世界を見据えて前へ――TOYO TIREがサッカー日本代表をサポートする意義

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カテゴリー: タイヤ事業戦略, 特集

 新型コロナウイルスの影響で紆余曲折の末、行われた東京五輪を経て、サッカーファンの関心は来年カタールで開催されるワールドカップに向かいつつある。9月からはアジア最終予選が始まり、ファンにとっては良い意味で緊張感がある時間が始まる。アジア、そして世界への戦いに挑むサッカー日本代表。その活動を応援する「サポーティングカンパニー」として、5月に日本サッカー協会(JFA)と契約を締結したのがTOYO TIRE(トーヨータイヤ)だ。タイヤメーカーがサッカー日本代表をサポートする意義は――。

活動通じブランド力向上へ期待も

取締役執行役員の笹森建彦氏

 トーヨータイヤは5月20日、JFAとサッカー日本代表のサポーティングカンパニー契約を締結したことを発表した。契約期間は5月1日から来年12月31日まで。サムライブルーの愛称で知られる男子日本代表をはじめ、女子代表(なでしこジャパン)、年代別日本代表など全カテゴリーの日本代表をサポートする。

 サポーティングカンパニーの枠は一般公募されているものではないという。トーヨータイヤでブランド活動を含めたコーポレート部門を統括する取締役執行役員の笹森建彦氏は、「JFAよりこれまでの当社のサッカーに関連するサポート活動に関心を寄せて頂き、評価頂いたことがきっかけで契約に至った」と、今回の契約の背景を話す。

 同社とサッカーとの縁は深い。過去にはイタリアの名門クラブACミランのスポンサーを務めたほか、英プレミアリーグのレスター・シティは同社がスポンサーとなっていた2016年にリーグ初優勝を果たした。国内でもJリーグのガンバ大阪のプラチナパートナーとしてスポンサーを続けているほか、ベガルタ仙台のCSRパートナーとして協力も行ってきた。さらに、2018年から日本代表が出場する国際試合の会場で、企業広告の掲出も継続している。

 モータースポーツ活動へ積極参戦して技術力をアピールする。あるいは有名タレントを起用したプロモーションなどブランド活動には様々な選択肢がある中、同社がサッカーに注力する理由はどこにあるのか――。

 笹森氏は「サッカーは足を使って走るスポーツであり、当社の主力製品であるタイヤ、足回り部品に共通するものがある」と話し、「また国民的スポーツであり、世界の舞台で挑戦を続ける選手たちのひたむきな姿が当社の企業姿勢と通じるものがあった」と思いを口にする。スポンサー活動を通じて、挑戦を忘れずに自らのステージを高める――これが原動力の一つでもある。

 企業がスポーツなどのスポンサーになることは、当然ながら成果も求められる。トーヨータイヤがこれまで欧州や国内のサッカーチーム、そして日本代表のスポンサーとして、ビジネス面で期待することは、まずは認知度向上が挙げられる。

 笹森氏は「当社は売上高でみると国内4位であり、自動車やタイヤにあまり関心を持たない方にとっては知名度という点ではまだ高いとは言えない」と話す。

試合会場に掲出したTOYO TIRESの看板
試合会場に掲出したTOYO TIRESの看板

 大口径タイヤ市場で一定のポジションを築いた同社であっても、クルマにさほど興味がない層は「TOYO TIRES」というブランド自体をよく知らないというケースもある。

 ただ、以前と比べると、徐々にブランド力は向上してきているのも事実だ。広告宣伝活動がどの程度販売に結びつくのか、定量的に評価するのは難しい面がある。一方で、定点観測的に調査を行っており、スタートした当時より年々好感度は上昇し、SNSの登録者数も大きく増えてきているという。その上で目指すべきは認知から浸透へとシフトさせることだ。

 「まずは、数あるブランドの中から性能面や経済性以外にも当社を選んでもらえる選択肢の後押しとなるように、企業広告やCMを通じて『TOYO TIRES』というブランドを訴求していきたい」

 トーヨータイヤは2019年に“まだ、走ったことのない道へ。”というフロンティア精神を現したブランドステートメントに刷新した。これは「道なき道であっても勇気をもって果敢に走り、挑戦心と独創的な発想により、世の中に驚きと感動を提供する企業でありたい」という意思を表明したものだ。

 また、ブランドロゴの表記に用いる青色は、同社のコーポレートカラーでもある。2020年からは挑戦する姿勢を促し、応援していく“青を灯せ”というブランドメッセージを社内外に発信している。偶然なのか、サッカー日本代表のユニフォームに象徴される“BLUE”と同社のコーポレートカラー“青”の親和性もサポーティングカンパニーへと結び付ける糸となったのかもしれない。

 今回、サポーティングカンパニーになったことで、同社は呼称権や集合肖像使用権、JFAが主催する試合会場での看板露出などが可能になった。ホスピタリティを生かして、顧客や取引先に取り組みを紹介することもできる。さらには観戦や施設見学のイベントを開くなど、社員の結束力を高める効果も出てくるかもしれない。

昨年7月のJリーグ「大阪ダービー」の際には大阪府内の主要駅を中心に様々な看板を掲示。コロナ禍でもファンのためにできることはあると示した

 トーヨータイヤならではのユニークな試みにも期待したい。昨年7月にパナソニックスタジアム吹田(大阪府)で行った「TOYO TIRESパートナーデイ」と題した大阪ダービー(ガンバ大阪対セレッソ大阪)はその好事例だろう。

 コロナ禍で無観客開催となったが、“大阪が、ふたつに分かれてひとつになる日。”というフレーズを合言葉として、府内の主要駅を中心に様々な看板を掲示し、話題となった。

 笹森氏は「Jリーグの再開を心待ちにするサポーターの一員として当社にできることはないかと考え実施したもの」と振り返りつつ、「日本代表のサポーティングカンパニーとしてもサポーターの方々に喜んで頂けるような活動を検討していきたい」と意欲を示す。

 5月にJFAとともに契約締結の記者会見を行った後、社内の反応は予想以上に大きかったようだ。今年4月に入社した新入社員からは驚きとともに「この会社を選んで誇りに思う」という声が聞かれた。また、別の社員からは「報道を知って息子がわざわざ電話をしてきた。長年働いてきたが、『父親が勤める会社を誇りに思う』と言ってもらえる日が来るとは、本当に嬉しい」と感謝され、それを聞いた笹森氏も喜びを隠せなかったという。サッカー日本代表が与える影響の大きさ、ファンの裾野の広さを示した格好だ。

 JFAは今年創立から100周年の節目を迎えた。笹森氏は「日本サッカーがワールドカップの常連になるほど積み上げてきた歴史があり、その節目にサポーティングカンパニーの1社になれたことは非常に光栄」と話し、「この機会を無駄にしないように、ファンや消費者の方々に一層愛される会社になりたい」と使命感を持って活動に取り組んでいく決意を語った。

 サッカー日本代表とトーヨータイヤ。世界を見据えて前へ進んでいく姿勢には確かな共通点がある。勝負の結果は誰にも分からないが、どこまで通用し、どれだけの存在感を発揮できるのか、夢への挑戦はこの先も続いていく。


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