自家整備が半数超。大型車の車輪脱落事故発生件数

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カテゴリー: ニュース

「タイヤ脱着作業管理表」「日常点検表」活用し適切な作業の徹底を

「タイヤ脱着作業管理表」のフォーム見本
「タイヤ脱着作業管理表」のフォーム見本

 国交省は「令和4(2022)年度大型車の車輪脱落事故」の発生状況をまとめた。調査報告によると、昨年1年間の事故発生件数は140件、このうち車輪脱落事故による人身事故は1件で、前年度実績123件に対し17件増加した。

 140件のうち、車両脱着作業後1カ月以内に車輪脱落事故が発生したものが74件、構成比52.8%と圧倒的に多い。また車歴別の車輪脱落事故発生件数では、初度登録年から4年を経過した大型車で多く発生している。

 脱落した車輪の位置は「左後輪」に集中して発生している傾向は変わらないままで、令和4年度は94%にも達する。また事故の発生をタイヤ脱着作業の実施者別にみると、140件中、「大型車ユーザー」が52%と、その大半を占めているのはこれまでと変わりない。「タイヤ専業店」25%、「自動車整備事業者」18%で続く。

「日常点検表」のフォーム見本
「日常点検表」のフォーム見本

 またタイヤ脱着作業の内容別では「タイヤ交換」が66%と、全体の3分の2を占める。以下、「定期点検整備」19%、「タイヤローテーション」10%、「臨時整備」4%の順で続く。

 なお同省では、車輪脱落事故車両140台のうち136台に対し、各部品に劣化・損傷状態やタイヤ脱落作業の実施状況を確認する事故車両調査を行った。この結果「ホイール・ボルトやナットに著しいサビがあるものや、ゴミなどの異物が付着しているもの」「ホイール・ナットとワッシャのすき間に潤滑剤の塗布が見られず、ホイール・ナットがスムーズに回転しないもの」など、適切なタイヤ脱着作業が実施されていない車両が認められたという(出典は「自動車事故報告規制に基づく報告及び自動車メーカーからの報告」)。

 このような結果を受けて、国交省は昨年に引き続き「令和5年度緊急対策」を発出し、10月から「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を開始した。

 「緊急対策」では、自家整備(大型車ユーザー)の事故発生件数が大半を占めていることを踏まえ、全日本トラック協会と日本バス協会の傘下会員に向け次のように注意喚起を行った。

 「整備管理者は、自社で大型車のタイヤ脱着作業を行うときは、作業者に対して、〈タイヤ脱着作業管理表〉に沿って作業を実施、その結果を記録させて、適切なタイヤ脱着作業が行われていることを確認すること」

 「整備管理者は、〈タイヤ脱着作業管理表〉を使用して、タイヤ脱着作業後の増し締めの実施結果を記録し、確実に増し締めが実施されていることを確認すること」

 「整備管理者は、日常点検実施者に〈日常点検表〉を使用して、『ホイール・ナットの緩み及び脱落』『「ホイール・ボルト付近のさび汁痕跡』『ホイール・ナットから突出しているホイール・ボルトの不揃いの確認』『ホイール・ボルトの折損等の異状』の点検を確実に行わせること」

 また自家整備以外でも、「大型トラックや大型バスのタイヤ脱着作業を行う場合、作業管理の記録簿を作成し保管する必要がある」と指摘する。「脱着作業を行った際にはユーザーに増し締めを行う必要があることを伝え、その説明をしたことをチェックボックスに印を打つなど記録として残し、その写しを渡す」ことが肝要だとする。

 これらの施策を通じ事故の防止対策の周知・徹底を図っていく考えだ。


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