活路をひらく 輸入タイヤ  (1)ノキアン/GTラジアル(阿部商会)

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カテゴリー: ニュース

 グローバル性能を最前面に

 レビューキャンペーン実施し認知度向上

GTラジアル「4 Seasons」装着イメージ
GTラジアル「4 Seasons」装着イメージ

 自動車部品商として出発した株式会社阿部商会。創業が1948年という老舗だ。ピレリをはじめ、ACデルコやビルシュタインなど海外の名門ブランドの輸入元として、国内で広く販売展開し地歩を築いてきた。近年、販売に注力するのがノキアンタイヤとGTラジアルの2ブランド。販売促進部部長の阿部浩二氏、同部商品課タイヤビジネスシニアアドバイザーの市川仁氏の両氏は、この2ブランドの販売に強い意欲で取り組む姿勢をみせる。

 

 ノキアンタイヤは北欧フィンランドのタイヤメーカー。前身のThe Finnish Rubber Works社の設立が1898年。日本の元号(和暦)でいうと明治31年だ。刻まれたその長い社歴には、1934年に世界初となるウィンタータイヤ「HAKKAPELIITTA(ハッカペリッタ)」をつくったタイヤメーカー、というマイルストーンもある。

 米Tire Business誌23年8月28日付号による22年タイヤ売上高は17億5660万ドル。世界のタイヤメーカーのタイヤ売上高ランキングで第20位にランクインする。

 ノキアンタイヤの名をワールドワイドにした「HAKKAPELIITTA」シリーズは、阿部商会でも冬用タイヤの柱として位置付ける。ジャガーやランドローバー、ボルボなど欧州プレミアムカーから冬用タイヤの採用承認を受け、市場からの評価は高い。

市川仁氏
市川仁氏

 前シーズンは暖冬のため冬用タイヤ需要が低調に推移した。市川氏は「ノキアンタイヤもその影響を受けた」と指摘する。

 また、地政学的な問題も少なからず影響したようだ。ロシアのウクライナ侵攻は現在も続くが、それに端を発し、西側諸国の企業はロシアでの事業停止や市場からの撤退の動きをみせた。ロシアで自社最大の工場を稼働させていたノキアンは22年にいち早く撤退を表明。代替としてルーマニアに進出し新工場を建設、25年初頭に商業生産を開始する計画だ。

 「フィンランド工場からの輸入は滞ることはなく、商品の供給に問題はなかった」(市川氏)とする。だが、日本市場で注目を集め始めたオールシーズンタイヤの分野で、ノキアンブランドの商品ラインアップを充実させるにはもう少し時間がかかりそうだ。

ノキアン「HAKKA BLACK 3 SUV」
ノキアン「HAKKA BLACK 3 SUV」

 24年のサマータイヤの販売について、市川氏は「ウルトラハイパフォーマンスタイヤ(UHP)の『HAKKA(ハッカ)』シリーズ新商品『HAKKA BLACK(ブラック) 3』『HAKKA BLACK 3 SUV』を上市する計画」という。

 24年2月までの半年を期間にノキアンタイヤユーザーを対象とした「レビューキャンペーン」を実施したところ、非常に高い評価を得たとする。「伸びしろがまだまだあるブランド。欧州発の品質の高さを訴求し、一層の販売拡大を図る」と、市川氏は語った。

 

 一方、GTラジアルは、世界的なタイヤメーカーであるシンガポールのGiti(ジーティー)タイヤ社の傘下にあるグローバル・ブランドの一つ。1951年の創業当初、仏ミシュランの資本参加を受け、ミシュランタイヤのライセンス生産を通じ、品質の高いタイヤづくりのノウハウを蓄積してきたという。

 Gitiタイヤ社の22年タイヤ売上高は28億4000万ドルで、世界ランキング第15位。Gitiブランドとしてはシンガポールと中国市場を中心に販売展開。GTラジアルは中国を除く全世界で販売されている。インドネシアやタイ、マレーシアで生産される日本車や米国車の多数のモデルに新車装着タイヤとして承認を得ている。

 阿部商会が数あるアジアンタイヤのなかからGTラジアルを選んだのは、その性能の高さから。グループのコアであるGitiタイヤ社は世界8カ所にタイヤ工場を持ち、米アクロンをはじめ欧州、中国、インドネシアにR&Dセンターを稼働させる。英国には大規模なテストコース&製品評価センターを設けており、ハイパフォーマンスタイヤの開発に力を注ぐ。

 また、Gitiタイヤ社はタイヤ製造時の各プロセスで再生資源の活用と使用資源の削減を図るなど環境への配慮に重点を置く。サステナビリティへの取り組みを推進するシンガポール企業として注目度を増していることもその一つにあげられる。

阿部浩二氏
阿部浩二氏

 阿部氏は「アジアンタイヤに分類されるが、性能面からみればGTラジアルは一線を画す」と述べる。

 自社で取り扱う商品について、阿部商会は独自に評価試験を行い、その性能を厳しくチェックするという。モータースポーツシーンをはじめドライやウェット、スノー&アイスなど、さまざまな路面コンディションのもとで、新品時から長期間した摩耗末期の状態に至るまで、スタッフが実車で徹底的に走り込む。

 「スタビリティの高さ、応答性の良さは欧州ブランドに決してヒケをとらない」と、阿部氏はその性能に強い自信を示す。

 メーカーのGTラジアルがフォーミュラドリフトUSAにチーム参戦するなど、モータースポーツ活動に積極的に取り組んでいる。それには日本人選手も参加しており、「GTラジアルの一層の知名度アップにつながるチャンス」と、阿部氏は期待を寄せる。

 24年から従来のUHPやエコタイヤに、オールシーズンタイヤ「4 Seasons(フォー・シーズンズ)」をラインアップに加えた。市場の先行型消費志向に対応するとともに、高付加価値商品のシフトを強め販売店の収益向上を図る考え。

 新商品の上市とともに、GTラジアルでも「レビューキャンペーン」を展開。商品の性能を訴求し、ブランド認知度のより一層の向上をめざす。


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