コンチネンタル、日系カーメーカーへ更なる採用拡大へ

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カテゴリー: タイヤ事業戦略, 特集

 世界の新車市場で約3割のシェアを誇り、特にアジアで高い人気を持つと言われる日系自動車メーカー。独コンチネンタルはグローバルで日系カーメーカーの承認を多数獲得しており、世界市場で流通量を拡大させている。さらに、2018年は日産自動車「リーフ NISMO」に装着される「ContiSportContact5」の国内納入を開始するなど、日系カーメーカー向けのOEタイヤ事業を一つのキーとして更なる成長を目指している。

アジア地域での成長図る

 コンチネンタルは、タイヤメーカーの売上高の世界ランキングで現在第4位に位置しており、成長戦略「Vision 2025」では、2025年までにトップ3へのランクアップを掲げている。

 そうした中、2016年の地域別売上高は、欧州・中東・アフリカ(EMEA)が59%、米州が31%であるのに対し、アジア太平洋(APAC)は10%。グローバルでのタイヤ販売におけるアジア地域のシェア(約15%)に比べてやや低い水準となっている。

 一方で、この数値からはアジアにおける同社のシェア拡大がまだまだ期待できることも見て取れる。

シュテフェン・リッセル氏
OEタイヤ事業部ダイレクターのシュテフェン・リッセル氏

 コンチネンタルタイヤ・ジャパンOEタイヤ事業部ダイレクターのシュテフェン・リッセル氏(J-OEMアジア営業統括部長)は、「成長戦略の実現に向けて、巨大なタイヤ市場であるアジアでのビジネスは重要だ」と、その位置付けを話す。

 現在日本では、東京・品川区に日本法人コンチネンタルタイヤ・ジャパンとしてオフィスを構え、リプレース事業部が国内アフターマーケット向けのタイヤ販売を実施。また、OE事業部が国内向け新車用タイヤのデザイン・官能評価を含めたタイヤ開発や品質管理を行っている。

 OE事業部が日本市場でメインターゲットに定めるのは、D及びEセグメントやSUVのほか、今回「コンチ・スポーツ・コンタクト5」が採用された「日産リーフ NISMO」のようなチューニングカーといったカテゴリーだという。

 シュテフェン・リッセル氏は「ブレーキ性能や操縦安定性能など我々の強みを活かせるセグメントを想定している。また、当社はメルセデス・ベンツのAMGブランドやBMWのMシリーズといった高性能モデルにも強いため日本でもその技術を活かしたい」と狙いを語る。

 「日産リーフ NISMO」に採用された新車用タイヤは、元々「日産ジューク NISMO」のためにコンチネンタルが独ハノーバーのR&Dテクノロジーセンターを活用して開発したタイヤがベースとなっている。「ジューク NISMO」に採用された、日産の要求する性能を実現したタイヤに対して、リーフ向けにデザインが施され誕生したのだ。タイヤの性能試験は同センターと、タイヤの試作及び量産を担うスロバキアのプチョフ工場でも行われた。

デニス・グンスト氏
OEタイヤ事業部プロジェクトマネージャーの川﨑直樹氏(左)と同事業部シニアアカウントマネージャーのデニス・グンスト氏

 開発段階のプロトタイヤはヨーロッパのテストコースで評価されていたが、今回さらに日産自動車が栃木工場に構えるテストコースで操縦安定性や乗り心地、騒音、振動などの評価が繰り返された。

 OEタイヤ事業部のシニアアカウントマネージャーであるデニス・グンスト氏が「とてもインターナショナルなプロジェクトだった」と話すように、世界各国の多様な拠点にまたがる開発だった。そして、この中で日本法人も重要な役割を果たしたという。

 同事業部の川﨑直樹プロジェクトマネージャーは、「コンチネンタルタイヤ・ジャパンが技術窓口となり、お客様と色々な技術的やり取りをさせてもらい、フィードバックを全てドイツに送っていた」と当時を振り返る。

 開発の過程では、日産からハンドリングやコンフォートなど多くの性能を高いレベルで求められた。コンチネンタルにとっては、「コンチ・スポーツ・コンタクト5」のスポーツタイヤとしての性能を高いレベルで維持しながら、ライフやその他背反となりうる性能を確保するという、ゴムの素材やパターンに関わる厳しい試みとなった。

日産の「リーフ NISMO」
日産の「リーフ NISMO」

 だが、川﨑氏は「だからこそ価値がある」と語る。「例えば、“静かで乗り心地の良いタイヤ”を要求された場合に、そうした製品をそれなりに作ることはできる。しかし、欧州生まれのタイヤとしての高いウェットブレーキ性能や高速域での操安性能など、コンチネンタルの強みやDNAを犠牲にしてまで中途半端なタイヤを作ることはできない」とプライドを示す。

 その上で、「コンチネンタルとして譲れない部分を、一定のレベルに保ったまま日系自動車メーカーの要求に応えることは難しい面もあるが、そのチャレンジは必要だった」というのが開発のスタンスだ。

 今回のタイヤの開発は、もともと日本国外に供給する計画があったためドイツやスロバキアの開発拠点が活用されたが、今後はコンチネンタルタイヤ・ジャパンの設計体制を今よりも充実させ、日本の顧客とより密にやり取りしていくことを目指す。

 「今回のOEタイヤビジネスはスタートに過ぎない」とデニス・グンスト氏は語る。その上で「『リーフ』に装着されたコンチネンタルのタイヤがよりプレゼンスを持ち、日本市場でも我々の高性能なタイヤが受け入れられていくことに期待したい」と、一層の事業展開へ強い意欲を示す。

 さらにコンチネンタルでは、日本法人の活用のほか、アジアに擁する工場での生産能力増強も推進している。中国やインド、マレーシアのほか、2019年にはタイ・ラヨーン県で新工場の操業を開始する予定。タイ工場では2022年に乗用車用・ライトトラック用タイヤの生産能力を年間400万本まで引き上げる計画だ。

 また、同社オートモーティブ部門が有する自動運転技術やコネクテッドカー向けのシステムとの連携のほか、ツール・ド・フランスといった自転車競技などへのスポンサー活動によってブランドの訴求を進め、更なるビジネス拡大を図っていく。

 シュテフェン・リッセル氏は「コンチネンタルがグローバルで成長していくためには、日系カーメーカーから今まで以上に多く採用して頂くことが必要だ。欧州や米国での成長と同じようにビジネスを発展させていきたい」と将来への意気込みを語る。

 アジア地域での事業拡大を視野に入れたコンチネンタルが、日系自動車メーカーに対していかに存在感を示していくのか、今後の展開に注目が集まる。


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