タイヤでシェア50%を

 住友ゴム工業は10月2日、タイの製造子会社であるスミトモラバータイランド(ラヨーン県)でプレス向け見学会を開催し、今年5月に稼働したタイ第3工場を公開した。

 40億バーツ(約130億円)を投じて建設した同工場は、同社グループの農業機械用タイヤの生産拠点として初の海外工場。以前から操業している乗用車用の第1・第2工場に続く第3工場と位置づけられ、乗用車用工場と同じ工業団地内に立地する。生産品目は農業機械用タイヤ、ゴムクローラ、フォークリフト用タイヤで、生産能力は年産14万本からスタートし、2017年には同60万本まで拡大する計画。

 工場の敷地面積は約13万m2、第1期として8万8000m2の敷地に3万711m2の工場を建設し生産を始めたが、十分な拡張可能エリアを確保し、将来の生産拡大に備えている。

 タイにおける農業機械用タイヤの市場規模は、新車用、市販用ともに年間30万本前後と推定されている。現地ではクボタ、ヤンマーなどのシェアが約9割と高く、日系農機メーカーの独壇場となっている。同社はこれらの供給先との間でこれまで培ってきた実績と信頼、品質の高さを武器に拡販を進め、2016年時点で市場シェア50%を目指す。さらにベトナムやカンボジア、ミャンマー、ラオスといった近隣各国での販売も視野に入れている。

PC工場は日産10万本に

第1・2工場全景
第1・2工場全景

 一方、乗用車用タイヤを生産している第1・第2工場は2006年の生産開始以来、欧米を中心としたグローバルなタイヤ供給拠点として、合計1200億円に及ぶ大規模な設備増強を継続してきた。数年のうちに日産10万本レベルに達する見込みだが、同時期にトルコ新工場やブラジル工場の供給が拡大するのに伴い、その役割は変わっていくものとみられる。

 スミトモラバータイランドの長畑亨代表取締役社長は、「最終ステージに近づいており、10万本に達したあたりでグローバルにタイヤを供給していくという役割はストップし、ASEANへの供給比率が高まってくるかもしれない。今後、ASEAN域内での需要がさらに高まってくれば、欧米への輸出はトルコやブラジルでカバーする」と、今後の展望を話した。

 ASEAN域内でのタイヤ需要は、2020年に2011年と比較して6割増の7200万まで拡大すると見込まれており、世界有数の巨大マーケットへと成長する。同社では市販用タイヤはもちろんのこと、新たなOE納入先の拡大も含めて、東南アジアにおける事業を加速する。


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