――創業80周年を迎えて、トップとして率直なご感想を。
「23年12月に社長を拝任しました。80周年の年に社長になれたことは巡りあわせとして幸運に感じています。9代目の社長となるわけですが、創業メンバーのかたがた、先輩たち、そして現在いる社員、周りのかたがたがいてくれたおかげで80年も続けてこられました。深く、深く感謝しています。本当に皆さんのおかげです」
――100周年に向けての抱負や決意を。
「100周年、それ以上をめざしていかなければならない。自動車業界が100年に一度の変革期にあり、その波を乗り越えてイヤサカ自身の変革も行わなければならない。〈将来に夢と希望を持てる会社〉〈全社員にとって働きがいのある会社〉にする。それが一番の課題であり使命です。これができれば次にバトンを渡すことができます」
――振り返って、苦労したことも多かったのでは。
「中越地震のとき、中越地域を担当していました。震災時、気をつかってお客様に連絡をとらないでいると、『お前の会社は電話の一本もないのか』とお客様からお叱りを受けてしまいました。こういうときこそ連絡をとらなければいけないと学びました。
宮城沖地震のときにも仙台支店にいましたが、そのときは率先してお客様と連絡をとりました。震災を経験したからこそ、コロナ禍でも皆で相談してなんとか乗り越えてこられたと思っています」
深刻な人手不足。省力化機種が好調
――当期の数値目標に対する進捗状況は。
「当期83期の売上目標額は230億円、経常利益目標額6億5千万円。昨年12月のプレス懇談会で業績がいいのに目標設定が低いのではないかとの指摘を受けましたが、到達できない数値を掲げてもモチベーションを考えると、目標を設定する意味が見いだせなくなります。
運動会でも優劣をつけないなかで育ってきた世代に、到達不可能なゴールにここまで走ってこいというのはなかなかむずかしい。目標に到達できて、それからさらに上をめざすほうがいいという判断です。
82期は過去最高額を達成できました。この6月で第3四半期が終わりましたが、社員一同、一生懸命頑張ってくれているので、この83期も現状までは前期なみに推移しています」
――国内市販用タイヤ需要が回復しないなか、タイヤ販売店のチャネルでも好調のようだ。
「ハンター社製品が好調です。整備業界では深刻な人手不足があるので、ベテランではない整備士にも扱いやすい機器がたとえ高価だったとしても、導入したほうがいいとお客様は判断しているのでしょう。これが好調の要因です。精度が高く、作業品質を保てる、ホイールに傷をつけずに整備することができる高級機種の販売が好調に推移しています」
(以下、本紙で記事全文と写真を掲載)