トーヨータイヤ “新たなステージ”へ――供給体制を最適化

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)の清水隆史社長が本紙のインタビューに応じ、グローバルでタイヤ供給量を最適化させていく方針を語った。同社は2022年1月に欧州初の生産拠点としてセルビアに新工場を稼働する計画を発表している。清水社長は「これによりグローバル生産体制が大きく変化する」とその意義を話し、日米欧、アジアなど各市場で販売量を引き上げることで、新たなステージへと企業力を高めていく考えを示した。

グローバル生産を最適化、販売増へ

 「足りない部分を明らかにして、持っている物をフルに活用することで変化をチャンスに変えていく。単に生き残りに執心するのではなく、勝ち残る挑戦をする」――8月に開催した決算会見の席で清水社長は今後の成長戦略を説明し、その上で「新たな企業ステージを目指し、更に存在感のある魅力を発揮していきたい」と力を込めた。

トーヨータイヤの清水社長
トーヨータイヤの清水社長(伊丹市の本社で)

 同社にとって成長の源泉となるのが生産供給力の拡充だ。グローバルのタイヤ需要は中期的に伸長すると見込まれている中、トーヨータイヤでは2023年時点で約800万本の需給ギャップが生じると試算。早期の生産能力拡大が重要なテーマだった。

 既に増強に取り組んでいる米国工場やマレーシア工場に加えて、三重県の桑名工場でトラック・バス用タイヤの増産、さらにセルビアに新工場を構えることで2023年時点のグローバル供給量は年間4400万本レベル(乗用車用タイヤ換算)に達する見込みで、「世界的にバランスが揃う」(清水社長)という。

 セルビア工場は2023年夏には年産500万本の生産体制を確立させる。同社は既に欧州市場で600万本を販売しているが、現在は全量を国内工場やマレーシア工場からの輸出に頼っている。これを現地化することによって物流面や原材料の調達などで、コスト競争力を大幅に高めることが可能となる。

 一方で国内市場やアジア向けには、販売代理店からオーダーを受けてもキャパシティに余裕がないために十分応えることができないケースもあったという。今後、欧州向けに生産していた部分を日本やアジアに振り向けることが可能となり、取りこぼしていた需要をカバーしつつ、増販につなげていく。

 従来から強みがあった北米市場での販売も一層強化する。セルビア工場では北米で普及しつつあるオールシーズンタイヤや高性能タイヤを補完的に生産するほか、今年秋にドイツに新設する研究開発(R&D)センターとの連携によって、技術面でも他社と差別化できるような一段上を目指したモノづくりに磨きをかけていく。これにより、ピックアップトラックやSUV用タイヤで不動のポジションを確立させ、北米市場では売上高ベースで5位を目指す。

 一方、欧州に生産拠点やR&Dセンターを置くことで新車用タイヤのビジネスも拡大させたい考えだ。清水社長は「欧州の新車用タイヤでは車種やメーカーにターゲットを定めていく」と述べ、工場がフル稼働した後の2024年以降から本格的な供給をスタートさせていく方針を示した。

 また、自動車産業が大きな変革期を迎える中、技術開発も積極化する。将来のモビリティに必要な技術については、資本業務提携した三菱商事との連携によって新材料や新素材の開発に着手しているほか、センサーメーカーや大学などとも協力してイノベーションの創出につなげていく。

 社長就任から間もなく4年を迎え、これまで大幅な組織体制の変更や非タイヤ部門の事業譲渡、さらに三菱商事との提携などを断行してきた清水社長。これから数年の間にも引き続き大きな施策が展開されていく中で、トーヨータイヤがどこまで成長を遂げていくのか、大いに注目される。


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