エアレスタイヤの開発加速 月面車からフードデリバリー用まで

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カテゴリー: ニュース

 新たなモビリティに対応した「エアレスタイヤ」の開発が加速している。仏ミシュランや米グッドイヤーは、ゴルフカート用や芝刈り機向けなどでエアレスタイヤを既に実用化しているが、今回新しく月面での使用を想定した車両や宅配に使う自動運転車をターゲットにして開発に取り組んでいることを発表した。

ミシュランのLTV用タイヤ
ミシュランのLTV用タイヤ

 ミシュランは1月12日、米航空宇宙・防衛企業ノースロップ・グラマンが主導する月面地形車(LTV)に関するチームに参加し、エアレスタイヤを開発していると発表した。LTVは、米航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画に含まれる有人月面探査での活用を想定したもの。

 ミシュランの研究開発チームは、月面の極限環境に耐えることができるタイヤを開発し、2025年には月、将来的には火星での活用を目指す。NASAと協力したこれまでの経験やハイテク素材の知見、エアレスソリューションの開発で培ったノウハウを活用する。

ミシュランの電動カーゴ・トライク用エアレスタイヤ
ミシュランの電動カーゴ・トライク用エアレスタイヤ

 また、同社は1月に米国で開催された「CES2022」で電動カーゴ・トライク用エアレスタイヤ「エックス・トゥイール」のプロトタイプを発表した。ミシュランでは「都市部のモビリティとラストマイル配送の課題解決は、将来の持続可能なソリューションの鍵となる」とし、「エアレスタイヤにより、パンクによる車両のダウンタイムを無くし、多くの荷物を安全に運ぶことができる」とそのメリットを説明している。

 「エックス・トゥイール」は、タイヤとホイールが一体化されており、ボルトで一旦固定すれば、空気圧を維持する必要は無いことが特徴。樹脂製スポーク内のエネルギー伝達により、優れたハンドリングを発揮しつつ、空気入りタイヤのように機能する設計になっているという。

 一方、米グッドイヤーは1月5日、配達ロボットの開発などを手掛けるスターシップ・テクノロジーズの自律走行型車両向けにエアレスタイヤの開発を行っていると発表した。

グッドイヤーのエアレスタイヤを装着したロボット車両
グッドイヤーのエアレスタイヤを装着したロボット車両

 スターシップ・テクノロジーズは、グッドイヤーの関連会社が出資するベンチャー企業の1つ。宅配やフードデリバリー用の自律走行ロボット車両を開発し、1000台以上を運用している。グッドイヤーはタイヤの安全性担保とメンテナンスに関する要望に応えるため、タイヤ寿命を延ばし、メンテナンス作業を軽減するために特別に設計したタイヤを開発した。

 また、両社は車両とタイヤの状態を評価するため、ボーリング・グリーン州立大学で実地試験を進めており、車両にタイヤを装着した状態での初期試験では、トレッドの摩耗やブレーキ、振動減衰に関して良好な結果が得られているという。

 フードデリバリーに使用する車両は、24時間稼働し、様々な天候や地形で毎日数千件もの配達が行われている。グッドイヤーでエアレスタイヤを担当するシニア・プログラム・マネージャーのマイケル・ラチタ氏は、「マイクロ・デリバリーでは通常の宅配とは異なるニーズがある。当社はメンテナンスフリーで長持ちするタイヤ管理を実現し、これらのニーズを満たす」とコメントしている。


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