グローバルでリーディングブランドへ
北米のオフロードタイヤ市場で高い評価を得ているTOYO TIREの「OPEN COUNTRY(オープンカントリー)」。その成功の背景には、北米市場で培った独自のビジネスモデルと、モータースポーツでの実績がある。今後、さらなるブランド価値向上をめざし、国内外での展開を加速する。事業統括部門商品企画本部長・宇田潤一執行役員にOPEN COUNTRYのこれまでの軌跡とこれからの戦略を聞いた。(前後編の2回/後編)
(前編からのつづき)
―ジムニー用モデルの発売後、デリカやランドクルーザー向けにも展開したが、直近ではどのような商品戦略やマーケティングを展開しているのか。
22年には、「OPEN COUNTRY A/T Ⅲ」を日本向けにチューニングし、国内のさまざまな気象条件や路面状況にバランスよく対応できるオールテレーンタイプの商品として発売しました。
オフロードタイヤの選択肢を広げることで、国内市場の拡大を後押しできればと考えていましたが、発売後、SNSなどを通じてホワイトレター仕様を求める声が多く寄せられました。その声にお応えする形で、ホワイトレター仕様を追加したところ、多くのユーザーにご好評をいただいています。幅広いサイズを展開しており、販売も順調に推移しています。
25年3月にはサステナブル素材を採用したラギッドテレーンタイヤ「OPEN COUNTRY R/T TRAIL」を、そして4月からは「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ」を発売しました。「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ」は、よりライトユーザー向けに設計されたハイウェイテレーンタイヤで、舗装路や高速道路でのオンロード走行に適した静粛性と乗り心地をさらに向上させています。本格的なオフロード用タイヤではありませんが、力強さを感じさせるデザインを採用しました。
オールテレーンタイヤやハイウェイテレーンタイヤの展開を通じて、さらなるユーザー層の拡大をめざしており、新商品の投入により、その基盤が整ってきたと考えています。
22年から「TOYO TIRES FAN MEETING」や「#オプカン女子会」などのイベントを定期的に開催してきたことで、OPEN COUNTRYのファン層が広がっていることを実感しています。今後も、より多くのかたにOPEN COUNTRYを選んでいただけるよう、ブランドの魅力を直接感じていただける機会を増やしていきます。
市場の変化を見極め能動的にアプローチ
―ユーザーやタイヤショップなどからさまざまな声が寄せられると思うが、それらをどのように商品企画に反映しているのか。
今のユーザーは、クルマやタイヤに対する知識が非常に豊富であり、自分のクルマに適したサイズのタイヤを求める声が多く寄せられます。
また、タイヤショップの皆さまと対話を重ねるなかで生まれたアイデアが、商品開発に反映されることもあります。「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ」では、タイヤのサイド部に沿ってリボン状に白色のラインを立体的に浮き立たせるホワイトリボンを採用しましたが、これはショップの皆さまとの対話から生まれたアイデアをもとに、OPEN COUNTRYシリーズとして初めて開発した事例の一つです。
一方で、ユーザーの声を採り入れることに加え、メーカーとして市場の変化を見極め、先んじて市場に働きかけることも重要だと考えます。
―サステナブル素材の活用をどのように商品に展開していくのか。

23年からダカールラリーの参戦車両=写真上=に、サステナブル素材を使用した「OPEN COUNTRY M/T―R」=写真下=を供給しています。25年モデルでは、タイヤの重量全体のうち、サステナブル素材の配合率を55%に引き上げました。モータースポーツの場でしっかりと開発・検証を行い、性能を発揮させたうえで、それを市販用に応用していく必要があると考えています。
ダカールラリー総合優勝に向け全力
―OPEN COUNTRYを今後どのようなブランドに成長させていくのか。

OPEN COUNTRYをグローバル市場において、オフロードタイヤ分野のリーディングブランドとしての地位を確立することをめざしています。北米市場では多くのユーザーに支持されるブランドへと成長しました。グローバル市場には欧州・中東・アジアなど多様な地域があり、これらの市場でリーディングブランドとしてのポジションを獲得するためには、モータースポーツが重要な役割を果たすと考えています。
グローバル市場で注目されるためには、ダカールラリーでの活躍が欠かせません。現在は市販車クラスでの参戦にとどまっていますが、将来的にはトップカテゴリの改造車クラスに参戦し、総合優勝を果たすことを目標としています。この目標に向けて、全社で準備を進めています。
―タイヤ販売店の皆さまへ、メッセージを。
当社はこれまで、さまざまな用途、車種、ユーザーの嗜好に合わせたタイヤづくりを行ってまいりました。これからもユーザーの皆さまに、当社のタイヤに履き替えたときに笑顔になっていただけるよう、モノづくりに取り組んでまいります。タイヤショップの皆さまには当社のタイヤ開発の取り組みについてご理解いただき、当社の思いをユーザーの皆さまにお伝えいただければ幸いです。