〈次世代モビリティと共に歩む整備機器〉をテーマに開催された「第38回オートサービスショー2025」。開催規模・来場者数ともに前回実績を上回った。参加したタイヤ整備の関係企業は、省人化・軽労化機器や作業の効率化と品質の向上をめざす製品を出展し、作業環境の向上を提案した。本紙ではショーの会場から、来場者の注目を集めた製品をピックアップし、ジャンルごとにシリーズで紹介する。第1回目は「タイヤサービスカー」。
小野谷機工「EVコンセプト」

今回、タイヤサービスカーの分野で来場者の目をひいた展示ブースの一つが小野谷機工の屋外展示小間だった。
同社はここ数回のオートサービスショーで、タイヤサービスカーのコンセプトカー(プロトモデル)を参考出品し続けている。その開発の根底には〈100年に一度の大変革〉への対応がある。CASEが進む自動車産業で、電動化・コネクテッド化は流れがゆるやかになることはあったとしても決して止まることはない。
今回、小野谷機工はPC用とTB用、2種の次世代タイヤサービスカープロトモデル=写真(1)=を参考出品。CASEへの対応をよりブラッシュアップし、脱炭素社会への実現に向けた取り組みを加速する。
動力源を発電機からバッテリーへ

2種ともに動力源を発動発電機からリチウムイオンバッテリーへと変更し搭載。「EVコンセプト〈PCタイプ〉:RSC−Vspec」は、フィアットデュカトがベース車両。発動機をなくしたことで作業スペースを大幅に拡大。タイヤチェンジャー「アルマックス NPC−20DT」、ホイールバランサー「ダイナマックス Ks11RC Luce」、セーフティケージ&自動エア充てん装置「RSC−01β」などの機器を取り回し良く配置した。
各種の機器にはいずれもマットブラックを基調とした新しい〈オノダニカラー〉を採用。セーフティケージは角の部分を取り丸くすることで、タイヤの搬入・搬出に際して作業性を向上しながら、外観デザインで高級感を演出。ベース車両である欧州製ミニバンの個性的なエクステリアデザインと良くマッチさせた=写真(2)=。

「EVコンセプト〈TBタイプ〉」は、タイヤの出張サービス作業で欠かせない各種の整備機器をフルに搭載が可能。発動機を不要とした分、さらに多くのタイヤを積載することができる。プロトモデルにはTB用自動タイヤチェンジャー「オートプロフット APF−09CF」を搭載=写真(3)=。出張サービス作業でも店舗と同等の高い作業品質を実現するとともに、省人化を果たす。人手不足が深刻化する整備業界に、小野谷機工からの提案を製品で示した。
ニッタタイヤ「e−キューブ」搭載

タイヤサービスカーの出展で存在感をみせたもう1社がニッタタイヤ。出張整備に特化した車両2台を展示した=写真(4)=。モバイルタイヤチェンジャー「e−cube(イー・キューブ)」を搭載したフィアットデュカトと日産キャラバンがそれだ。
ショーの展示小間ではタイヤ交換のデモンストレーションを行った。「e−cube」は車載専用のコンパクトな設計のため、立ったままの姿勢で作業可能。バッテリー電源で稼働する省エネ設計が特長だ。
東洋電産「T救2号」

サービスカーというくくりでは、東洋電産が「T救2号」を安全自動車のブース内に出品した=写真(5)=。
「T救2号」は日野デュトロがベース車両。通常は電欠したEVのレスキューにあたる移動式急速充電車だが、災害時に非常用電源車として使用することが可能だ。
リチウムイオン電池を車両床下に収納するので、荷台スペースをさまざまにカスタマイズすることが可能。実際にタイヤサービスカー兼急速充電車として稼働しているケースがある。