市販用ビジネスに力強さ SUV用タイヤ、大口径タイヤが市場牽引

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カテゴリー: ニュース

 2022年1~5月累計の市販用タイヤの販売本数は、四輪車(トラック・バス、ライトトラック、乗用車)用合計で前年同期比10.5%増加した。値上げが集中した4月単月では9.5%減少したものの、この5カ月間の販売本数は2019年同期も4.7%上回る。タイヤメーカー各社はコロナ前レベルへの回復に期待がかかるリプレイス市場で独自の戦略を推進する。

 上半期は、原材料価格の高騰を理由に各社がタイヤの価格改定に踏み切った。ヨコハマタイヤジャパンの矢羽田雄彦社長は市場動向について、「(値上げを行った4月は)春需期でもあり、世の中は人の動きが戻ってきていたので市場もセルアウトの力が残っていた。極端な反動はなかった」と振り返る。

 また、4月以降は「高付加価値商品を軸としたセルアウト支援の取り組みを強化・推進」(ブリヂストンタイヤソリューションジャパンの久米伸吾社長)する動きもあった。5月頃にかけて一部で仮需の反動も出たが、「通年で前年の販売は超過できる」(住友ゴム工業の河瀬二朗執行役員)、「通年で市場の伸びを上回る成長を実現したい」(日本グッドイヤーの金原雄次郎社長)といった意欲的な声もあがった。

 商品展開では、SUV用タイヤに関する施策が際立つ。「昨年あたりから市販市場でSUV向けの数量が急激に増えてきている。今後5年、さらにその先は一大勢力になるだろう」(メーカー関係者)といった見方もある中、ブリヂストンは高付加価値商品を基軸に展開しつつ、特にSUV領域の高インチタイヤを強化していく方針だ。

 住友ゴムでは、新商品の投入やグラントレックの強化によって、街乗りとオフロードそれぞれのニーズに対応。横浜ゴムは、中期経営計画で販売構成比率の最大化を目指す商品の一つにジオランダーを位置付け、アウトドアなどの趣味を楽しむドライバーへ訴求する。

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)もオープンカントリーを重点商品の一つとし、販売に注力している。トーヨータイヤジャパンの山邊憲一社長は「このブランドをベースに独自のイメージを醸成したい」と抱負を述べた。

 また、オールシーズンタイヤに関して、住友ゴムの河瀬執行役員は「販売数量は大幅に増えている」とした上で、「潜在需要はまだまだある」と期待感を示した。日本グッドイヤーでは「コアの商品と捉え、さらに強化していく」(金原社長)考えで、今年は新商品の発売も予定する。

 一方、生産財事業では、商品の供給にあわせ、デジタル技術を活用したサービスの提供が広がっている。ブリヂストンではタイヤやメンテナンスを提供する事業者向けのプランに、20年末から空気圧の遠隔モニタリングシステムを導入した。久米社長は「運送事業者の稼働最大化に貢献していきたい」と話す。

 横浜ゴムは、IoTを活用したタイヤ管理のサポートシステムを運営。同システムは空気圧モニタリングシステムとも連携し、台タイヤ利用の判定機能の追加といった進化を遂げてきた。

 デジタル技術を取り入れた新たなサービスについては、将来の事業化に向けた動きも盛んだ。住友ゴムや横浜ゴムは乗用車向けにタイヤ管理のソリューションサービス、TOYO TIREは摩耗予測技術に関する実証実験を進めている。

 下期に向けては、「特に『ブリザックVRX3』はお客様の声を活かしながら更なる拡販へつなげていく」(久米社長)、「『アイスガード7』はサイズも追加し、元気よく販売していきたい」(矢羽田社長)といった前向きな姿勢が目立つ。事業環境の先行きを見通すことは容易ではないが、スタッドレス商戦の盛り上がりにも期待したい。


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