日本ミシュランタイヤの建設機械用タイヤ “サービス力”武器に更なる普及へ

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カテゴリー: レポート, 現地

過酷な環境下でライフに1.8倍の差

リジッドダンプトラック
リジッドダンプトラック

 埼玉県秩父市に本社を置く砕石会社・両神興業(株)では、ミシュランのOR用タイヤを導入し、オペレーターの負担低減など効果をあげている。日本ミシュランタイヤ大型タイヤ事業部の内川勲シニアアカウントマネージャーおよび同社製品の販売・サービスを行うタイヤディーラー・篠崎タイヤ販売開所式(埼玉県深谷市)の六名和夫課長らとともに6月下旬、現地を訪問した。

 両神興業株式会社の設立は1966年10月。埼玉県西部にある秩父郡両神村(現・小鹿野町)に川塩事業所を開設後、1968年1月から営業を開始した。1971年10月に埼玉県で初めて採石業者登録を受けた老舗企業だ。

 砕石工場のある川塩事業所の面積は、東京ドーム約23個分にあたる合計106万2665m2と広大。ここで採掘される各種鉱物や土石は、普段の生活で目にする電柱やブロックから、東京湾アクアラインの内壁といった大掛かりなものまで、様々な場所で使用されている。また高速道路には排水性と低騒音効果を備えた舗装を行っている区間があるが、ここにも同社の高機能製品が多く使用されており、これまで関越道や上信越道などに採用されてきた。

ホイールローダー
ホイールローダー

 川塩事業所の栗原秀紀所長は「同じ石や砂利に見えるかもしれないが、我々は大切な資源だと認識している。両神山の主要部分は、1億4000万年くらい前――白亜紀の堆積岩ではないかと言わている。色々な種類の石が混在しており、表土のほとんどない均一で良質な硬質砂岩に恵まれている」と話す。

 砕石の工程は、まず岩盤の表土を剥土し、岩石を爆砕することから始まる。その後、ホイールローダーや油圧ショベルを使用して40トンクラスのリジッドダンプトラックに原石を積み込み、一次破砕および原石ホッパーに投入。その原石はフィーダーにより、ホッパーから引き出され、選別が行われる。さらに一次破砕から供給された原料は、数回の破砕選別および整粒が行われ製品となる。そして用途によって、工事現場やコンクリート工場などへ出荷される。

 こうした過程で様々な車両が活躍しているが、OR用タイヤが装着されているのは、原石運搬用のリジッドダンプと、原石および製品の積み込み時に使用するホイールローダー。とくにリジッドダンプは勾配があり、急カーブが連続する片道1~1.5kmの斜面を1日最大30回ほど往復するという。同社は従来から安全な作業現場づくりに取り組んでいるため、他の砕石工場と比較すると、現場は均(な)らされているが、それでも過酷な状況であることには変わりないだろう。

写真左から日本ミシュランタイヤの内川氏、両神興業の栗原所長、篠崎タイヤ販売の六名氏
写真左から日本ミシュランタイヤの内川氏、両神興業の栗原所長、篠崎タイヤ販売の六名氏

 同事業所では現在、4台のリジッドダンプと、5台のホイールローダーが稼働している。以前は国内ライバルメーカーのタイヤが装着されていたが、現在はミシュランが約8割を占める。その理由について栗原所長は次のように説明する。

 「当時、タイヤがパンクすることが多く、解決策を探していた。また重機自体のサスペンションの影響もあるが、腰を悪くするオペレーターが多かった。そこでミシュランをテストで1台のホイールローダーに装着してみたところ、期待通りにパンクは減少し、さらに作業者からは『トラクションが良い』『乗り心地が良く、腰が楽になった』という感想が聞かれた。ミシュランは指定空気圧が低いため、作業がしやすく、身体への負担が少ないようだ。私としてはオペレーターが『使用したい』というタイヤを購入している」

 砕石業界は、セメント需要に左右されやすい面があるという。秩父地区には複数のセメント会社があるが、10数年前から需要の落ち込みがみられ、また公共工事が減少したことで、経営環境は厳しさを増している。その影響を受け、砕石業界もバブル期と比較すると、需要が3分の1程度まで落ち込んでいる。

 最近では東北で東日本大震災の復興需要が伸びているほか、都市部で再開発が進むなど回復の兆しをみせているものの、先行きは不透明な状況だ。

 こうした中、高品質な製品づくりを行いつつ、いかにコストを抑制していくかは生産現場に課せられたテーマ。この点、同事業所では、ミシュラン製品を導入することでタイヤのコスト低減に成功した。

 例えば、あるダンプトラックの場合、リアタイヤ4本をミシュランに交換した結果、ライフを約1.8倍まで延ばすことができたという。タイヤの本体価格以外に取り替えにかかるコストなども考慮すると、より大きな差となって表れてくる。


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