TOYO TIRE 執行役員 事業統括部門商品企画本部長 宇田潤一氏  OPEN COUNTRYの北米市場での成長と今後の戦略

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カテゴリー: インタビュー, 特集

 グローバルでリーディングブランドへ

 

 北米のオフロードタイヤ市場で高い評価を得ているTOYO TIREの「OPEN COUNTRY(オープンカントリー)」。その成功の背景には、北米市場で培った独自のビジネスモデルと、モータースポーツでの実績がある。今後、さらなるブランド価値向上をめざし、国内外での展開を加速する。事業統括部門商品企画本部長・宇田潤一執行役員にOPEN COUNTRYのこれまでの軌跡とこれからの戦略を聞いた。(前後編の2回/前編)

 

 

 レースで実績積みブランド力を成長

 

 ―OPEN COUNTRYはSUV用タイヤとして人気を博している。北米ビジネスモデルはどのように確立されたのか。

 

宇田潤一氏
宇田潤一氏

 OPEN COUNTRYは1983年から北米市場で展開しており、当社のなかでも特に長い歴史のあるタイヤブランドの一つです。2000年頃から、北米ではSUVやピックアップトラックのカスタムが流行し、それに合わせてタイヤのニーズも大きく変化しました。

 当社としてもいち早くラインアップを拡充し、時代の流れに対応してきました。2003年には「OPEN COUNTRY M/T」を発売し、デザイン性や堅牢性が高く評価され、世界三大カスタムショーのひとつである「SEMAショー」では、会場内展示車両への高い装着率を誇る結果となりました。

 ブランドの認知が高まった大きな要因の一つが、世界屈指の過酷なオフロードレース「SCORE BAJA 1000」です。「OPEN COUNTRY M/T」を装着した車両が06年に総合優勝し、以降も上位入賞を続けています。性能を重視するユーザーに対するプロモーション効果も大きく、「OPEN COUNTRY M/T」はシリーズを代表する商品となりました。

 その後、14年には「OPEN COUNTRY R/T」を発売しました。マッドテレーンとオールテレーンの中間に位置するラギッドテレーンというカテゴリをいち早く導入し、業界に先駆けて独自のパターンデザインを開発しました。

 こうした過酷なレースでの実績やオフロードタイヤ市場の拡大を背景に、商品の需要は急速に高まりました。特に2000年頃、北米でのSUVやCUVの需要が急拡大し、当社もその変化を捉えて大きな決断をしました。それが全量輸入体制から現地生産への移行です。

 04年には米国ジョージア州に生産子会社を設立し、現地での供給体制を強化しました。当社独自のタイヤ製造技術「A.T.O.M.」を導入し、品質と安定供給の両面で競争力を高めることができました。その結果、現地のディーラーとの関係もより強固なものとなりました。

 OPEN COUNTRYの成功は、単なる商品力だけではありません。市場ニーズに応じた商品開発、独自の製造技術、SNSやモータースポーツを活用したマーケティング、そして現地ディーラーとの強いパートナーシップ。これらすべてが、北米市場での成長を支えていると考えています。

 

 販売店との連携強化。潜在ニーズを見据え

 

 ―国内市場向けにどのような戦略で展開を進めたのか。

 

 16年に軽自動車向け「OPEN COUNTRY R/T」の発売を皮切りに、国内市場への展開を再開しました。

 18年には本社主導でマーケティングを強化するために、グローバルマーケティング部が発足され、私は北米や欧州での経験を生かし、初代部長として市場開拓に取り組みました。

 国内の専門ショップやアフターパーツメーカーなどと連携し、市場の潜在的なニーズを的確に見据えながら、国内の人気車種に対応するタイヤを順次開発・発売してきました。

(後編につづく)

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