ブリヂストンが第15回技能グランプリ開催  タイヤの「安全安心」へ高い技能を競う  ソリューションエンジニアコンテストも同時に

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カテゴリー: ニュース
第15回技能グランプリ
第15回技能グランプリ

 ブリヂストンは4日、福岡県の北九州国際会議場で第15回技能グランプリならびに第3回ソリューションエンジニアコンテストを開催した。物流2024年問題や車輪脱落事故の増加にともなう規制強化、環境対応など、物流事業者をとりまく事業環境は大きく変化する。ブリヂストンはこれらの課題に対して、メンテナンスとソリューションの両面からのサポートをめざす。

 

 背景に車輪脱落事故の高止まりが

 

第15回技能グランプリ
第15回技能グランプリ

 ブリヂストンは2010年からタイヤメンテナンス品質向上に向けた取り組み強化をつづけている。「作業標準」を整えるとともに、技能グランプリを継続的に開催。グランプリの優秀者は「技能エキスパート」「技能マイスター」と認定し、彼らが中心となって後進の育成・研修を進める。

 背景の一つに車輪脱落事故件数が近年高止まりしたままであることがあげられる。19年に100件を超えて以降、毎年100件台で推移。23年は142件で過去最多となった。事故発生直前の作業実施者の内訳をみると、自家整備する大型車ユーザーが56%と最多。タイヤ専業店等が23%と続く。事故防止に向け、適正な脱着作業と点検が不可欠な状況だ。

 脱落事故防止のために重要なのが「軸力」。これはボルトとホイールをしっかりと取り付けるための力のこと。軸力は測定できないので、トルク値として指定される。しかし各部品の箇所に付着した汚れの清掃や潤滑油の塗布を行わないと、規定トルク値で締め付けても軸力が発生せず、それが脱落事故につながりかねない。そのためブリヂストン作業標準のなかでは清掃点検が重点に置かれている。

 技能マイスターは清掃点検の特に重要なポイントとして「ハブやホイールの取り付け面、合わせ面など」だとし、「ホイールの亀裂の有無も、清掃をしてからでないと不具合を発見できないことがある」と指摘した。

 

 ノウハウ共有と後進の育成が重要

 

第15回技能グランプリ
第15回技能グランプリ

 技能コンテストでは、各選手がこうしたポイントを意識した姿がみられた。技能グランプリは基礎知識とリトレッド台判定能力を問う学科試験、実際の作業を行う実技試験の二つの試験で競う。

 実技ではリア左内輪がパンクして店保管のスペアタイヤに交換するというもの。参加者は会場内に響く声でタイヤの状態確認を確認するとともに、ハブやナット、ボルトなどを余念なく清掃点検を行った。

 一方、ソリューションエンジニアコンテストはブリヂストンが提供するソリューションビジネスの提案力・営業力を競うもの。ブリヂストンは「Tire Solution」を通じて、物流業者の安全運行から環境負荷低減や経費削減・業務効率化などの課題に対し総合的な解決をめざす。

 コンテストの競技は架空の物流会社と商談するというもの。予選で顧客状況把握や分析・カスタマイズサービス提案を行った。今回の全国大会では見積提示の商談に向けて、試算メニューの内容作成や試算表の作成、実際の見積提示が行われた。

 ブリヂストンタイヤソリューションジャパンの仲村克則ソリューション事業担当は「顧客課題を適切に把握し最適なソリューションを提案できるソリューションエンジニアと、高品質メンテナンスを提供して稼働を最大化する技能マイスター/技能エキスパートの育成が重要だ」と強調した。

 今回の大会では14名が技能エキスパート、うち10名は技術・知識で特に優れているとして技能マイスターに認定。ソリューションコンテストでも最優秀1名、優秀賞2名を選出。今後は自分の業務に加えて、後進の育成や技術・ノウハウの共有といった役割も求められていく。

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