
横浜ゴムは17日、都内で記者会見を開き、スタッドレスタイヤの新商品「iceGUARD8(アイスガード エイト) iG80」を発表した。9月1日に上市する。発売サイズは225/45R21 95Qから185/70R14 88Qの71サイズ。同社は消費財タイヤの戦略として、高付加価値商品の最大化を掲げる。一角をなすウィンタータイヤ、その代表格である「iceGUARD」の新商品は、基盤技術を一新することで氷上性能をさらなる高みへ到達させたという。

「日本の冬の安全はスタッドレスタイヤが守る」——清宮眞二代表取締役社長兼COO=写真上=は会見でこのように強調した。気候変動で暖冬に見舞われる年が多くなっているが、スタッドレスタイヤ装着の必要性はむしろ高まっている。
日本の降雪地域は降雪量が多く、気温は高い傾向にある。このような環境で懸念されるのが、雪はとけても路面が凍結している「アイスバーン」の発生だ。この懸念は事故件数であらわれている。横浜ゴムの調べによると、北海道の冬季(12-2月)の事故件数は、夏季(3-11月)の1.2倍にのぼる。そのうち凍結路事故率は42%を占める。
同社は独自の基盤技術をもとに、これまでも氷上性能を高めてきた。従来の「iceGUARD」では「吸水バルーン」を採用し、凍結路面でのスリップの原因となる水膜を除去した。たゆまぬ改良でその性能を高めてきたものの、さらなる氷上性能の向上に向けては〈イノベーション〉が必要となっていた。
新技術「冬テック」、氷上制動14%向上
「iceGUARD8」では、新しい冬用タイヤ新技術コンセプト「冬テック」を採用。これまでの氷上性能の限界を突破し、次世代スタッドレスタイヤの〈姿〉を示した。
「冬テック」では、氷とゴムの接触点を示す「接触の密度」と、路面とゴムの「接触の面積」の二つの最大化を実現する。これを支えるのが、これまでの吸水バルーンに代わる天然由来素材「水膜バスター」だ。吸水バルーンと比べて、水膜バスターはより小型で多層構造であることが特徴。より一層能動的な吸水が可能となる。
小型であることから従来の素材に比べて5倍の密度での配置が可能となり、効率的な水膜除去を行うための接触密度の向上を可能とした。この水膜バスターを使った「冬ピタ吸水ゴム」で、接触密度は63%増加し、吸水量は8%増加と大幅な向上を果たす。
接地面積やブロック剛性、溝エッジ量も高めた結果、「iceGUARD7」と比べ氷上制動は14%向上。氷上旋回も13%向上するとともに、静粛性能も22%高めた。雪上性能やドライ性能、ウェット性能のいずれも高めることに成功するとともに、より「永く効く」という点も高めた。
また、BEVやEVなどの電動車にも対応する。タイヤサイドには電動車対応商品であることを示す同社の独自マーク「E+(イー・プラス)」を打刻している。
吉岡里帆さんが冬に向け準備したいもの

記者会見にはゲストとして、「iceGUARD」のイメージキャラクターを務める女優・吉岡里帆さんが登場した=写真下=。吉岡さんは「冬に向けて準備したいものは」という質問に「スタッドレスタイヤのように、しっかりと止まる長靴(ながぐつ)を買いたい」と語った。
清宮社長はことしの冬商戦のラインアップについて、「iceGUARD8を軸にiceGUARD7、iceGUARD SUV G075の3商品を供給していく」とした。
ことしは同社がスタッドレスタイヤを展開しはじめて40年の節目の年。市場での一層の拡大販売をめざし、満を持しての「iceGUARD8」投入となる。