
ブリヂストンは15日、スタッドレスタイヤの新商品「BLIZZAK WZ−1(ブリザック ダブルゼットワン)」を発表した。国内のPC用スタッドレスタイヤで初めて商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を搭載。9月1日から、セダン、SUV、ミニバンなどさまざまな車両に対応する119サイズで順次発売する。
BLIZZAK WZ−1はブランド史上〝断トツ〟のICEコントロール性と、あらゆる路面での高いパフォーマンス性をうたう。4年使用後でも従来品の新品時を超えるゴムの性能が維持され、タイヤを長く安全に使用することでサステナビリティへ貢献できる。
ブリヂストンタイヤソリューションジャパン(BTSJ)の久米伸吾社長(ブリヂストン常務役員)は、都内で行われた発表会で「WZ−1には氷雪上性能とサステナビリティ、二つの最高性能の掛け合わせ、という意味を込めた。ENLITENの採用で生まれ変わった新たなBLIZZAK WZ−1で冬道の安心・安全を支えることをより強固にしていく」と力強く語った。
新技術を採用し、ゴムと接地を極める

新商品の企画開発の背景には、日本の冬の路面だけでなくユーザーの行動や価値観の多様化があげられた。
BTSJの徳屋光伸商品企画本部長は「近年、日本の冬道状況の多様化がさらに顕著になった。スタッドレスタイヤで最も重要な氷雪路面だけでなく、ドライ、ウェット路面に対しても性能は妥協できない」と語る。新商品はICEコントロール性能・サステナビリティ・あらゆる路面での高性能の三つの価値がENLITENで実現したと説明。ユーザーの声などの調査結果を用いて、新商品が提供する価値を説明した。
BLIZZAK WZ−1の進化のポイントは「Wコンタクト発泡ゴム」とトレッドパタン。今回開発した「L字タンクサイプ」で貯水機能を導入し除水効果がさらに向上。接地面積を最大化させグリップ力を高めた。また、水の分子に触れると即座にゴムが覚醒する「親水性向上ポリマー」を採用。滑りの原因となる水をグリップ力へ変換することに成功した。
さらに、前商品で開発した「ロングステイブルポリマー」を進化させた。オイル抜けを防ぎゴムの柔らかさを維持することで、新品時の氷上性能が長く持続する。
ブリヂストン製品・生産技術開発管掌の草野亜希夫常務役員は「35年以上のBLIZZAKの歴史を塗り替える革新的な技術を導入した。材料は異なるが、モータースポーツ分野で培われた分子レベルの配合設計技術を応用することで実現した」と、全社一丸で開発した技術力の高さを強調した。
命を守るために、すぐにできること

発表会では、レーシングドライバーの佐藤琢磨選手による試乗インプレッションや、タレントの藤本美貴さん=下写真左から2番目=、元オリンピックスキージャンプの金メダリスト原田雅彦さん=下写真左端=らによるトークショーが行われた。
佐藤氏は「走っていて楽しい。氷上では早く走っても挙動が穏やか。雪上では普通のドライ路面を走っているような感覚」と、その性能を高く評価した。
トークショーではブリヂストンからENLITEN製品企画部門PSタイヤ製品企画第2部の佐々木達彦氏も登壇=下写真右端=。「タイヤは生命(いのち)を乗せている」が大前提となっている新商品について話が弾んだ。
「全路面で安心して運転できるタイヤ」(佐藤選手)、「大切な選手を乗せるので、安全に送り届けることも役割。少しでもプレッシャーがないタイヤで送りたい」(原田さん)、「安心感は絶対必要。ドライもウェットも雪も安心と聞くと東京でも履き替えたほうがいいなと。(同乗する)子どもも(クルマの周囲の)歩行者も、すべての人の大事な命を守るために、タイヤを履き替えるというすぐにできることからした方がいいと思った」(藤本さん)と、ドライブトークを繰り広げた。