七つの課題に積極取り組み
日本自動車工業会(自工会)は22日、対面とオンラインのハイブリッド方式で記者会見を開いた。会長を約5年間務めた豊田章男氏からバトンを受け継いだ片山正則氏が就任後初めての定例会見に臨んだ。その席で片山会長は「自動車業界がモビリティ産業として発展していくために七つの課題に取り組む」と、強い意欲を示す。日本経済の基幹産業として、これまでの取り組みをベースにさらに加速していく考えを表明した。
自工会は日本自動車会館(東京都港区)で新体制初の記者会見を開いた。
登壇者は片山正則会長、内田誠副会長、佐藤恒治副会長、鈴木俊宏副会長、永塚誠一副会長、日高祥博副会長、三部(みべ)敏宏副会長の7名。
1月1日付で新会長に就任した片山正則会長が挨拶に立ち、能登半島地震の犠牲者に追悼の言葉を述べた後、早期復興を願い支援を続けていくと思いを語った。
「会員企業が下請法の規定に違反した件について公正取引委員会から勧告を受けたことを厳粛に受け止める。今後の価格転嫁に係る法令遵守のありかたなどについて検討し、業界全体の取引適正化を推進する。自工会で早急に法令遵守状況の緊急点検を行うなど、全会員企業で再発防止への取り組みを徹底する。
春闘交渉では物価を重視した賃上げに取り組んだ。ほぼすべての会員企業が満額回答を出した。物価上昇が続くなか自工会各社は成長・雇用・分配に積極的に取り組む」
片山会長は「自動車産業がモビリティ産業へと発展し、今後も日本経済に貢献していくために注力すべき課題」として、具体的に次の7項目をあげた。
(1)物流・商用・移動の高付加価値化/効率化
(2)電動車普及のための社会基盤整備
(3)国産電池・半導体の国際競争力確保
(4)重要資源の安定調達/強靭な供給網の構築
(5)国内投資が不利にならない通商政策
(6)競争力あるクリーンエネルギー
(7)業界を跨いだデータ連携/部品トレサビの基盤構築
その上で、片山会長は「それぞれの課題については副会長たちと一緒にオーナーシップで取り組んでいるが、自動車産業の枠組みを超えて経団連モビリティ委員会企業と連携してオールジャパンでの取り組みを加速していく。カーボンニュートラルの実現や物流の停滞が懸念される2024年問題など、さまざまな課題に正面から向き合い、全会員一致協力し全力でこの難局を乗り越えていく所存です」と決意を新たにした。