海上運賃の高騰響く 回復時期探る中古タイヤ市場

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カテゴリー: ニュース

 市販用を中心に新型コロナウイルスの影響から回復している新品タイヤ市場に対し、中古タイヤ市場では余波が続いている。現在、中古タイヤの輸出業者には海上輸送のコンテナ不足や運賃高騰といった課題が重くのしかかっており、財務省の通関統計によると、2021年1~8月累計の中古タイヤの輸出実績は前年同期比10.1%減の531万2109本となった。今年の実績を2019年同期と比べると17.2%ものマイナスとなる。数量の観点ではいまだコロナ禍前の水準から遠い中古タイヤ市場の動向を探った。

 中古タイヤ輸出実績は、2020年の1~3月累計では前年同期から約2割増加していた。この好調ぶりが一転したのが4月。新型コロナの影響が及び始め、前年同月比で29.4%減を記録した。5月(37.8%減)、6月(35.5%減)、7月(13.3%減)、8月(10.9%減)もマイナスが継続し、1~8月累計では8.1%減少となった。

 そのため、今年の輸出実績を単月でたどると、1月(33.8%減)や2月(27.9%減)、3月(13.4%減)は前年同月から大幅に減少した一方、4月(20.0%増)、5月(41.6%増)、6月(18.8%増)は前年に減少した反動でプラスに転換。ただ、7月に11.3%減、8月には29.4%減と、コロナ禍にあった前年同月を再び下回った。

 中古タイヤの輸出業界では、どのような混乱が起こっていたのか。朝日洋行㈱の湯川宣夫代表取締役によると、「新型コロナの影響が出始めた当初はロックダウンで輸入をストップした国もあった」という。これにより日本からの中古タイヤの出荷が保留となるなど、業界全体に大きな影響が広がった。

 また、労働者の外出自粛もあり、港のコンテナの荷捌きといった現場で人手不足も発生。物流の回転が滞る中、コンテナ不足などが問題となるようになった。

店頭で販売される中古タイヤ
店頭で販売される中古タイヤ

 その後、巣ごもり生活が続き、例えば中国をはじめとするアジア圏では、米国向けの家電や家具の需要が大きく増え、輸出用のコンテナのスペースが減少。こうしたことが海上運賃の急激な上昇に繋がった。湯川氏は、「中古タイヤ業界全体でコンテナスペースの減少や運賃上昇の影響を大きく受けている」と、現状を話す。

 ただ、日本の中古タイヤの需要は世界的に衰えていないそうだ。現在でも、特に運賃の上昇分を吸収できる比較的高価格な中古タイヤは、それほど需要が落ち込んでいないという。湯川氏は、「コンテナのスペースが増えれば輸出量も伸ばせる」と自信を示した。

 なお、国内でも一定の消費者に中古タイヤの需要がある。横浜市内のタイヤ販売店では、同じ価格帯で海外の新品タイヤと国産中古タイヤがあれば国産を選ぶ個人客も多いという。

 さらに、パンクしたドライバーが応急的に中古品を購入したり、新車購入までの短期間だけ中古タイヤを使用する場合もある。

 また、販売店による中古タイヤの仕入れ先の解体業者では、外国業者とのバッティングが起こることも増えたという。輸出業者が販売店に飛び込みで買い付けにくることもあり、国内のタイヤ販売店でも海外からの強い中古タイヤ需要を目の当たりにするケースがあるようだ。

 日本の中古タイヤは、通関統計を見ると輸出量は落ち込んでいるものの、実際には世界各地で中古タイヤやケーシングとしてニーズが高い。国内で廃タイヤの需給バランスが厳しい状況にある中、一度は不要になったタイヤの活用先として中古タイヤの輸出量回復に期待がかかる。


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