=シリーズ=冬シーズンに向けて 各社の販促戦略  (3)日本ミシュランタイヤ

 クロスクライメート 3/クロスクライメート 3スポーツ

 

CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORTのプレス発表会
CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORTのプレス発表会

 日本ミシュランタイヤはこの冬商戦はスタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤを打ち出す。なかでも注目されるのは今秋から新発売のオールシーズンタイヤ新商品「CROSSCLIMATE 3(クロスクライメート スリー、以下CC3)」と「CROSSCLIMATE 3 SPORT(クロスクライメート スリー スポーツ、以下CC3SP)」の2製品だ。秋山考之ブランド戦略マネージャーは「スタッドレスとオールシーズンの戦略的配分を」と施策を語る。

 

 

 準降雪・非降雪地域でオールシーズンを訴求

 

 ―前回の冬商戦を振り返って。

 

 暖冬傾向で降雪が遅れたため、特に準降雪・非降雪地域でスタッドレスの需要立ち上がりが鈍化した。降雪エリアではスタッドレスは例年並みだったが、全体的にボリュームは落ちた。

 物価高騰を背景に、準降雪・非降雪地域ではスタッドレスの買い控えはより顕著になったとみる。ただSUVの普及もあり、18インチ以上のサイズは大きく伸長した。

 

 ―今冬の予測は。

 

 スタッドレスとオールシーズンの二極化がさらに進むと考える。降雪エリアはスタッドレス一本だ。準降雪・非降雪地域ではオールシーズンタイヤの普及がより進むと予測する。

 価格動向と消費者変化から、雪が降るまでは買わない層が増えている。オールシーズンという新しい選択肢が生まれ、スタッドレスの需要は落ちるとみている。

 

 オールシーズンタイヤの市場拡大はほかのタイヤセグメントとは顕著に違う。5年前はオールシーズンタイヤは雪上性能に不安を感じるユーザーが多かったが、現在は準降雪・非降雪地域では問題ないというユーザーが増えており、需要は拡大するだろう。

 しかし、オールシーズンはスタッドレスの代替品ではない、ということは強く言っていきたい。降雪の頻度が少ない地域の方の新たな選択肢だ。

 

 ―注力商品は。

 

 スタッドレスは「X-ICE SNOW(エックス・アイス スノー)」。上市から6年目の製品だ。今年は18インチ以上の2サイズを追加した。大口径サイズのラインアップの充実化を図っていく。スタッドレスとオールシーズンのミックス、ボリューム配分は戦略的に行きたい。

 

左CC3、右CC3SP
左CC3、右CC3SP

 注力していくのはオールシーズン2製品。「CC3」と「CC3SP」だ。

 「CC3」は「雪も走れる夏タイヤ」のCROSSCLIMATEシリーズ最新モデル。一番のユーザーメリットは履き替え不要であること。より長い距離を走ることができるよう、耐摩耗性能の向上を狙った。

 われわれは「すべてを持続可能に」を企業ビジョンとして掲げる。耐摩耗性能の向上はCO2排出量削減につながり、サステナブルな製品だ。

 

 「CC3SP」はスポーツ系のオールシーズンタイヤだ。スポーツカードライバーは運転を楽しむ。それがニーズだ。スポーツカーの求めるハンドリング性能、高速安定性能を改善した製品だ。冬でもこの「CC3SP」を履けば、降雪時の安心感を持ちつつ、ドライブを楽しめる。

 

 ―販売戦略は。

 

 新商品、特に「CC3SP」は、今までにないタイヤということで注目していただいている。強く訴えたいのは、オールシーズンはスタッドレスの代替品ではない点。夏タイヤと冬タイヤの選択肢は残しつつ、準降雪・非降雪地域で費用負担を減らしたいユーザー向けに、オールシーズンを訴えていきたい。

 デジタル広告の戦略も重要視している。インターネットで「オールシーズンタイヤ」検索が非常に増えている。CROSSCLIMATEシリーズが検索ヒットするデジタル施策を展開する。

 販売店向けにウェブセミナーやeラーニングのシステムも整えている。スタッドレスとは別物だと理解して販売してほしい。オールシーズンがどこまで運転できるのか疑問を持つ販売店も多いので、試乗会で体感し自信をもってオールシーズン性能をおすすめしてほしい。

 

 ―販売店へ向けてメッセージを。

 

 ユーザーにとって冬の備えはスタッドレスしか選択肢がなかったが、オールシーズンは新たな選択肢となった。オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤの代替品ではないため、使用環境なども含めユーザーニーズに合わせた選択が重要。ユーザーのニーズを聞き取るプロである販売店の皆さまに、ニーズに合った選択を推奨できるようサポートさせていただきたい。オールシーズンタイヤという新たな市場を一緒に盛り上げてまいりたい。

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