国内4社、25年12月期第1四半期業績発表  大口径化がミックス改善に寄与  春需遅れと値上げ、米国関税がリスクに

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カテゴリー: ニュース
タイヤイメージ
2025年12月期第1四半期の連結業績

 国内タイヤメーカー4社は2025年12月期第1四半期の連結業績を明らかにした。国内市販用で春需の遅れと値上げ前の駆け込み需要、大口径化トレンドが収益に影響し、売上高で明暗を分けた格好だ。米国の関税政策が朝令暮改の状況で世界経済の見通しが不透明。各社は動向を注視するものの、関税リスクが顕在化した場合でも「コストを吸収することは可能」と自信を示す。ブリヂストン、横浜ゴム、TOYO TIREは2月発表の通期業績予想を変更しない。住友ゴムは利益面で予想を据え置くが、売上収益で第2四半期累計・通期業績の予想を下方修正した。

 

 ブリヂストン

 ブリヂストンの25年12月期第1四半期は減収減益となった。売上収益は前年同期比1%減の1兆581億円、調整後営業利益は7%減の1114億円、四半期利益は12%減の759億円。原材料コストや棚卸未実現が重荷となった。

 エリア別にみると、欧州では着実に改善し、増収増益。プレミアムタイヤ事業では調整後営業利益率5・1%となった。北米も市販用TBビジネスで増益を確保した。

 一方、南米は苦戦した。アルゼンチンでは超インフレ会計の適用以後、24年度上期に調整後営業利益率がマイナス2.2%まで悪化。ダメージコントロールを進めてきて、同国事業における調整後営業利益率は11.5%まで回復した。ただブラジルでのビジネス悪化が深刻で、調整後営業利益率はマイナス12.3%だった。

 プレミアムタイヤ・ソリューション事業では農業機械(AG)用タイヤが大幅減益となり、全体でも対前年同期比で減益となった。

 

 住友ゴム工業

 25年度第1四半期の売上収益は2878億円(前年同期比1%減)、事業利益は141億円(同39%減)、四半期利益は36億円(86%減)。

 タイヤ事業の売上収益は2446億円(同0.2%増)で過去最高となった。国内新車用タイヤは、前年に一部カーメーカー減産の影響があり販売本数は前年を大きく上回った。国内市販用は、冬タイヤが好調で前年の販売本数を大幅に上回った。夏タイヤは採算重視の販売方針により微減。国内市販用全体では、オフテイク品の受注減により前年を下回った。

 海外新車用はアジア圏の自動車メーカー向けが大きく減少。海外市販用はアジア・太平洋地域では前年同期を上回った。欧州全体ではオールシーズンタイヤは拡販できたが、市況低迷を背景に前年同期を若干下回った。

 通期の業績予想では、利益面は為替の円高の影響やタイヤ販売本数の減少を反映し、年初予想より売上収益の減少が見込まれるが、年初予想を維持。売上収益は第2四半期連結累計と通期連結業績予想を下方修正した。タイヤ事業の中間期累計売上収益予想は5135億円から5025億円。

 また、為替が想定以上に円高に進行したとして、第1四半期連結会計期間で為替差損約80億円を計上した。

 

 横浜ゴム

 第1四半期の売上収益は2751億円(前年同期比9.0%増)で過去最高となった。事業利益は241億円(同3.2%減)、営業利益は193億円(同27.7%減)、当期利益は85億円(同56.9%減)。

 海外のタイヤ消費財の販売数量増、高付加価値商品の販売増など順調に進捗。Goodyear社のOTR事業買収による一過性要因を除けば事業利益も過去最高となった。

 タイヤ事業では、新車用タイヤは国内納入車種販売と中国系メーカー向け納入が拡大。市販用は国内・欧州・アジアなど各地域で販売増となり、売上収益は前年同期を上回った。

 OHTの売上収益は、農機メーカーの減産などの影響で厳しい環境のなか、補修用市場の販売拡大、買収したGY社のOTR事業の業績が加わり、前年同期を上回った。

 米国輸入関税の影響額は25年の年間で約165億円を想定するが、販売価格の見直し、販売数増などにより吸収する。

 25年の業績見通しは、第1四半期の順調な進捗を踏まえて25年2月の公表値を据え置く。為替は米ドル140円、ユーロ161円としている。

 

 TOYO TIRE

 売上高は第1四半期として過去最高の1355億円(対前年比6.2%増)。営業利益は224億円(同13.7%減)。原材料費などのコスト増加により減益となった。円高基調から為替差損を計上し、経常利益は183億円(同42.7%減)、四半期純利益は135億円(同41.4%減)となった。

 タイヤ事業の売上高は1238億円(同6.2%増)、営業利益は219億円(同14.6%減)となった。国内市場では、市販用タイヤの販売量は前年度を下回った一方、付加価値商品への販売シフトにより売上高は前年並みとなった。新車用タイヤは、自動車メーカーの需要回復により販売量は前年度を上回った。

 北米市場では重点商品の堅調な需要と円安基調の影響で販売量・売上高は前年度を上回った。欧州市場の市販用タイヤは事業再編の影響で販売量・売上高ともに前年度を大きく下回った。

 米国の関税政策の影響により日本の景気下振れリスクが高まっていると分析。25年通期業績予想は、関税の影響は対策などにより吸収可能と想定し前回予想を据え置く。為替レートは米ドル146円、ユーロ156円としている。

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